118回 彼等の現在値、能力表記で見えるもの 4
『覚醒階梯 3』
この項目も意味が分からなかった。
それが何らかの進行過程というか、到達段階を示すものだというのは分かる。
しかし、どうやって上がったのか、なにの階梯を指してるものなのか。
そこが今一つ分からない。
また、同じようなものが他の者達には見あたらない。
グゴガ・ルも鬼人や獣人、イビルエルフにも見られない。
確認出来るのはユキヒコだけである。
ただ、これの効用については分かってる。
ユキヒコが出来るようになった事。
それがこの覚醒階梯と連動してるのは確かだった。
これだけははっきりと分かっていた。
まず、覚醒階梯1というのは一般人の段階である。
普通の人間としての段階であり、ほとんど全ての者達がここにおさまるらしい。
これは魔術を使ったり聖職としての修行とは関係がないようだった。
邪神官やイビルエルフなどがこれを持ってないのだから。
神と交信が出来たり魔術を扱えても、覚醒するとは限らないようだった。
それらとはどうも何かが違うらしい。
ただ、得られる効能は魔術や神より授かる奇跡に似ている。
階梯2より得られる効果は奇跡や魔術によるものにはおさまらない。
似てるように思えるが、何かが違うような気がした。
何がどう違うとは上手く言えなかったが。
ただ、自分にどういう事が出来るのかだけははっきりとしていた。
階梯2で身体能力が大幅に強化される。
これには五感の強化もあげられる。
これらも肉体の一部であるのだから当然だろう。
魔術や奇跡にもこうした効果をもたらすものはある。
だが、これが永続的に続くのだ。
それもかなり自由に効果を設定出来る。
それほど必要無いときには、効果を一般的な人間の段階にまで下げる事も出来た。
おかげで目や耳が鋭敏すぎて困るとか、力の加減が出来ないという事にはならない。
必要な時に必要なだけ強弱を付けられる。
これを何の負担もなしに行える。
効果時間があるわけでもない。
今更ながら、かなり強力なものだというのが分かった。
また、階梯3になって得られたのが超感覚。
超能力とかESPと呼ばれるものである。
遠視や透視、意識を飛ばしたり精神に作用する力である。
五感を超えた第六感などになるのだろう。
相手の感情や思考を読み取る事も出来る。
また、生命を持ってるならば虫や動物とも意思疎通が出来るようだった。
植物などもどうやら可能なようだ。
この力によって自分や相手の能力を識別・鑑定する事が出来てるようだった。
ただ、物体に作用する力はない。
離れた所にある物を動かしたりは出来ない。
だが、それでもこれはかなり強力な力である。
(けど、なんでまた……)
巨大な力が使えるようになったのはありがたい。
しかし、何がきっかけなのかも分からず、どういう条件で上昇するのかも分からない。
(あれが関係してるんだろうけど)
思い当たるのは一つ。
この力が使えるようになる前に見えていた気の流れだ。
それがどう作用してるのかは分からない。
だけど、おそらくは関係があるのだろうとは思う。
(これも探ってみるか)
どうやって調べれば良いかは分からないが、出来る限りの事はしてみようと思った。
だが、それよりも先にやる事がある。
こういう事が出来るようになったのだから有効活用しなくてはならない。
これからの敵攻略に。
(さて、どう使っていこうか)
自分に何が出来るのか、出来る事でどういう事を為せるのか。
それをあれこれと考えていく。
少しでも物事を有利に進めるために。




