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100回 新たな感覚に戸惑いつつも馴染んでいこうとする

「終わったか」

「ああ」

 寄ってきたグゴガ・ルに応える。

 同時に取り押さえたユカリを近づいて来た他のゴブリンに渡す。

 手際よく手足を縛り上げ、猿轡を噛ましていくそれらを他所に、ユキヒコは状況を尋ねた。

「他は?」

「取り押さえた。

 見えてる範囲にいた奴らは全部捕まえてある」

「念のために周辺の捜索もしておこう。

 どこかに誰かが隠れてるかもしれない」

「もうやってる」

 ぬかりは無いようだった。

「さすが」

「だが、念のためにお前さんにも見てもらいたい。

 その方が確実だしな」

「ああ、分かってる」

 ゴブリンの捜索だけでは不安が残るのだろう。

 そうでなくても漏れや抜けはどうしても出て来る。

 完全を求めるなら、ユキヒコの能力も欲しいところだ。

 そして、それなら既に行っている。

「周りには他にいない。

 捕まえた連中で全部だ」

 拡大した感覚で周辺の様子は把握していた。

「捜索は打ち切ってもいい。

 それよりもすぐに動いておきたい。

 みんなを集めてくれ」

「分かった」

 そう言ってグゴガ・ルは他のゴブリン達の所へと向かう。

 その場に残ったユキヒコは、あらためて次にどうするかを考えていく。

 何より、新たに拡大した自分の能力と向かい合っていく。



 不思議な感覚だった。

 少し意識するだけで、何がどこにあるのかが見通せる。

 それも自分から見聞きしにいくわけではない。

 周囲にあるものが飛び込んで来るような。

 自分が把握しようとせずとも、向こうから存在感を伝えてくるような。

 ユキヒコはそれを受け止めているだけ。

 音や声が向こうから耳に飛び込んで来るようなものだろうか。

 あるいは、風が肌に当たるような感覚だろうか。

 それらと同じで、向こうからやってきたものを感じ取るようなものだった。

 ただ、それが異様に広くに、それも細かいところまで感じ取れる。

 その効果は五感が強化による周辺把握をはるかに超える。

 様々な事を瞬時に把握出来てしまう。

 飛び込んで来る情報量に頭が追いつかない程だった。



(これはこれで面倒だな)

 新たな感覚に戸惑ってしまう。

 いきなり様々なものを見聞きしてしまってるせいだろう。

 感じ取ると言った方がよいその感覚にまだ慣れてない。

(まいったな)

 様々な事が瞬時に分かるのはありがたい。

 しかし、それを処理するための能力が追いつかない。

 全く出来ないわけではないのだが、今までに無かった感覚なので戸惑ってしまう。

 新しい道具の使い方に慌ててるようなものだ。

 いずれ使いこなせるだろうが、それまでまだ少し時間が必要になる。

 ただ、便利なのは間違いない。

 今まで以上に様々な事が把握出来るようになった。

 偵察などで役立つだろう。



(でも、とりあえず必要な時以外はおさめておかないと)

 常時様々な情報が入ってくるのは負担にしかならない。

 必要な時に発動するように抑えておきたかった。

 そう思った瞬間に周囲から飛び込んできていた情報が消えた。

(あれ?)

 突然どうしたんだと思い、慌てて周りを見渡そうとする。

 すると再び情報が飛び込んで来る。

 それに呆然としてると、再び情報が遮断された。

(これは……)

 もしかしてと思い、意識してやってみる。

 まず、周囲の事を把握しようとする。

 そう意識した瞬間に周囲の事が見えるようになった。

 それから、それらを一端遮ろうとする。

 目を閉じるように、耳を塞ぐような調子を意識する。

 飛び込んできていた周囲の有様が消えていく。

(……自分である程度どうにか出来るのか)

 そう思うと少しだけ安心した。

 常に何が起こってるのかが分かってしまうという事態は回避された。

 意図的にある能力をある程度操作出来るようだった。

(こりゃあ、何が出来るか調べないと)

 そう考えて、新たに拡大した自分の能力と向き合う事にしていく。

 ……などと思った瞬間に、また新たな情報が頭に入ってきた。

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