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友研の日常  作者: 西条 泰
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プロローグ

プロローグにしては長いですが、大事なところを結構詰め込みました。僕の作品は、書いてる自分自身、行き当たりばったりで、考えついたことを書いて。満足している言わば自己満足でしか無いと自分でも思います。

ですが、それを読んでくれて、感想を頂けたら励みになります。なので、感想を頂けるように精進したいと思います。


『ープロローグー』


『第734条

直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。』


この法律にひとつ、物申しても良いだろうか。

俺は思う。兄弟だろうが、何だろうが、愛し合って入れば良いでは無いか。もし、妹と兄が、愛し合っていたとする。そしてその二人は、運命の相手で、その二人はその機を逃せば、一生結婚出来ない。そうしたら、どうする?政府は、責任取ってくれるか?いいや取らない。規制するだけして、後は丸投げだ。ふざけんな!近親相姦規制するから人口も減るのでは無いだろうか。どうしても規制したいのであれば、『恋と嘘』の様に、政府通知制度でも儲けろよ。と、結論を言おう。俺は、妹が好きだ。大好きだ。愛している。キスしたい。Hしたい。……とにかく俺は、妹と結婚したいのだ。だから俺は、この法律は、改正されるべきだと思う。


「…馬鹿なのか?お前」


俺は、ため息混じりに言い放つ。

すると、由梨は、え〜と、眉をひそめる。

そう、俺の妹。由梨は、極度のブラコンである。

本当に、何考えてんだ?こいつ…因みに上の文章は、俺の実の妹、由梨の書いたものだ。然も、ライトノベルとか、そう言うんじゃ無く、学校に提出する、作文だから、もう呆れる以外の事は、俺には出来ん。こいつ一様、中二なんだが…


「お兄ちゃんは、ユリと結婚…したくない?」


「………別に?」


したいと思う気持ちが、少しでもあった自分が憎い。当たり前だろう、少しロリっぽいが、だが、こんな美少女で、ちょっとズレてはいるが、こんなに自分を好きでいてくれているんだ。男子高生たるもの、好きにならんのは、罪というもの。


「私は、したいよ!しよ!結婚!席入れなきゃばれないよ!駆け落ちしようよ!」


「俺は、安定した生活がしたいんだよ。まぁ…お前が、妹じゃ無かったら…正直惚れるし、結婚したいけど…兄妹だし」


そう。俺、西岡由月も、妹ではあるが、由梨が好きだ。一様両思いだろう。そして、俺たち兄妹は、互いにシスコン、ブラコンと言う法律に引っ掛かる、恋をしてしまっているらしい…

クソぉ…恨むぜ神!いや、法律!近親相姦糞食らえ!


「てか、書き直せ馬鹿!これは、ラノベじゃねーんだよ!学校の課題の作文なんだよ!てか何で、一人称が俺なんだよ!先生が、警察に通報したらどうするんだよ…」


「ごめんなしゃい…お兄ちゃんが好き過ぎて…つい、お兄ちゃんもこう思ってくれたらいいなぁ…って」


かわええ…大丈夫…思ってるよ。俺も好きだ…けど、俺は、犯罪は犯したくねーし、親から、縁切られたく無いのでな…


「とーにーかーく!明日までには書き直しとけよ!明日またチェックしてやるから。」


俺は、由梨お頭をポンポンと叩き、頑張れと言い残すと、学校の用意済ませ、家を後にした。

俺の学校は、中高一貫で、由梨と同じ学校に通っている、平凡な高二男子だ。ボッチとか、陰キャとかそう言う属性は、俺には無い。

無い、いや無くなったと、思ったのだが…


「おっはよー!ツッキー君!」


「おはよう由月君いい朝ね。」


「おはよーございます!西岡せーんぱいっ!」


この人たち達は、皆、学園(高等部で)三代美少女と呼ばれる人達だ。なぜだか知らんが、俺にいっつも絡んでくる。だから……この女達のせいで!俺は…俺は男子生徒達から、白い目で見られるんだ……

俺の友達は、この人達…他無しだ。

本当に…とんでもない人達に目をつけられてしまったらしい。こんな美少女達に囲まれ学園ライフ!

