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120回 そして勇者達は

「まーた仕事だよ」

 少々辟易した調子で勇者は嘆いた。

 これが使命だと分かっていても、愚痴をこぼしたくなる。

 そんな勇者を周りの聖女達はクスクス笑いながら見つめる。

「まーた始まった」

 勇者と同じ調子でまぜっかえす聖女が、軽くその胸を拳で叩く。

「なんて事ないだろ、お前なら」

「そうだよ。

 あなたは今まで何度も使命を果たしてきたんだから」

 戦士と魔術師の聖女は、そう言って勇者をたたえる。

 それだけの実績を上げてきたし、そうなるよう努力してきた。

 そんな勇者を信頼しての事だ。

「それとも何か不安でもあるのか?」

「まさか」

 戦士の聖女の問いかけに、勇者はあっさりと否定する。

「そんなわけないだろ。

 お前らがいるのに」

「うん、ならいい」

 その答えに戦士は満足した。

「だったら、さっさと行って片付ける。

 そうすれば問題無い」

 魔術師の聖女も続く。

「ぼやいてる暇があればさっさと行く。

 早く終わらせれば、それだけ休暇も長くなる」

「そうは言うけどさ。

 この前の仕事が終わってから、まだそんなに経ってないぞ」

「それだけ忙しいという事。

 魔族が活発になってる証し」

 残念ながらその通りであった。

 倒しても倒しても攻め込んでくる魔族。

 その対応に勇者達は追われていた。



 魔族の侵攻は休む事がない。

 どれだけ大軍を蹴散らしても必ず押し寄せてくる。

 繁殖力が強いというゴブリンが主力だからだろう。

 一人一人の能力は大した事はないが、多方面から波状攻撃を食らうとどうしようもない。

 部隊を展開出来ないところが突破され、どうしても国内への浸透を許してしまう。

 そうなると、そこを塞ぐべく新たな部隊を展開しなくてはならない。

 しかし、そうそう簡単に大部隊を動かすわけにもいかない。

 繰り出せる兵力には限界があり、それを超えてしまうと国全体への負担が出てしまう。

 かといって、少数では敵の物量に押し切られてしまう。



 こういった事態に対応するのが勇者と聖女であった。

 女神イエルより授けられた力を用い、様々な戦線で活躍する。

 一時的にでも戦線を補強する為に。

 あるいは敵中枢に殴り込んで司令部を破壊する為に。

 人数は少なくても巨大な力を持つ勇者と聖女で敵に切り込んでいく。

 そうやって崩壊した戦線を建て直し、激突する敵を押し戻していた。



 今回もそうした仕事を与えられていた。

 女神からの神託も下っている。

 新たな奇跡も授けられた。

 準備はもうととのっていた。



「それでもなあ……」

 やらねばならないのは分かっている。

 それでもぼやきたくなるというものだった。

「今年に入ってから何回目だよ」

 今までに比べれば出撃の回数が増えていた。

 少なくとも勇者が勇者になってからの中ではかなり出動が頻発しているように思えた。

「もっと休みが欲しい……」

「休んでどうすんの?」

 悪戯っぽく聞く声が混ざり込んでくる。

 偵察を担当する聖女だ。

「ね、どうするの?」

「そりゃあ決まってるだろ」

 偵察の聖女に負けず劣らずの調子で勇者が答える。

「お前らといちゃつくんだよ」

「きゃー、えっちー」

「おう、えっちだぞ!」

 張り切って答える勇者。

 そんな勇者を見て聖女達が笑う。

「本当にお前は」

「いつも通り」

「らしいって言えばらしいんだけどね」

「本当に」

 そんなやりとりを最初から笑いをこらえながら見ていた聖女が口をはさむ。

「全然変わらないよね、そういう所」

「そうか?

 これでも少しは成長したと思うんだけど」

「まあ、背丈は伸びたし、逞しくはなってると思うよ。

 でも、中身は全然変わってないような気がする」

「いや、少しは大人になっただろ。

 もう5年くらいは経ってるんだから」

「どうかなー?」

 少しからかいながら聖女は勇者を見つめる。

「……5年も経ってるのに、まだ成長してないんじゃないかな」

「あのな」

 そういって勇者はわざとしかめっつらをする。

「そういうお前だって、あんまり成長してないんじゃないのか?」

 そう言って見つめるのは聖女の胸のあたりだった。

 もっとも、そう言ってはいるが実際にそう思ってるわけではない。

 彼女の成長については勇者が一番良く知ってる。

 それこそ毎晩のように確かめてるのだから。

 それでも、

「もうちょっと、こう、育ってもいいと思うんだけどな。

 毎日頑張って揉んでるんだから」

「何言ってるのよ」

 さすがに聖女は少し照れて言い返す。

「だって、あっちに比べるとな」

 と視線を他の聖女に向けた。

 その中にははっきりと分かる程の豊かさをもつ身体の一部を持つ者がいる。

 もっとも、全員それなりにはっきりと形が分かるくらいの盛り上がりは持っていた。

 特に誰が大きいとか小さいというわけではない。

 それはこの場にいる全員が分かってる。

 分かってはいるが、

「悪かったですね!」

 そう言ってすねる素振りを見せる。

 こんなやりとりも戦地に赴く勇者と聖女の気晴らしにはなるのだから。

メッセージにてまた感想をもらった

楽しみにしてくれてるようでありがたい

でも、ごめん、言わせてくれ


「深読みしても駄目よ」


有名なのかどうか分からないけど、「作者、そこまで考えてないと思うよ」ですので

いや、本当に

他の方はともかく、俺は深く考えてませんので

そもそも考える能力がありません

なので、肩の力を抜いて気楽に楽しんでもらえるとありがたい


(深読みされて今後の展開を当てられてびびってるわけではない)

(本当だ)

(嘘じゃない)

(信じてくれ)

(頼む)

(頼む……)

(頼む…………)

<吐血・血涙垂れ流しながら>

<以上、ネタとしてこの部分を読んでもらえれば幸い>

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