125回 まずは敵を混乱させねばならない 3
ただ、やれる事が限られるのは痛い。
もっと人数がいればどうとでもなるのだが。
それが出来ないのは辛いものがあった。
無い物ねだりをしてもしょうがないが、やはりどうにか出来ないものかと思ってしまう。
(邪神官が出世すれば話は変わるんだろうけど)
そうなれば大きな兵力を任されるだろう。
そうでもない限りは現状でどうにかするしかない。
その為にも、今は村と町を襲って、少しでも難民を増やさねばならなかった。
そうやって町や村を襲ってから難民を市街に送り込む。
今回は全ての町や村を潰す事が出来なかった。
そこまで手を回してる余裕がなかったのだ。
それでも市街にとっては大きな負担になるだろうし、警戒心も持つだろう。
今はとりあえずそれで良かった。
当面動く事が出来なくなるならばそれで良い。
また、警戒して外に出ないようになればなお良い。
必要なのは動きが止まる事。
それが達成されるならば、今はそれで良かった。
先々の事を考えると不安は残るが。
だが、その事を今悩んでも仕方が無い。
できる事を確実にこなさねばならないのだから。
それからユキヒコは部隊を二つに分けた。
一つは敵の市街周囲を包囲する者達。
これは伝令や商人などの出入りを遮る為である。
連絡がとられると今はまずい。
なので、これを阻止する。
ここにユキヒコは300人を投入した。
また、鬼人と獣人、イビルエルフも全て配置した。
何かあった場合ゴブリンだけでは総崩れになりかねないからだ。
それを阻止する為に強力な戦力であるこれらを配置した。
そして残り200でまだ残ってる村や町を制圧していく。
町はともかく村ならばゴブリンだけで充分制圧出来る。
それを見越しての配置だった。
ただ、グゴガ・ルのように使える奴は抽出した。
さすがにある程度の能力は必要になるからだ。
そんな部隊を率いて、ユキヒコは村を襲い町を潰していく。
また、そうする中で自分の能力も使っていった。
新たに得た超感覚という能力。
主に精神に作用するこの力は、直接的な打撃力はない。
だが時にそれ以上に効果をもたらす事もある。
何せ、相手の内情が全て筒抜けになるのだ。
これで事前の情報収集の必要性が大幅に減る。
加えて、相手の精神に作用する能力が凄まじい威力を発揮する。
相手の精神に作用させて、意識を別方向に向けさせれば、それだけで不意打ちが簡単にできるようになる。
眠気を誘発したり、意識を朦朧とさせるという事も出来る。
こうした場合にはより効果的な襲撃が可能となる。
更には自分を味方だと誤認させれば、難なく内部に侵入も可能となる。
おかげで少人数で町を制圧する時には実に役立った。