と言うのは、嬉しいよ!嬉しいけどさぁ……

俺は、普通の友達が欲しいんだよ!


「どしたの?ツッキー君。ぼーっとして、またえっちぃゲームでもやって夜更かししてたんでょ…ホントに!ダメなんだからね!」


こいつは、クラスメイトの樹蓮華だ。茶髪のショートカットで少し天然っぽい雰囲気があるが、すっごく優しくて、素直で良い子だ。胸もまぁまぁでかいし、無論、超絶美少女だ。勉強が、出来ない事を除けば、完璧な子である。


「どうしたのかしら?そんな可愛いを顔をして、抱きしめたくなるじゃ無い。本当可愛いわね。由月くんは…」


ただ、ぼーっとしてただけなんですが!?

この人は、黒崎花凛先輩。黒髪ロングのクールビューティ。三年の先輩にして、学園の理事長の娘で、普通は、男嫌いのはずだが…俺にはいつも話しかけて来る。高校生思えない程、垢抜けしていて、大人っぽくて…ほんっと…抱きしめて欲しいのだが、そんな事された日には…男子生徒全員から集団リンチされてしまうからな…ただでさえ教室にいるだけで、すげー睨まれんのに…本当、不幸だ…


「おーい!せんぱーい!どーしたんですかぁ?ぼーっとして…もしかしてえっちな事考えてたんですか?良いですよぉ…!もっと私で妄想してください!私も興奮してきましたよぉ…もし、妄想で我慢できなくなったら、私の処女あげますからね…えへへ」


はぁ〜……こいつは、後輩の水無渚…ハッキリ言って痴女だ。いや…一様、処女らしいので、処女ビッチと言ったところだろうか…本当に困ったやつだ。いっつも、何考えているのか分からんが、根は優しい奴なんけどなぁ…

見た目は、髪型はコロコロ変えるからよく分からないが、現在はポニーテールで、髪色は綺麗な金髪だ。だがその金髪は、染めたものではなく、地毛らしい。彼女は、ハーフで母親がイギリス人らしい。あの日本人離れした、顔立ち、透き通ったエメラルドグリーンの瞳、程よく赤みがかった白い肌、それだけの特徴が揃っていれば、察しはつくだろう。

…本当あいつ、下ネタさえ言わなければ可愛いし、良い子なんだけど…


説明も終わったことだし、それでは俺が、この人達と出会った切っ掛けを説明しようではないか。


俺は、小中と、友達が居なかった。元々積極的に人と話すことが、好きでは無いので一人でいたらそのまま結局出来なかった…なので、高校ではそうはなりたく無いと、部活に入ろうと決意したんだ。そうして入学式に…


(部活かぁ…入ったことないけど、どれにしようかな?なんだ?あそこ…人めっちゃくちゃ集まってないか?なになに?『友達研究部オーディション』だと?部活勧誘でオーディションって…何考えてんだよ…それで、何でこんなに人集まるんだよ…でも、俺も友達欲しいし受けてみるか…)


(って…あれ?なんかみんなしょんぼりして帰ってんだけど…何でだ?もしかしてみんなオーディションに落ちてるのか?厳し過ぎだろ…オーディション!俺、絶対落ちるな…)


と、完全に無理だと思った瞬間、自分の番が回ってきた。


「次!はぁ〜本当に。色物目当ての奴しか居ないのかしら?人が折角、友達を作ろうと、部活作ろうとしているのに…」


「えと…よろしくお願いします…」


「可愛い…ううん…えーとっ君は何のためにこの部活に入ろうと思ったのか、教えてもらっても頂けるかしら?」


「なんか…よくわかってないんですけど…友達作りたいなーって思って、部活に入ろうと思ったら…皆ここに、入るみたいだったので…俺もそれに便乗した、と言いますか…」


「それで…?どう?今も入りたい?入りたいなら良いわよ。あなたなら。今のところ、私と二人きりになるけれど…」


少女は、人差し指を立て唇にに当てて言った。


「え〜っと…んまぁ…正直に言うと…入りたいって言うか…お誘いは嬉しいんですが…俺は友達が欲しいだけなんで…正直、黒髪美少女との学園ラブコメとかも、興味がある。てか凄くしたい!でも…ずっと俺は、友達が欲しいんです。だからごめんなさい!」


