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207回 新戦力の確保と補充、その使い道 2

 同時に行っていた兵士の徴募。

 これも思ったより順調に進んでいく。

 食い扶持にありつけないゴブリンがほとんどだが、それで十分だった。

 こちらは一応訓練を施し、様子を見ていく。

 素質があるならそのまま兵士として用い、訓練を続行する。

 そうでないならば、適当なところで切り上げて、さっさと前線に送り込んでいく。

 もともと、日頃の態度が悪い者は排除していた。

 新しく来た連中も同じように扱ってるだけなので、これは特に新しいやり方というわけではない。

 そうして集まったゴブリンの大半が、大量に敵地へと向かっていく事になる。

 そのまま村や町を襲ってくれればそれで良かった。

 上手くいくとは思いはしないが、それで敵に圧力をかけられればそれでいい。



 そもそも放出したゴブリン達に期待するのは、犯罪者達と同じである。

 敵の内部を混乱させてくれればいい。

 足止めになればいい。

 それだけだ。

 敵を倒して侵攻していく事ではない。

 犯罪者もできの悪いゴブリンも全滅してくれてかまわない。

 敵がこちらに侵攻する余裕を潰してくれれば。



 そのために、敵地にて暴れ回り、敵の兵力をそちらに釘付けにさせる。

 それだけで良かった。

 それ以外に何かが出来るとは思ってない。

 それ以上の事など期待してない。

 そもそも、生きて返ってくる事も求めてない。

 野垂れ死んでくれればそれで良かった。

 使えないから放り出したのだ。

 そんなのが戻ってきても困ってしまう。

 それならば、敵地の中に居座って暴れ回ってもらえれば良い。

 その方がユキヒコ達も助かる。

 管理する手間がかからないからだ。



 これがまともな軍勢であればこうはいかない。

 事前の情報収集にはじまり、部隊の配置・展開、補給物資の確保と輸送。

 更には部隊を率いる指揮官の確保。

 そのための教育などもやらねばならない。

 また、投入する戦力にかかる手間に見合った戦果の確保も考えておかねばならない。

 まともな兵士を作るとなれば、相応の時間と手間がかかる。

 それが最底辺の下っ端兵士だとしてもだ。

 戦争とはそれを消耗せねばならないのだから、見合った戦果が手に入れねばならなくなる。

 そうでなければ割に合わない。



 だが、犯罪者とできの悪いゴブリンにはこういった問題がない。

 どちらも何も考えずに放逐するだけで終わる。

 戦果は期待出来ないが、維持費もかからない。

 また、管理を考える必要もない。

 文字通り放置するだけなのだから。

 強いていうならば、戻ってこないように兵士を配置しておくくらいである。

 あとは野となれ山となれ。

 どうなろうと知った事ではなかった。



 犯罪者は悪事を働いた者である。

 それだけで社会から追放されるに十分である。

 悪事とは、誰かを傷つけ負担をおわせ、一方的に利益を奪われる事をさす。

 そんな事をするような輩など社会に必要ない。

 社会とは、いや、まともに機能してる人と人の付き合いというのは、何らかの形で互いに助け合ってるものだ。

 だからこそ人は集団を作って多大な利益を確保しているのだ。

 それをしない、それを覆すような存在は損害以外の何者でもない。



 これはできの悪いゴブリンも同じだ。

 もとより粗暴な行動が目立つゴブリンではある。

 だが、教えれば最低限の規律くらいは守れるようになる者もいる。

 それは挨拶をするとか、整列が出来るとか。

 その程度の事であるが、それくらいは教育や訓練でどうにかなる。

 そういうゴブリンは、集団・団体行動が出来るようになる。

 指示に従って動くという兵隊としての機能を期待出来る。

 何より、他人に迷惑をかける行動をしなくなる。

 集団で必要なのはこういった事が出来るかどうかだ。

 これが出来なければどれほど能力があろうと邪魔にしかならない。

 そういった者達をユキヒコ達は排除していった。



 本性は変わらない。

 それでもゴブリンはゴブリンのままだ。

 粗暴で粗野な性格、いや、性質は残る。

 だが、集団行動の阻害になる行動がおさえられるならばそれで十分だった。

 数が多いゴブリンが集団を形成すれば、それだけで大きな戦力になる。



 それが出来ないゴブリンを、集めて放逐する。

 敵地に向けて。

 その際には、略奪・強奪し放題だと言っておく。

 実際、そこで何をしようとゴブリンの自由である。

 上手くいけば本当に好きなものを好きなだけ奪える。

 そう聞けばたいていのゴブリンは喜び勇んで敵地に向かっていく。

 その際に気をつけるべき事や問題点などは言わない。

 襲いかかって奪うのは自由だが、相手が反撃してくる可能性もある。

 人里ならばそれなりの防備を固めてる可能性は高い。

 巡回の見回りもいるだろうし、それらに見つかったら厄介な事になる。

 そういった事は何一つ伝えずにいた。

 放逐する対象にそこまで気を回す必要は無い。

 見つかって潰れるならそれはそれで良い。

 敵を倒せないならそれでかまわない。

 できの悪いゴブリンたちに求めてるのは犯罪者と同じこと。

 厄介払いと時間稼ぎでしかないのだから。


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