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135回 安全策をとっても、どのみち襲撃される事になっている 2

 敵の隊列が見えてきたところで、ユキヒコは全員に指示を出す。

 目覚めた能力の一つ、テレパシーを使っての通信だ。

 これでほぼ同時に指示を出す事が出来る。

 これで時間差を出すことなく行動出来るのは大きい。

 部隊間の連携は伝令や符牒を決めた笛や太鼓の音などが主流な世界だ。

 そんな所に、正確な指示や命令を出せる状態でいられるのはとてつもない差を付ける事になる。

 それだけではなく、相手の動きや位置なども遠視や透視で判明してるのだ。

 現代でいうならば、レーダーで捕捉した敵を、データリンクで全員で共有してるようなものだ。

 それをユキヒコの能力は可能としていた。



(それじゃ、道をふさいでくれ)

 最初に鬼人達に指示を出す。

 それに従い、鬼人達は避難する敵の前に出るように布陣した。

 力はあるが俊敏さに欠ける彼等は、こういった作業に向いている。

 敵を受け止め、阻止し、そして押し返す。

 それを可能とする力がある。

 それは道をふさぐという単純な事でも充分に発揮される。



 その鬼人達に敵の先遣隊が接触する。

 騎兵である彼等は、敵の姿を見ると即座に笛を取り出していく。

 音で後方にいる味方に連絡を取るためだ。

 だが、それは失敗する。

 イビルエルフの魔術により、音の伝達が阻止されたからだ。

 ほんのわずかであるが、敵の初動がこれで遅れる事になる。



 その後ろでは、別のイビルエルフ達が行動を開始していく。

 彼等は眠りや疲労を促す魔術によって、隊列全体の動きを鈍くしていく。

 これらの魔術は比較的簡単なもので、割合簡単に発動させる事が出来る。

 そして消耗も少ないので連続して使用も出来る。

 その分効果はさほど大きなものではない。



 眠りの魔術は眠気を誘発する程度で、実際に眠るとは限らない。

 また、眠ったとしても起こせばすぐに効果はなくなる。

 永遠に眠らせるというような効果があるわけではないのだ。

 魔術による強制ではなく生理的な眠気を誘うだけなのだから。



 疲労の魔術も似たようなものである。

 体にだるさを生じさせるが、それも動けなくなるほどの強烈なものではない。

 なんとなく体が重く感じるという程度である。

 動きや周囲への注意力などが若干落ちるくらいだ。

 普通に活動してるならば、それほど大きな支障が出るというわけではない。



 だが、戦闘においてこういった状態に陥るのは危険である。

 それがわずかな支障であったとしても、そこを突かれる可能性がある。

 特に今回は大人数で移動してる最中である。

 そんな中で隊列のあちこちで不調をうったえる者が出たら全体に波及する。

 少なくとも足は止まる、全体の動きが鈍る。

 眠気や疲労をうったえた者への対処に何人かが手をさしのべる。

 それらが何かあった場合の対処を遅らせていく。



 特に周囲への注意が疎かになるのは致命的だった。

 魔術の効果があらわれたり、そんな仲間に目がいってしまった瞬間がだ。

 そこを突いて、周囲からゴブリン達が迫っていく。

 もし、外に注意を向ける者が多かったら、それに気づいた者も出てきただろう。

 だが、意識が仲間内に向いていた彼等に、そんな余裕はなかった。

 接近したゴブリン達は、そんな敵に向かって容赦なく攻撃をしかけていく。

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