少女は、不思議な顔を浮かべ、何故か急にクスクスと笑いだした。


「ふふふっ…君は、本当に面白いわね。気に入ったわ。あなた、この部に入りなさい。これは、誘いではなく、命令よ。」


「ええっ?んな…強情なぁ…でも、二人じゃちょっとあれなんで、もう少し増やしてください。そうしてくれたら、こちらからお願いします。」


「まだわからないわ。そんな事。それに私は、あなたと二人っきりの部活と言うのも、非常に興味深いものだと思うのだけれど?」


その言葉を聞いて、俺は少し、頬を赤く染める。

そして、肝心なことに気づく。


「名前…聞いてませんでしたよね?俺は、西岡由月です。」


「私は、黒崎花凛よ。宜しく頼むわね。由月君…しかし、あなた本当に可愛いわね。ちょっと……」


「んぐ…えっちょ…何するんですか!?」


むにゅ…俺の全身を初めて味わう、柔らかな感触がいきなり俺を襲う。気持ちいい。特に顔。凄い…極上の感触だ。今にも昇天してしまいそうな…そんな。感覚を、名残惜く思いながらも脱出し、正面を見ると、花凛が俺の首に手を回していた。そう、俺は、この黒髪美少女の黒崎花凛に抱きつかれ、その胸に顔を押し沈められたのだ…


「ごめんなさい…苦しかった?でも、あなたが可愛すぎるのがいけないのよ…」


可憐は、頬を桜色にほんのり染め、少し恥らうように言った。


「可愛いって!でもそれで何故抱きつく理由になるんです!?」


「君は、何を言っているのかしら?自分の可愛いペットに抱きついて、何が悪いの?」


「俺らぁ犬か!!」


「そうね…犬…良いわね。ピッタリよ!可愛いし、愛くるしい。あなたそっくりじゃない!」


「辞めてくれ!何の羞恥プレイだよ!てか、俺一度も可愛いとか言われた事無いんですけど?」


「それは、単純にあなたに、そう言うことを言い合える友達が居なかったからでは無くて?」


グサリッ…花凛の言葉の槍が、俺の心に突き刺さる。そう。そのとうりだ。そのとうりだとも。俺には友達が居なかった!そうだよこの野郎!わかっては居るんだけど、いざ、人から言われると、すげー傷つくもんだな…


「大丈夫よ。私も友達、居ないもの。」


「何でです?先輩そんなに綺麗なのに…」


「ありがとう。でも、私みたいな外見だと、どんな男でも寄ってきて、女子達は皆私を泥棒猫と言うわ。勝手に言い寄ってくるだけなのに…だから、男って嫌いなのよ。災いしか呼ばないもの。」


花凛は、俺に過去の体験談を話す。

それに対し、俺は何も言ってやることが出来なかった。

………しばらくの沈黙が続く。


「先輩!じゃあ俺が、先輩の友達第一号ですね!そんでもって、俺の友達一号が先輩ですね!」


「ありがとう。あなたが友達で居てくれるなら、私もう何も要らない気がするわ。」


「いやいや!なーに言ってんですか!これから一緒に友達、沢山、沢山、作っていきましょうよ!この『友達研究部』で!」


「ありが…とう。由月くん。あなたは、犬なんかじゃない!あなたは、私のヒーローよ!」


花凛の瞳からは、大粒の涙が零れ落ちる。

余程嬉しかったのだろう。何故なら、今まで花凛に言い寄って来た男達は、花凛の外見だけで、気持ちなど、微塵も考えようとしない奴らばっかりだったからだ。そのせいで花凛が、孤立し、嫌われるのを、知りもせずに。


