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236回 悪事がもたらした無視できない利益

 結果からすれば、これは良い決断だった。

 魔族も大規模な攻勢に出てくる事はなく、新人事が定着するまでの期間を乗り切る事が出来た。

 また、問題のある人間を放逐した事で、組織全体の効率が今までより良くなった。

 混乱も発生はしたが、それも驚くほど短期間で終息していった。

 そして、新体制は意外と上手く運営されていく。

 妥協して今までの人間をそのまま使っていたら、こうはならなかっただろう。



 ただ、その陰で、こんな事実もある。

 民衆を見捨てた事で、国が抱える事になるはずだった負担が消えた事だ。

 そのまま助けていたら、かなりの人数を養う羽目になっていた。

 それがいくらか緩和された事は、紛れもない事実である。



 同様に、民衆を見捨てて撤退したおかげで、ほぼ無傷の兵力が残った所もある。

 それらが、その後の防衛戦において、貴重な戦力となっていった。

 反対に、民衆を守って移動をした部隊は、馬鹿にならない損害を被る事になる。



 認めてはならない事ではあるが、これらは揺らぐことのない事実である。

 そのおかげで国庫の消耗はいくらか緩和された。

 動かす兵力も温存する事が出来た。

 それを見越しての事ではなかっただろう。

 だが、保身・我が身かわいさだけの行動が、国という大きな存在の存続にそれなりに貢献した。



 だが、そうは言っても、民衆を守った事にも大きな意義がある。

 無事に避難を完了した民衆は、確かに養うのが大変である。

 しかし、当面必要になる防衛陣地の構築などに必要な労働力にはなった。

 それに、他にやる事も無いからと、兵士となって戦場に赴く者も出てきた。

 そのほとんどは義勇兵として参戦し、足らずがちの兵力を補っていった。

 見捨てて負担を減らすか。

 負担を抱えても動ける人間を確保するか。

 そのどちらがどれだけ良い結果につながったのか。

 答えを確かめる事の出来ない問題である。



 そんな問題を抱えはしたが、それでもイエル側の国は撤退を完了させた。

 再構築された前線は堅固に作り替えられていく。

 そして後退によって空白となった地域に魔族/異種族連合も前進していく。

 間に緩衝地帯を作りながら、両者はにらみ合っていく事になる。



 また、その間にあちこちの戦線で勇者と聖女が活躍する事にもなる。

 撤退戦という、いささか不本意な形ではあるが。

 それでも、守るべき者達がいる以上、手抜きは出来ない。

 彼らが投入された地域は、兵力が少ないところがほとんどである。

 もともと展開してる兵力が少なかったり、敵との戦いで戦力を減らしてるところだったりする。

 そういった場所だからこそ、少数でも大きな戦力になる勇者と聖女が派遣された。



 それなりの兵力があれば、ある程度は敵に対応が出来る。

 しかし、戦力が少ない所はそうはいかない。

 だからといって大規模な兵力を応援によこす余裕もない。

 となれば、勇者と聖女にお鉢が回るのは必然と言えた。

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