124回 まずは敵を混乱させねばならない 2
隣の領地に入ったユキヒコ達は、こうやって作業を進めていった。
やる事は今までと変わらない。
村を襲って人を確保しておく。
それが溜まったらその近隣の中心となってる町に人を送り込む。
そして混乱して疲弊した所に攻め込んで町を制圧する。
これらの行動に変化は無い。
ただ、今回はこれらに加えて手順を少しばかり追加もしている。
村を潰すまでは同じだが、そこからの行動が違ってきている。
村を潰して物資と女を奪うのは同じだ。
それから物資と女を奪い、後方部隊にこれらを輸送させる。
残した男と老人達の管理も任せる。
その間に他の村を襲って同じように物と女を奪う。
そうしてから、管理していた男と老人達を移動させる。
一カ所に集めてまとめて管理するためだ。
前回は前線に展開する人数が多かったので、村ごとに管理していたがここが変わっている。
今回は前線の方の人数が少なくなっている。
このため、村ごとに人を集めていたら効率が悪くなる。
それだけ人数を分散させる事になるからだ。
だから一カ所に集める事にした。
これはこれで移動の手間はかかる。
だが管理の手間は減る。
現在の人数でやりくりするなら、この手間を減らす方がましだった。
大人数を一カ所に集める事で反乱の危険が出て来るにしてもだ。
そうさせない為に腱を切って動きを鈍くさせてもいるのだ。
幸い、これま強奪してきた荷車や馬車があるので運搬の手間は減っている。
また、これらが無くても歩かせればいい。
移動そのものはどうにかなる。
なので一カ所に集める手間そのものはそれ程ではなかった。
(とは言ってもなあ)
それでも出て来る不安はある。
今のところはこの人数でもどうにかこなす事が出来ている。
やはり回数を重ねたのは大きい。
それでも絶対的な人数が足りない。
この規模では村や町を潰す事は出来てもそれ以上は出来ない。
また、幅広く展開する事も出来ない。
どうしても行動に制限が加わってしまう。
それが問題だった。
(早く他の部隊が来てくれればいいんだけど)
共同歩調が取れなくてもいい。
だが、制圧した地域に展開してくれれば巻き込む事が出来る。
なので、とにかく友軍に来てもらいたかった。
とはいえ、後方の部隊や司令部にかけあい始めた頃である。
実際に動くとなるとまだまだ時間がかかるだろう。
移動を開始してこの近隣までやってくるまで、早くても数週間はかかるはずである。
実際にはもっとかかるだろう。
下手したらやってこないかもしれない。
その可能性を考えつつ、ユキヒコは今できる事をやっていく。
とにかく今は布石を出来るだけ打っておかなねばならない。
この先どうなるにしろ、こうやって敵の出足をくじく必要がある。
そうしておけば、自分達は動きやすくなるのだから。
人数差を覆す為には、こうした努力を怠るわけにはいかない。




