116回 彼等の現在値、能力表記で見えるもの 2
(本当に色々分かるもんだな)
あらためてこの能力の凄さを感じていく。
能力が分かるだけでも様々な事を考える材料になる。
能力が高い分野の作業をさせたり、苦手としてる事からは外したり。
この割り振りを簡単にこなす事が出来る。
(種族の違いも大きいし、これは考えていかないと)
今回は他種族も参加してるので、この違いはしっかりと把握してかねばならなかった。
鬼人、獣人、イビルエルフ。
敵として相対していたこの種族についてはユキヒコも多少は知っている。
鬼人は力が強く、獣人は俊敏で、イビルエルフは智慧に長けている。
これらは一般的にも広く知られてる種族の特性である。
だが、詳しい数値として計ったものではない。
あくまで体感としてそう思えるというものでしかない。
しかし、今のユキヒコにはこれらがはっきりと分かる。
だいたいにおいて、この評価は間違ってはいない。
種族の特性としてはその通りである。
だが、あらためて見てみるとそれ以外の部分にも気づく。
単に能力を見ただけでもそれははっきりしていた。
鬼人は力が強い。
これは嘘ではない。
実際、数値で見ると人間を凌駕する体力が示されている。
おおむね150から180といったところだ。
個体差があるが、人間より優れてるのは確かだ。
中にはこれを更に上回る者もいる。
それは持って生まれたものかもしれないし、訓練や鍛錬で育てたものかもしれない。
何にしても人間を上回ってる事に変わりはない。
だが、反射については人間程では無い。
とはいって、85から95というあたりなので、特に劣ってるというわけではない。
しかしここが鬼人の苦手な部分であるのは間違いない。
基本的には力仕事を主に任せた方が良いだろう。
細かな作業などは避けた方が良い。
ただ、判断と心意は人間と同じなので、この部分は普通に接していれば良いだろう。
同様の事が獣人とイビルエルフにも言えた。
得意な面と苦手な面がはっきりしている。
それが分かった事は大きな収穫と言えた。
獣人は反射と判断に優れていた。
俊敏さに勝ると言われてる通りである。
また、動物のように何かを察知する能力に優れてる。
ここは判断の値の高さに表れている。
その反面、意外な事に体力では人間に劣る。
また、心意も幾らか弱い。
極端に劣ってるわけではないが、人と同程度のものを期待するのは難しいだろう。
イビルエルフだと、体力と判断が劣る。
ゴブリンや人間の子供ほどではないが、特に優れてるというわけではない。
ただ、反射は人間よりも高く、心意は大きく上回る。
素早い身のこなしと魔術の才能で知られる所以であろう。
こうして見る事で種族による得意と苦手がはっきりと分かる。
人間を凌駕する部分と、下回ってしまう面があるので、そこを上手くいかさねばならない。
まさか苦手な事をやらせるわけにはいかない。
出来る限り得意な事をやってもらうように動かしていきたかった。
ただ、得意な部分はともかく、人間より下回る部分があるというのは驚きだった。
(かなり手こずったからなあ……)
敵として戦っていた頃は、その優れた部分に苦戦していた。
鬼人の一撃の威力。
獣人の素早い行動。
エルフの魔術。
これらの印象が強く、人間より劣ってる部分があるとは思わなかった。
そもそも、それ程気になるような差があるわけでもないし、そこを実感する機会も無かった。
数値としてこうやってはっきり見るまで分からない事だった。
(となると、どうやって動いてもらおうか……)
苦手な部分を突かれて苦戦しないように気を配らねばならない。
この先も勝利を重ねるならば。
だとして、どういった事をしてもらうのが最善か?
それをユキヒコは考えていく事になる。
なお、各種族のおおよその能力は次のようなものである。
<平均的な鬼人の能力値>
体力 150~180
反射 85~95
判断 95~105
心意 95~105
『頑健』
『持久力』
<平均的な獣人の能力値>
体力 80~90
反射 140~175
判断 110~120
心意 85~95
『野生の勘』
『暗視』
『柔軟』
<平均的なイビルエルフの能力値>
体力 70~85
反射 100~115
判断 85~95
心意 155~195
『魔術適性』
『長命』
個人差はあるが、だいたいこの範囲におさまる者がほとんどだった。
これをどう活かすか悩むところである。
また、何をさせてはいけないのかも考慮せねばならない。
ゴブリン以外の戦力がいるのはありがたいが、悩ましい問題も増えてきてしまった。




