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213回 集まった断片、そこから何を読み取るか

 もたらされた情報をもとに、ユキヒコは状況を考えていく。

 こちらの送り込んだ者達のその後。

 敵の対応。

 偵察部隊が観測した結果。

 ソウスケがもたらす内部情報。

 それらを分析していく。

 新設した情報精査の為の部門と共に。

 前線にとどまる以上、情報の分析は欠かせない。

 敵の動きが分からなければこちらが壊滅しかねない。

 それを避けるためにも、情報を正確に調べねばならない。



 当然ながら、完璧な情報などありえない。

 敵の内情が全て筒抜けになればありがたいが、そんな事はまず起こらない。

 手に入れられるのは、様々な部分の断片だ。

 そこから本来の姿を推測していくしかない。

 そのために情報分析をはじめていた。



 困難のつきまとう作業だ。

 何が正解でどれが間違ってるのかなど知りようがない。

 出来る事は、推測や推理だけである。

 それが当たってるかどうかは、現実に結果が出るまで分からない。

 しかし、それでも調査結果をもとに考えていくしかなかった。



 ただ、情報分析は始めたばかりだ。

 任務に就いた者達も馴れてるわけではない。

 どうしてもあれこれと考えて悩み、結局答えが出せないままという事になってしまう。

 それでも、やらないわけにはいかない。

 たとえ分析結果が間違ってたとしても、それでも続けていくしかない。

 そうでなければ体験や経験は積めないのだから。

 今後の成長には体験や経験が必要になる。

 それが失敗であってもだ。

 何もない所には何も生まれない。

 だが、失敗でもいい、何かをしてその結果がどうなったのかという経験は糧になる。

 それもまた分析対象として調査し、何が悪かったのか、どうすれば良かったのか知る手がかりになる。

 立ち上げたばかりの情報分析の部署にはないものである。

 だから少しでも多くの経験を積み重ねる必要があった。

 やがてわずかな情報から敵の全てを見通せるようになるために。

 そのための小さな一歩を今から続けていかねばならない。

 結果を気にする事無く。



 そんな情報分析の担当者達は、やってくる小さな情報を前に四苦八苦している。

 何せ、手に入って情報は少なく、断片的すぎる。

 そこから何かを掴むのは不可能なのではないかと思えた。

 仮に手に入った情報から色々と予測・推測するにしても、その結果は多岐にわたる。

 ありえる可能性を並べていくと、様々な見解が出てくる。

 そのことに分析担当になった者達自身が驚いた。



 それらの中からありえそうなものを厳選していかねばならない。

 そうして絞りに絞っても、まだ可能性は数多く残ってる。

 そのうちのどれが正解なのかはまだ分からない。

 とにかく次の情報を待つしか無い。

 確認がとれるのは、その時である。

 そうして待っていた次の情報で、自分達のたてた予測や推測の全てが外れる事もある。

 むしろそうなる可能性の方が高い。

 そうなったらなったで、何故そうなったのか。

 そして前回の情報から今回の情報に至るまでの経緯を考えていく。

 自分たちが何を見落とし、何を切り捨ててしまったのか。

 実際には何が起こり、どのような流れになっているのか。

 それを知ることで、今まで考えもしなかった可能性にたどり着く。

 それが次の機会に用いる事が出来る武器となっていく。



 そうした中で彼らは一つの鉄則にいきつく。

『ありえないこそが、ありえない』

 ありえないと思って切り捨てること。

 それが最も危険である。

 たとえごくわずかでも可能性があるなら、それは実現する事がある。

 それどころか、全くありえないと思った事も実現する事すらある。

 その事を分析の任務につく者達は否応なく知る事になっていった。

 そうした四苦八苦のおかげなのか、情報分析の精度は少しずつ上昇する事になる。

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