「あのう…ホント感動の場面に水を差すようで悪いんだけど…オーディション受けさせて貰っても良いですか?」


扉を開け、一人の少女が室内に入ってきた。

驚くことに、これまた美少女。だが、花凛とは、真逆のオーラを放って居る気がする。

何と言うか…なんか明るい感じの…そう。リア充っぽいオーラだ。


「先輩!大丈夫?少し、待っててもらいましょうか?」


「いやや、その必要は無いわ。できるわ…でも…この子は不合格ね…」


花凛は、涙を手で拭いながらそう断言する。


「ええ!なんでですか!酷く無いですか…せめて、オーディションしてくださいよ!」


「うるさい!リア充は、死ね!爆発しろ!そして朽ち果てろ!」


「リア充…まぁ友達は、結構出来ましたけど…」


少女の放った言葉が、まるでスコップの様に、俺と花凛の心を抉り取っていく。

流石に、花凛は言い過ぎたと思うが、俺も思う。リア充は、爆発しろおおおおお!!


「せっ…先輩、せめてオーディションって言うか、話だけでも聞いてみましょうよ!人数が多い方が、この部活もより有意義なものになる。と、俺は主張したいんですが?」


「……まぁ。話だけなら…」


「いーんですか!やったー!ありがとうございます!黒崎先輩!ありがとう!ツッキー君!」


「つっきーくん?何それ?」


俺が、首を傾げて尋ねると、少女は微笑んで、明るく返す。


「君の仇名だよ!私が付けたんだけど…駄目だった…」


「いやいや…嬉しいよ!初めてだからさ…仇名って…」


「くぅ…由月君のハートを掴むとは、なかなかやるじゃないの…小娘。まあいいわ。そこに正座して頂戴。」


花凛は悔しがりながら、自身の長い足を組み、少女を見下すような形で床に正座させた。


「名前は?」


「はい!樹蓮華です!ツッキー君と同じ入学生です!」


「…では、好きな事、得意な事を教えてください。」


「はーい!えっと…好きなことは、友達と遊んだり、買い物行ったりする事で、得意なことは、友達作りです!」


「くっ…由月君…この子、殺しても良い?」


「先輩駄目だ!それは流石にそれは、せめて口で虐めてやれ!もうコテンパンに!」


「ええっ…なんで!?酷くない?ツッキー君まで!」


「樹さん…ごめん。今のは、ちょっと君が悪いかも…俺達ボッチーズの前で、友達沢山アピールしたら…殺されても文句言えないわ…」


この後、いくら花凛が、帰れと言っても蓮華は、「この部に入りたいんです!お願いします!」と言って、聞かなかった。

なので…流石の花凛もその心意気を買って、この『友達研究部』に、樹蓮華が入部することになった。


これが、俺の二人との出会いだった…

それと、その一年後これとほぼ同じことがあり、水無渚が入部した。これも詳しく語ると、長くなるので、今は割愛する。いずれ必ず話すことになるだろうが…そして、今に至ると言うわけだ。彼女達と関わると、ロクなことが無い。だが、今俺は人生で一番楽しいと思える。十七歳で、人生語って良いのか分からないが…少なくても、俺が十七年間生きてきた中では今は最高の時間と言っても良い。


