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166回 手当たり次第に 6

 流れ込んできた避難民を見て、領主も勇者も民衆も絶句した。

 それらが受けた悲惨な怪我に。

 手足や片目を潰された凄惨な姿は、それだけで恐慌をもたらすに充分だった。

 なおかつその数が尋常ではない。

 数百人はいるだろうその人数は普通ではない。

 何より、これから避難しようとしていた方向から流れてきた。

 この事実が領主らを慄然とさせた。



「何があった……」

 敵にやられたのは分かってる。

 聞くまでもない事だ。

 問題なのは、なぜ後方でこのような事が起こったかだ。

 普通に考えればありえない事である。

 しかし、現実に目の前でおかしな事が起こってる。

 これを無い事には出来ない。

 何が起こったのかはある程度予想は出来た。

 信じたくはなかったが。



 聞き出した事は、領主や勇者が想像した通りであった。

「村や町にゴブリン共があらわれた」

 まさか、と思うと同時に、やはり、と思った。

 でなければこんな事にはならないだろうと。

「奴ら、直接の戦闘を避けて後方に浸透していったか……」

 可能性としてはそれしかない。

 前線をすり抜けて後方に入ったのだ。

 そこで暴れまわっている。

「まさか……」

「相手はゴブリンだぞ」

 そんな声もあがる。

 しかし、そう言って驚いてはいるが、否定する者はいない。

 全員現実をしっかり見据えている。

 現実を無視して頭の中の常識に固執する馬鹿はいない。



 そもそもとして、彼等が相手にしてる魔族は普通ではない。

 今までのような戦法をとってくるわけではない。

 戦術も何もなく、ただひたすらに数でおしてくるような連中ではない。

 頭で考え、効果的な戦い方をしてくる。

 勝てない戦いは徹底的に避け、弱い部分を狙ってくる。

 そんな事をする連中だ。

 監視の目をくぐり抜けて後方を脅かすような事くらいはやるだろう。



「それで、敵はどのくらいの規模だった?」

 肝心な敵の規模を聞いていく。

 数百人はくだらない避難民を出すくらいだ。

 相当な規模の敵がいるのは間違いない。

 それらがどこからどうやって侵入して来たのか。

 その経路を知るためにも、規模や侵入方向を知る必要がある。

 だが、そこでも信じられない事を聞く事になる。

「一人だ」

「なに?」

「一人だ」

 何を言ってるのか、即座に理解出来る者はいなかった。

 しかし、続く報告を聞くうちに、嫌でも理解せざるえなくなる。

「一人、たった一人にやられたんだ」

 聞いていた全員、肌が粟立っていった。

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