170回 手当たり次第に 10
「ここもか」
急ぎ道を戻る勇者と聖女達。
その目には陥落した村や町、市街が飛び込んできた。
道に沿った所にあるそれらは、恐ろしいほどの静寂でタダトキと聖女達を迎えた。
不可解な状態だった。
一見してそれと分かるほど人の気配がない。
そう言ってよければ、廃墟といっても差し支えない。
なのだが、損害らしい損害はどこにもない。
だから不気味だった。
それでいて、人も物も無くなっている。
持ち出せそうなものはほとんどが消えていた。
残っているのは、設置しなければならない大型の物品だけである。
「魔族の仕業?」
「そうなんでしょうけど……」
「でも、おかしくない?」
聖女達が口々に疑問をあげていく。
彼女らの言う通りおかしな状態だった。
魔族に襲われたにしては、破壊の跡がない。
普通、攻め込んできた魔族相手になんらかの戦闘が起こるはずだ。
その時に、建物などに傷が残ってもおかしくはない。
なのだが、そういった戦闘の痕跡が全く見られない。
だとすれば、何一つ抵抗する事なく、一方的にやられたという事になる。
それはあまりにも不可解だった。
何より不可解なのは、足跡が内側から外に向かってる事である。
つまり、住人達が自らの意志で外に向かったという事である。
内部に侵入した足跡などは見つからないのに。
つまり、外から何かが襲って来たとは考えにくい。
何かを見落としてるかもしれないが、それでも極端に少ないのだ。
敵と思える存在のものが。
「どういう事だ?」
とにかく全てが謎だった。
なぜ足跡が中から外に向かうものだけなのか?
誰がどうやってそんな事をさせたのか?
自発的に動いたというのでなければありえない事である。
その事については、途中ですれ違った住人達からも聞いた。
手足を切られ、あるいはへし折られたその者達の証言は更に謎を深めるものだった。
『何でなのか分からない』
『気付いたらお互いに手足を破壊しあっていた』
『それがおかしいとも思わなかった』
『それから外に出て町に向かっていった』
全員が口々にそう言う。
自ら行った事なのに、なぜそうしたのか彼等自身も分かってないのだ。
また、若い女が全く見あたらないのも気になった。
それらがどうしたのかと聞いても、
『それも分からない』
『外に出てから気付いた』
『どこに行ったのか全く分からない』
と同じ事を耳にするだけだった。
ただ、自分でも分からないという解答だけは共通していた。
そんな彼等を追い越して、タダトキは先へと進んだ。
謎は残るが、それを追求してる暇はない。
それよりも、進んで行く先々でこのような事が起こってる事が問題だった。
国内の方でこういった事態が次々に起こってるという事が。
生存報告がてら投稿。
生きてます。
病気にもなってません、たぶん。
ただ、間をあけたせいで、設定とか忘れてるかもしれん。
この前までと違うという部分があるかもしれんけど、それはそういうものだと思って右から左に流してくれるとありがたい。
なるべく矛盾がでないよう頑張ってはいるんだけどね。