「何、黄昏ているの?由月君…キモかわいい…」


「なんすかキモ可愛いって!俺はゆるキャラかなんかか!?」


俺がそう言うと、花凛は、クスクス笑いながら俺を追い越し歩いていく。


「いいえ、先輩はかっこいいですよ!抱いてください。あんあんあん」


今度は、渚が話しかけて来てまた馬鹿なことをほざく。


「辞めろ!馬鹿。公衆の面前で、この痴女が!」


「では、タイトル変更して、『俺の後輩がしょびっちな件。』やりますか?」


「お前!それは…色々とマズイから!辞めとけよ!」


は〜。何故、こう朝から、疲れさせられないといけないのだろうか。


「楽しそうだね…ツッキー君…私も仲間にいれてよ。」


「この変態女との、会話にお前が入って来れんのか?保健体育の授業ぐらいで、顔赤くしてる奴がよ…」


「あの時は、しょうがなかったんだよ!心準備的なのが…出来てなかったんだから…」


さあ皆さん質問です。保健体育の授業に準備なんて必要ですか?Yes or No

などと、心の中でやっていると、水無が俺に近づいて来て、頬を膨らまし言った。


「先輩!変態女って言うのは余りにも酷く無いですかぁ?私は先輩にしかこんな事しませんよ!?」


「じゃあ、何で俺に言うんですか…」


「何言ってるんですかー?先輩がだけですよ!そんなに本気で私と、遊んでくれるの。だから私、そんな先輩だーい好きですよ!」


「はいはい。ありがとう。俺もお馬鹿なお前が大好きだよ…」


俺は、渚の告白?かは、分からないが、『だーい好きです』の言葉を、ふざけた態度で返す。

何故なら、こいつが俺の事なんて、好きなわけが無いからな。


「じゃあ!両思いですねー!って事で、エッチしましょ!ゴムもありますよー!準備万端です!」


そう言うと、渚は、通学用バックから、大人のゴムを取り出し、ひらひらと、見せびらかす。


「おい!しまえ!馬鹿!本当、馬鹿。お前。屋外だから、この露出狂が!てか、学校に、んなもん持ってくな!てか買うな!」


「先輩は、生でしたいんですか?ごめんなさい今日、ちょうど危険日なので…あっでも…赤ちゃん出来たら、先輩と暮らせますね!じゃあ良いですよ!生でも!貰ってください。私の処女を!」


「ごめんなさい…僕が悪かったです!やめてください。お願いします。そうじゃなきゃ、学校中の男子生徒から、殺されてしまいます。」


俺は、瞬時に渚に土下座をする。そして、頭を地面にバンバン叩きつけ謝罪する。こうしないと、渚は治らないからだ。

本当に俺。虐められるかも…


「先輩!そんなことより、樹先輩、居なくないですか?」


「あれ?本当だ…さっきまで一緒に歩いてたのにな…」


俺と渚は、辺りを見渡し、蓮華を探す。


「いた!あんな所に!結構遠いですね…」


「俺、連れて行くから、先に行っててくれ。」


「はーい!分っかりました!」


と、言うと俺は、蓮華に向かって猛ダッシュ。

そして、到着してみると、案の定。顔を赤くし立ち尽くしていた。

この子は、下ネタに超弱いのだ。なので、あまり、渚と俺と蓮華の三人で、話したくは無かったのだが…


「蓮華…大丈夫か?ごめんな…気づけなくて」


気付かないようなので、体を左右に揺さぶってみると、やっと目を覚ました。


「あれ?…私、何を?」


「蓮華。いつものあれだ…本当ごめん。ってか、ヤバくないか時間ちょっと急がないとな…走るぞ!蓮華!」


俺は、蓮華の手を掴み、走り出す。


「えっ…ちょっ…ツッキー君!?」


(手、握られてる…はずかしいよう…でも、なんか安心する。あたたかい。)


蓮華は顔を真っ赤にし、俯くと、微笑んで、俺の手を握り返した。

学校に着くと、すぐさま俺は、自分の席に腰を下ろす。どうだ?朝だけで、こんなに忙しいんだ。これでも、俺が羨ましいか?読者の皆々様!要するに、俺の周りの…俺の学校の美少女は、顔は良いが、みんな何処かで欠けている、へっぽこ美少女だと言うことだ。

俺の、完璧美少女とのラブコメは何処へやら…

いや、最初からそんな事、望んではいないが…

と言うか…ていうか、ヒロイン達はどうせ俺のこと好きじゃ無いし…って事は…ラブコメにもなってないじゃん!!俺は、ただ振り回されるだけかよ!

