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102回 こちらの動きを気取られないうちに

 新たな能力の使い方や使い道。

 実際に使った場合の効果など。

 これらを調べつつも、やるべき事もこなしていく。

 何よりも必要なのは、今後の策である。

 相手は何かがおかしいと感じ始めている。

 その為にここにやって来たのは判明した。

 わざわざ口を割らせる必要もない。

 開花した能力を早速用いて相手の考えを読み取ったのだ。

 これにより敵が何をどこまで把握してるのかが分かった。



「予定より早いけど、次の段階に進もう」

 この場に居るゴブリン達に指示を出していく。

「捕まえた女はいつもの場所に。

 町の連中は市街に。

 それぞれ送り出してくれ」

「分かった」

「物資は運び出してるな?」

「もちろん。

 もう後方に送ってる」

「なら、町は放棄する。

 門は破壊しておけ。

 外壁も、出来るだけ破壊して再建に時間がかかるようにしておけ」

「すぐにとりかかる」

「本隊には俺から連絡を入れておく。

 だから、他の事は考えないで即座に行動してくれ。

 いつでも出ていけるように」



 指示通りにゴブリン達は動き出していく。

 もともとこの町に長く逗留する予定はなかった。

 快適な居住地ではあるが、行動に制約がかかり過ぎる。

 ユキヒコ達が有利なのは居場所が特定されない事である。

 一カ所に留まっていたらこの利点がなくなる。

 そもそも、この辺りを制圧や占領するつもりもない。

 通り道の確保が出来ればそれで良い。

 村や町などいくらでもくれてやれば良かった。

 取り返しに来たなら譲ってやっても良いくらいだった。

 それよりも、どこにいるのか分からない状態を保つ事の方が重要だった。



 指示通りにゴブリン達は行動をしていく。

 捕らえた女義勇兵達は100人で後方に連行していく。

 手足の腱を斬られたそれらは、更に手足を拘束されていく。

 身動きが取れない状態で荷車に載せられて運び出されていく。

「じゃあな」

 そんな女義勇兵達にユキヒコは見送りの言葉をかける。

「これから聖女としてがんばれ」

 その言葉を誰もが訝しく思った。

 いったいどういう意味なのだと。

 もちろん、答えは無い。



「それと、ユカリだっけ?」

 荷台にくくりつけられてるユカリに近づく。

 声をかけられたユカリは驚いた。

 名前を始めとして、身元を証明するような事は一切漏らしてないからだ。

 身分証明になるような者も、基本的には持ってきてない。

 情報漏洩を警戒しての事だ。

 基本的に外で活動する義勇兵ならば、こういった措置はしている。

 それを接点の全く無かった者が知ってる事に驚く。

 その驚きにユキヒコは全く付き合う事もなく言葉を続ける。

「フユキって奴にはちゃんと伝えておくよ。

 お前がどうなったかを」

「?!」

 今度は驚くだけでは終わらない。

 驚き、愕然とする。

 なぜフユキの事を知ってるのかと。

「まあ、もしかしたらあんたの後にやってくるかもしれないけど。

 その時には仲良くしてやってくれ」

 それだけ言うとユキヒコは去っていく。

 残されたユカリは、その背中に向けて声をかけようとする。

 しかし、猿轡されていては言葉にならない。

 くぐもった音だけが漏れる。

 そうするうちに荷車が動き出す。

 ゴブリン達が引いて押す車は、ユカリ達義勇兵を人里から遠ざけていく。

 それがユカリ達をより大きな不安に突き落としていく事になった。

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