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違和感の朝

時計の針は午前7時を指していた。

昨日のことはよく覚えていない。眼が覚めると自宅のベッドに横たわっていたのである。何だがとても長い夢?を見ていたような気がする。しかし全身怠くて頭が働かない。そうだ、無理もない。昨日までテスト週間で連日徹夜が続いていたのだ。疲れない方がおかしい。「うーん…」大きく伸びをすると、私はハダけた布団をもう一度引き寄せて力一杯に抱き締めた。生ぬるい温もりが伝わってくる。あと10時間ぐらい睡眠と行きたいところだ。しかし、至福のときはそう長く続かないことはわかっている。今日も授業があるのだ。7時半には家を出発しなきゃならない。残酷な現実に私は打ちひしがれた。

「それにしても、どうして今日も登校しなきゃならないのよ…」普通、テスト最終日は金曜日にするだろ。そうすれば翌日生徒は休めるし担任は採点できるしwin-winじゃない?うちの学校はそういう気配りとか出来ないの?私はブツブツと恨み節を巡らせた。変な学校ではないのだが、中途半端に勉強に力を入れて意識が高い点が玉に瑕なのだ。私は枕を顔に押し当てて窓から注ぐ太陽の光を無理やり遮った。しかし、布団の中で嘆いていても何も変わらない。こうしているうちにも世界は動き、地球は回っているのだ。要するに遅刻しちゃうのだ。余裕を持って登校するためにも今すぐ支度をしなければならないのである。

「今日も一日…がんばるぞぃ…ん↓↓↓」私は心を鬼にして定番の掛け声とともに布団を起き上がった。寒い。布団の外はいろいろな意味で寒い。確かにさっきまでフカフカ毛布でぬくぬくしていたのだが。それにしても冷んやりする。私は一度お布団に避難することにした。程なくして自分が全裸だということに気づいた。服を脱いだ覚えはもちろんない。真っ裸で寝る趣味は私にはないのだが、まあ相当疲れていたから寝相も酷くなって脱いでしまったのだろう。私は最後の力を振り絞り、再び起き上がると下着と制服を取り出そうとベッド横のクローゼットにダラダラと向かった。

扉を開くと裏側の鏡に全裸の疲れ切った顔が映し出された。自分で言うのも何だがスタイルは中の上?だと思っている。でも寝起きの顔は酷くて直視出来ない。それに身体の変なところにホクロがあるのは昔からのコンプレックスである。私は鏡から目を逸らした。そそくさと引き出しからパンティを取り出してさっと履くと、次はブラに腕を通しホックを掛けようとした。しかし乳房の収まりが悪く苦戦した。「またキツくなったかな…」これでも随分と成長した方でサイズは88を超えている。なのにまだまだ発展途上である。「んん…///」私は悪戦苦闘した挙句、ブラへ乳房を押し込めて何とかホックを掛けた。それにしても、つい先日サイズを変えたばかりなのに、また新しいサイズを買わ無ければならないと思うと金銭面で憂鬱な気持ちになった。それはさておき、学校指定のシャツに袖を通し、ボタンをしめて、次にスカートに取り掛かろうと拾い上げた。するとボトンッと何かがこぼれ落ちた。どうやらスマホをいれたまま片付けてしまったらしい。私は昨日の自分がメールも確認せずばたんキューと逝ってしまったのだと察し呆れた。「私どんだけ疲れてたのよ…」それはさておき、スマホが無事か拾い上げて確かめようと手を伸ばした。スマホに傷はついていなかった。しかし、全く安心出来なかった。

「これ私のスマホじゃない…」

全身から違和感と汗が吹き出し始める。

時計の針は7時半を回っていた。

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