本当、俺を好きなのは、妹だけかよ…

まあその妹が、彼女達に負けないぐらい可愛いからいいけどさ…妹ラブコメねぇ…


「はいはーい!皆、席につけ!転校生来たぞぉ!」


俺が一人。馬鹿なことを考えていると、ガラガラっと教室の扉が開き、先生が入ってきた。

この時期に転校生とは、珍しい。何故なら、今は、五月。新学期が始まって、まだ一ヶ月も立っていないのだ。


「苑龍彩華だ。私は、貴様らなどと、馴れ合うつもりなど微塵も無いので、話しかけるな。豚共。」


(うわぁぁぁ…なんだこの女!友達作る気ゼロですか?!!ん?てか、苑龍彩華ってどっかで…)


そう心の中で絶叫し、苑龍をしっかりと見た。

そしてそこに立っていたのは、銀髪碧眼の美少女だった。背は、そこまで高くは無いのだが、何故か凄い気迫というか、オーラを感じる。

この子も、美少女か…何故、俺の周りに現れる美少女は、訳ありなんだ

先生も少し困っているようだ。当たり前だろう。転校初日から、クラスの女子を敵に回す様な奴…

男子は、これはこれでいい。とか言ってるが、俺も出来ればあまり関わりたく無い…何故なら、既に俺の周りには、ポンコツ美少女が三人+ポンコツ妹が一人いるんだからな…


「じゃあ…あそこの席。西岡の隣に座って…西岡面倒見てやれよ…」


「えっ…俺?」


(俺の隣かよ!?まあ、席空いてるけど!本当、あんま関わり合いたく無い…)


「………フン」


苑龍は、俺の隣まで来ると、嘲笑う様に鼻で笑った。勿論、俺はマゾでは無いので、ムカつきはしても、興奮などはしなかった。

そして、俺は、無意識に貧乏ゆすりをしていた。

そのまま貧乏ゆすりを続けていると、脚が机に当たり、自身の机から、一冊のライトノベルが落ちた。俺は、拾おうとライトノベルにてを伸ばす。そして、ふと、そのライトノベル作者名を見ると、驚きで、声を上げてしまいそうになったが、口を押さえガードした。


「えんりゅう…さい…か?」


そう、そのライトノベルの作者名とは、苑龍彩華という名前だったのだ。

……いや〜偶然だな…同姓同名?てか、本物だったら、本名でやってるのか…


「人の名前を呼び捨てにするな…フン。私の作品か…土下座して頼むならサインしてやってもよいぞ。」


「やっぱりか!?なんか、会えて嬉しいけど…なんか悲しい!複雑な気持ちですよ!僕!」


「フン。消費豚が。貴様らは、私の作品をブヒブヒと、読んでいればいいんだ。この苑龍彩華の作品を!」


再び、俺を見下す様に、足を組み、不敵笑みを浮かべる。

苑龍彩華。『烈炎灯花伝』の作者で、全巻トータル100万部越えの人気ラノベ作家。

クソッ…これで、売れない作家だったら、まだ言い返せたのにな…超人気小説家で、実力はあるんだよな…それに、俺、本当に消費豚だし…


「あのう…授業初めても…いいか?」


(ダメだこれ…先生が、JK相手にビビってるよ…)


