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206回 新戦力の確保と補充、その使い道

 そんなこんなで当面の運営方針が決まっていく。

 最前線らしく、敵地への攻勢拠点。

 言ってしまえば軍事基地。

 あちこちで工事が始まり、それにふさわしい姿になっていく。

 そのために必要な人員が集められ、大規模な作業が始まっていく。

 また、ユキヒコや邪神官が策定した作戦も実施されていく。



 要望通りに集められた犯罪者は、次々に最前線にやってくる。

 護送用の頑丈な馬車に詰め込まれた者達は、いずれも不穏な雰囲気をたたえていた。

 そんな連中を敵地まで送り込まねばならない。

 その準備として、犯罪者から身ぐるみを剥ぎ取った。

 ぼろきれのような囚人服すらもだ。

 何かを隠し持ってるかもしれないので念のためだ。

 隠し持った何かで反抗されてはかなわない。

 それに、下手に何かを持ってると、いらぬ期待を抱くかもしれない。

 人間、心細い時には何かにすがりたくなる。

 そのよりどころとなる物を全て奪いとる。

 そうする事で、前に進むしかないとはっきり自覚させる必要があった。



 そんな犯罪者を、小分けにして敵地に送り込む。

 出来ればまとめて送り込みたいところだが、まとまると団結する可能性がある。

 そのため、数人程度の数で輸送するしかなかった。

 その周囲には数十人のゴブリン兵と引率役の人間やイビルエルフなどが数人ついていた。

 厳戒すぎるかもしれないが、これくらい入念にやってないと足下をすくわれなかねない。

 それくらい油断も隙も見せられない連中だった。



「ここでお前らを解放する」

 目的地である人里近くにまでやってきたところで、犯罪者達を馬車からおろす。

「これからどうするかはお前らの自由だ。

 こっちに戻ってこなければ何をやってもかまわん」

 連れてこられた者達は無言で話を聞いている。

 話に集中してるのではなく、下手に口を出したら面倒になるからだ。

 それでも、何人かは今後の為に耳を傾けてもいた。

「あと、この先に人里がある。

 何かほしいならそこにいけ。

 お前らの得意なやり方でほしいものをテに入れろ」

 それを聞いて犯罪者達がにやりと笑う。

 自分たちの得意とするのがなんであるか、それがどういうものかを知り尽くした顔で。

「以上だ。

 さっさと行け。

 いつまでも視界に入っていたら、この手で斬る」

 言われて犯罪者達は歩き出す。

 この場にいても殺されるだけ。

 元の方向に戻る事も出来ない。

 だったら前に進むしかない。

 幸いにも、獲物がいるという話でもある。

 だったら、自分らの流儀で必要なものを手に入れようという腹づもりだった。

 幸い、荒っぽい事にはなれている。

 得物がないのはいたいが、それもどうにかなるともくろんでいた。

 なんなら、そこらに落ちてる棒きれや石でも十分なのだから。

 少なくとも何をしようか悩んだりためらってる場合じゃない。

 何一つ身につけてないのだ。

 すぐにでも何かをしなければ、程なく滅してしまうだろう。

「あっちって言ってたな」

「ああ」

 全員、同じ方向に目を向ける。

 そっちの方角に人里があるという。

「どうする?」

「決まってんだろ」

「やるしかねえ」

「そうだな」

 意見はすぐに一致した。

 全員、行動を開始していく。



 こんな調子で犯罪者を敵地に送り込んでいく。

 そのほとんどは、言われた通りに敵地の方に向かっていった。

 戻ってこないよう、要所要所に兵士を配置して。

 そのおかげか、犯罪者が戻ってくる事はほとんどなかった。

 全く無かったわけではないが、発見する度に見せしめとして拷問をして処分した。

 死体を見えるところに吊して。

 そうするようになってからは帰還しようという者達は完全にいなくなった。



 進む方向を限定された犯罪者達は、仕方なく近くの村を襲うようになる。

 最初は用心しながら。

 そして、後から同じように追放された犯罪者と合流し、より大胆に行動していく。

 そして一定の数になった後は、盗賊団や強盗団を結成していく事になる。

 その後はイエル側の地域を渡り歩き荒らし回っていく事になる。



 残念な事に、送り込まれた犯罪者の多くは敵側の治安機構に成敗されていく。

 生き残る者は存外少ない。

 地の利もなく、道具もなく、気の合う仲間もいないのだから当然だろう。

 だが、そんな最悪の条件の中で生き延びた連中は、治安機構も手を焼く危険な存在になっていった。

 それはユキヒコ達の望み通り、敵の内部を荒らし回る要因になっていく。

 それが原因で敵の動きが鈍る事もあるほどだった。

 敵の足止めという目的はある程度達成出来た。

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