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138回 囚われた者達の行き着く先

 女を運んだゴブリン達は、一端手近な村にまで輸送する。

 住人を追い出して拠点にしてる場所だ。

 この領地の端っこにあり、新たに作ってる輸送路に繋がってもいる。

 そこまで運んだらとりあえず女をおろし、再び襲撃場所まで戻っていく。

 その際に、新たな荷車を持ち出していく。

 荷馬車も動かしていく。

 少しでも輸送力を上げる為だ。



 そうやって何往復かする事で、1000人以上の女を輸送していった。

 また、村についてからは起こして歩かせていく。

 さすがに馬車や荷車を使う事は出来なかった。

 それ程数があるわけでもない。

 それよりも自前で持ってる足を使わせた方が良い。

 後ろ手に縛られ首を連結された女達は、自分達を引っ張り周囲をかためてるゴブリン達に従うしかなかった。



(どうなるの……?)

 そんな中の一人になったフユキは、これからの不安に押しつぶされそうになっていた。

 隣の領に逃げ込もうとしたがそれは失敗に終わった。

 敵にとらえられ、あっさりと捕まっている。

 それどころか囚人のような扱いで歩かされている。

 実際、彼女らは魔族の囚人であった。

 当然ながら捕虜ではない。



 これが捕虜であるならば、人道的な扱いもされただろう。

 可能な限り人道的にあつかわねばならない存在だ。

 この可能な限りというのは、やってもやらなくてもかまわないというわけではない。

 衣食住と身の安全、心の尊厳を保つという意味である。

 だが、それがままならない戦場ではなかなか充分な待遇を用意できない。

 なので、その場で出来る『可能な限り』の待遇を与える事、という意味である。

 虐待や拷問など御法度である。

 こうした非道な事をしても良いと思われがちかもしれないが、それは誤解である。



 この世界においても、こういった待遇というのはある。

 あくまで捕らえた側がそう扱うかどうかを決める事は出来る。

 だが、一応慣習や慣例的に捕らえた敵をそれなりに扱うという意識はある。

 もっとも、それは同じ人類同士での戦争などでの話だ。

 魔族との争いにおいてこのような取り決めはなされてない。

 捕らえた魔族を教会側の人類は虐待し拷問にかけ惨殺している。

 魔族もそんな教会側の人類を厚遇する事は滅多にない。

 教会は教義から魔族をまともに扱わない。

 そもそも信徒でなければ人類ですら人道的に扱わない。

 魔族もそんな教会側に情けをかける事は出来ない。

 捕らえた捕虜を交換するという事もない。

 そんな情勢である。

 囚われた者達が明るい展望を抱けるわけもなかった。



 実際、女達が迎えるこの後の待遇は、決して良いものではない。

 数日をかけて歩かされた彼女らが運び込まれたのは、粗末な小屋だった。

 小屋と言うにはいささか大きく、それなりの大きさの倉庫くらいはあった。

 だが、それを見た女達が真っ先に抱いた印象は、『畜舎』だった。

 そしてその印象はさほど間違ってはいなかった。

 ただ、その畜舎に掲げられている看板から異様な印象を受けた。

 そこには様々な種族の文字が書かれている。

 その中で彼女らが読める字で、はっきりとこう書かれていた。



『聖女の館』



 その言葉に、連れてこられた女達は言いようのない不安を懐いた。

 何故ここに聖女の文字があるのか?

 そこでいったい何がなされてるのか?

 不穏な疑問を抱く女達であるが、その疑問の答えを得るより先に眠らされていく。

 揃っていたイビルエルフ達の魔術が女達の意識を途絶えさせ抵抗力を消していく。

 そうしてから女達は控えていたゴブリン達によって措置をされていく。

 聖女の館なる建物の中に運び込まれながら。

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