授業が始まると、隣から威圧感を感じる。なんだろうと、横目で隣を見ると、苑龍がやけにそわそわしている。少し観察すると、教科書がないことに気づいた。

……しょうがない貸してるか…

俺は、苑龍の肩をトントンと叩き、小声で話しかける。


「あの…教科書無いなら貸けど…」


「遠慮しておく。お前に借りを作るわけにはいかないからな…」


と、苑龍はそっぽを向いて悪態つける。


「貸しとか、借りとか正直どうでもいいから、ほら…」


「フン…礼は…言わないからな…」


「良いよ…別に…教科書ぐらい」


俺は、そう言うと、苑龍の机と自分の机をぴったりくっつけた。


「おい!近寄るな。ボケが!」


「は!?何言ってんだよ!近寄んねーと見えないだろうが!勘弁してくれよ…ってなんで俺が、下手に出ないといけないんだよ!」


「まぁ…見せてくれたことには、感謝してやらんこともない…」


苑龍は、少しだけ頬を赤らめ言った。

全く、もー素直じゃないんだから…


「貴様なら、我が下僕になることを許そう。」


今更だが…わかった気がする。こいつ、上から目線ってだけではなく、ただの厨二病なんだと思う。

正確には、高二病と言ったほうが良いのだろうか。


「おい。お前、本当は、友達欲しいんだろ?」


「ななな…何を言っているんだ!馬鹿野郎!」


やっぱり…文章書いていると、キャラに感情移入し過ぎて、キャラになりきってしまうと聞いたことがある。この子もそうなのだろうか。

思い出したぞ!こいつの喋り方は、『烈炎灯花伝』の『黒咲蓮子』と言うキャラクターそのものだ。だとしたら、クオリティーが高過ぎるな。

でも、素は良い子なのかもな…


「お前。素に戻れよ!蓮子の真似してないでさ…」


「真似などではない!黒咲蓮子のモデルは、私なのだからな!」


「えぇ!?お前がモデルなの!?」


前言撤回。良い子じゃないわ…この女。

どおりで、なりきりにしては上手すぎると思った。

潔癖で、人間嫌いな蓮子のモデルなんて、いい子のはずがない。


「やっぱり?みたいな顔をするな!!私だって嫌なんだ。自分自身が…それに、人間嫌いでも、潔癖でも無い」


「そうなのか?じゃあ何で、皆んなと仲良くしようとしないんだ?」


「わからないんだ…人との接し方が…中学の時は、学校に行かず、ずっと家にこもって、本を読んだり、書いたりしてたからな。」


苑龍の顔が、突然暗くなり、俯いてしまう。

この子も、この子なりに、悩んでることもあるんだな。そういう事なら、ぼっち歴十一年の俺に、良い考えがある。


「そうか、そう言うことなら、俺たちの部活に来いよ!そして、友達たくさん作ろうぜ!」


「…っ…部活?」


俯いていた、苑龍の顔がこちらを向いた。

そして、呆気にとられたように、口をぱかぁーっとあけこちらを見ている。


「そう!友達研究部だ!俺と他三人の小規模な部活だけど、結構楽しいぞ!部活内容とか、方向性とか皆無なんだけどな…」


「良いのか?私なんかが入って…空気をぶち壊したりするかも知れないぞ?」


「安心しろ。そういう奴の集まりだ。皆んな、空気なんて全く読まねーよ。」


「ツッキー君!酷いよ!私。空気読むの得意だよ!」


俺が、熱く。熱く。語っていると、蓮華が横から水を差してきた。


「あんた。今、現在進行形で読めて無いでしょうが!」


「苑龍さん!私、樹蓮華!宜しくね!私もとも研の一員なんだー」


「こいつビッチだな。私の嫌いなタイプの女だ。消えろ。この尻軽アバズレ女」


「ビッチ…尻軽…アバズレ…うぅ」


苑龍の言葉で、蓮華は、まるで赤子の様に、わんわん泣き叫ぶ。


「泣くなって!蓮華。よしよし。お前は、清楚な女の子だよ。コラ!苑龍やめてやれ!こいつ下ネタ苦手なんだよ!」


「こんな如何にも、ヤリ●ンみたいな外見でか?清楚系ビッチという奴なのだろうか…」


「ヤリ●ンて…お前…頼むから、俺の良い話、ぶち壊さないでくれよ!まあ…いいか。とにかく、部室行くぞ。二人とも」


「おう」


「グスッ…うん」


そうして俺たち三人は、部室に向かった。

部室には可憐がいて、俺が事情を話し、苑龍を入部させてやりたいと言うと、快く了承してくれた。


「無事、苑龍も入部したことだし。さあ皆んな!部活を始めようか!」


御閲覧頂きら有難うございました。是非感想を宜しくお願い致します。改善点など、自分では分からないことを指摘してもらうというのは、どんな辛口意見であっても嬉しい事です。なので、どんな感想でも、書いて頂けると光栄です。

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