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209回 発生する事件への対応と苦慮

 治安機構が相手にするのは犯罪者である。

 凶悪な連中だ。

 それを探し、対処するために治安機構は存在する。

 だが、今回の敵は犯罪者とは言い切れないものがある。

 軍隊というほど訓練されてるわけでも統率がとれてるわけでもない。

 だが、数が多い。

 大規模な犯罪集団と同じくらいに。

 下手したらそれ以上に大きい。

 そんな連中があいてだと、治安機関では荷が重くなる。



 また、出没範囲が広すぎる。

 それもほぼ同時多発でやってくる。

 こうなると治安機構の人数では手に余る。

 当初からかなりの数が動員されてるにも関わらずだ。

 それだけ魔族側の投入戦力は大きかった。



 これが相手なのだから、大きな負担になっていく。

 守る範囲は広大で、配置される人数は少ない。

 同時多発であちこちで起こる事件の全てを解決・鎮圧するのは困難だ。

 そのため、早々に治安機構は全ての問題を解決する事を放棄せざるをえなくなる。

 増員は求めるが、当初の人数だけではどうにもならない。

 一つ一つを確実に潰していくしかなくなった。



 なのだが、倒しても倒しても後から後から敵はやってくる。

 片付けたと思ったらまたあらわれるのだ。

 治安機構の者達は次第に疲労感と徒労感に襲われていく。

 自分たちのやってる事に意味があるのだろうかと。

 人間、無意味な事を続けさせられる事に弱い。

 精神的にまいってしまう。

 そして精神的な苦痛はやがて肉体にも悪影響をもたらす。

 治安機構の者達はだんだんとそういった状態になっていった。

 作業効率が落ちていったのだ。



 実際には彼らの行動はめざましいものがある。

 人数でいえば送り込まれてくる犯罪者やできの悪いゴブリンに劣る。

 にもかかわらず、やってくる敵を捕捉し、これを鎮圧し続けているのだから。

 どうしても一定数の被害は出るが、それはやむをえない。

 全てを防ぎきる事は不可能なのだから。



 今回の場合、敵が悪すぎた。

 それこそ無尽蔵と言えるほどの敵がわいてくるのだ。

 対処しきれる訳がない。

 一人一人の質で言うならば、犯罪者やできの悪いゴブリンより治安機関の方が高い。

 実際、正面から戦えば治安機関が勝っている。

 しかし、一カ所で敵を鎮圧しても、別の何カ所かで敵は暴れ回っている。

 そんな事がいつまでも続くのだ。



 この状況を解決するため、治安機関の増員がはかられる。

 なのだが、それはそれで別の問題も発生させる。

 増員は当然ながら別方面からの移動という事になる。

 いきなり人数自体が増えるわけではない。

 そのため、人を引き抜かれた地方などでの犯罪捜査などが停滞する。

 どうしても起こる犯罪・事件への対処が遅れていく。

 それは国内の不安要因を少しずつ高めていく事になる。



 また、そもそもの人数を増やすとなる、今度は国家予算との兼ね合いがある。

 そのために必要な予算は、別の部門の予算を圧迫する。

 どうしても他の官公庁との対立が始まる。

 それは大臣、そしてその周辺にいる貴族をも巻き込んでいく。

 それもまた、国の今後を全く考えない、宮廷の力関係・勢力図の争いに堕落していく。

 否、むしろ、そうした争いこそが本分で、国の今後を考える者の方が希有なのだろう。

 そうしてる間にも前線も国内も崩れ落ちていく。

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