偽りの家族
〜二ノ宮家〜
深夜2時に二ノ宮家の扉をドンドンドンと叩く。
春樹「おじさん!おじさん!!、お願いです。出てきて下さい」
その調子でドアをしばらく叩いていると向こうからドアが急にバン!という音を立て開いた。のでその勢いに軽く吹き飛ぶ。どうやらドアを蹴って無理矢理開けたらしい。
おじさん「貴様坊主!!こんな夜遅くに人を起こすとはいい度胸だな、覚悟しておけよ、今日という今日は――」
春樹「罰ならいくらでも受けます。ただ妹が病院からいなくなったんです。おじさん達も探して下さい!お願いです」
土下座して頼んだ。正直少しの時間でも惜しいからだ。
するとその僕を見るとおじさんは ハッ、と鼻で笑い
おじさん「なんだ、そんなことか 」
と吐き捨てるようにいった。
春樹「そんなことっておじさんは僕らの身元引き受け人ですよね!現にお父さんとお母さんの保険金だって僕の代わりに引き取ったはずです」
おじさん「確かにお前らの親から金は受け取った。」
春樹「だったら――」
おじさん「しかしワシは身元引き受け人になっただけで、お前らの本当の親じゃない、だから妹の管理はお前の仕事じゃないのか?」
春樹「なっ…!?」
一瞬言葉を失った。何を言っているのかわからなかった。
おじさん「どうせその辺フラフラでもしとるんじゃないのか、家出なんてガキはよくするだろ」
春樹「家出って、ホタルは入院してるんですよ!」
おじさん「だったらずっと入院してストレスでも溜まってたんだろ!まったくはた迷惑なガキだ」
春樹「ホタルは意味もなく人に迷惑をかけるような子じゃないですよ!」
さすがに妹のことまでバカにされると少し感情的になってしまう。
おじさん「はっ、どのみちそれじゃ行方不明かどうか断定はできんよ、ワシは明日もはやいんだ」
春樹「おじさん!!」
おじさん「ああそれとさっきの話だが、」
とおじさんが顔だけ向けるとつまらなそうに
おじさん「お前らの親から受け取った金はお前らの学費や入院費に当てているんだ。もうとうの昔に使いきっておるわい」
春樹「今…なんて…?」
いやだっておかしい。お父さんとお母さん二人の分の生命保険のはずだ。いくらホタルの入院費で多く持っていかれても僕は中学2年生でホタルにいたってはまだ小学3年生だ。いくらなんでも早すぎる。普通に考えても僕らが高校を卒業してもおつりが出るくらいの額はあったはずだ。すると僕は材料可能性に気づく。僕がきてから全体的に大胆なリフォームをした家、そして無駄に高い高級食材の買い出し
春樹「…まさか、全部自分達の分に使ったんですか?家のリフォームも食事も全部…?」
そう言うとおじさんが体が少し動いたのを見て確信する。
春樹「…うそ、でしょ」
僕はそう言いながら少しずつ後ずさる。
おじさん「いや待て、今のはあれだよだから――」
と、おじさんは言い逃れをしようとして寄ってくるが
僕は最後まで聞かずに後ろを向くと同時に走り出した。
もう何も考えたくなかった。ただ懸命にホタルを探すためだけに走った。しかし、しばらくすると急に視界がぼやけけてきて、吐き気と気分の悪さに床に座り込む。そして色々な事がいっぺんに起こったせいかそのまま意識が途切れ、倒れた。