村人D
短編です!
少しの暇つぶしに使ってもらえたら嬉しいです
文章が読みずらいかもしれませんが、最後まで読んでください。
感想をもらえたら嬉しいです(ダメな所を重点的に)
ではお楽しみください
もしこの世界が何かの物語だったとして、もしこの世界に主人公という者が存在したとして俺は主人公になれない。
主人公になれる者は、人生がなにかしらで劇的なんだろう。それが喜劇か悲劇かは別だが・・・・
こんな毎日家で引きこもってゲームしかしていない俺には主人公になる資格すらない。
俺はモブキャラがピッタリだろう。
だが物語の舞台がこの世界ではないのなら俺は主人公になれるかもしれない・・・・・・
俺の名前は森島ノブ。中学3年生の引きこもりだ。
今は、二日前に発売されたゲームに打ち込んでいる。エンディングが感動できるらしい。
そのゲームのジャンルはRPG、主人公が魔王を倒すという正直ありきたりな設定だ、だがこれで感動できるらしい。
「やっべ!剣と鎧の耐久度がないな。修理しないと・・」
この二日間ずっとプレイしたおかげで最後の町まできた。
今は夕方の6時前、この調子で行ったらラスボスの前くらいで飯の時間になる。
それなら、少し早いけど今飯にしようと決めてメニュー画面を開いてセーブボタンを押そうと思った時、メニュー画面にこの二日間見たこともないボタンがあった。
「世開」と書かれたボタンだった。
「せかい?って読むのかな?」
俺は少しの興味本位でそのボタンを押した。
その瞬間、ゲームをプレイしていたモニターから凄い勢いで光が出てきた。
その光が俺自身を包んで自分の部屋が確認できなくなるまでになった。
そして俺はあまりの眩しさに目を閉じた。
次に目を開けると俺の部屋の中ではなかった。というか室内じゃなかった。
辺り一面草原で俺の後ろに大きな木が立っていた。
「へぇ?」
俺はいきなりの不思議展開で変な声が出た。
今の今まで自分の部屋にいたのに、いきなり草原の中心にいたので俺は夢ということで納得した。
まぁこれが夢なら楽しもうという結論に至ったのだ。
自分の右手の甲に違和感があった。そこを見てみると何故かそこには四角い小さなボタンらしきものがあった。
とりあえず押してみる。
目の前に四角い大きめの画面が出てきた。
この画面は俺がこの二日間やりこんでいたゲームのメニュー画面と分かるのに時間がかかった。
左上の自分の名前に「村人D」と書かれていてレベルが4になっている以外は、メニュー画面その物だった。
メニュー画面がタッチパネルになっていて俺はメニュー画面をしばらくいじっていた。
持っているアイテムは初期アイテムしかなかったが、一つ見たことないアイテムがあった。
「ナビピクシー」と書かれたアイテムだった。
そのアイテムを選択すると、ポンと俺の手の平に小さな女の子が現れた。
大きさは約10cmくらいの背中に自分の倍くらいの本を背負っている女の子だった。
俺は驚きのあまり手を振り上げてしまった。女の子が俺の手から落ちるがきれいに着地した。
俺は腰を抜かし立てなくなっていた。
「そんなに驚かなくても・・・」
女の子は少し困った顔をした。
「じゃあここはマニュアル通りに!」
女の子は背中の大きな本を取り開けた
「ようこそ!ここはゲームの世界です!あなたは一日だけこのゲームの世界に転生しました、今からゲームの世界をお楽しみください」
女の子は俺をほったらかしにして説明を開始した。
「この企画はゲーム好きの為に企画されたものです。参加資格はゲームをもの凄く愛している気持ちだけです!以上で説明は終わりです。何か質問はありますか?」
そう言って女の子は本を閉じた。
「いや、質問もなにも話についていけないんだけど・・・」
「とりあえず、君はゲームの世界に一日だけ入ったのそれだけ理解したらいいわ」
俺は女の子の話を信用したわけではなかったが、これが夢でもこんな忠実にゲームの世界を再現しているのだから楽しまなくちゃ損だ。
そう結論を出し俺は「わかった」と女の子に返事をした。
「俺は君のことなんて呼べばいいの?」
「私はナビピクシーなのでナビと呼んでください」
「了解!これから俺はどうしたらいいの?ゲームをクリアしたらいいの?」
「それは君の自由です。君はゲームに入ったわけではなくゲームの世界に入ったのです。そこで何をしても君の自由なのです」
「そうか・・・・・」
俺は少し考え「じゃあゲームをクリアしようか!」という結論を出した。
「あの~私の説明聞いていました?何をしてもいいんですよ?」
「ということはゲームをクリアしてもいいんだろ?」
「そうですけど、こんな機会なんて全然無いんですよ?普通のゲームじゃ経験出来ないことしたくないんですか?」
「このゲームのエンディングが感動できるらしいんだよ!そのエンディングをゲームの世界に入って見るとか最高じゃん!」
「では!目標はエンディングを見るということで!」
「目標も決まったので、目標のためにレベル上げをしましょう」
「俺のレベルはさっきメニュー画面で見たら4レベだったな!流石にこれじゃ魔王は倒せないな・・・」
「そうですね、ではこの周辺の低レベルモンスターがいる地点まで飛びます。私の手を掴んでください」
俺はナビの小さな手を掴んだ。
その瞬間、視界全体が白くなり何も見えない時間が3秒程続き、視界がひらけたら森の前に俺とナビは立っていた。
「まぁレベル上げって言ったらモンスターを倒すんだろうけど、それでもし俺がやられたらどうなるの?」
「その場合は、その瞬間にこの企画が終了となり家に帰されます。死ぬこともなく、多少の反動があるだけで攻撃自体も痛くありませんよ」
「そうか、とりあえずこの辺りのゴブリンに挑んでみるか・・・・・」
俺はメニュー画面から剣を出し森の中に入っていった。
結果は惨敗だった。最大100あるHPが残り5になるのを確認して俺は逃げ出した。
その後安全な場所に行きナビに回復してもらい、また挑んだが次も同じような結果だった。
「なんで俺の攻撃が当たらないんだよ!」
「君がスキルを使わないからだよ!」
「スキル?それってどうやって使うの?」
「スキル名を叫ぶだけで後は体が勝手に動きますよ!あと所有しているスキルはメニュー画面で確認できます」
ナビの言う通りにメニュー画面を開き、スキル一覧を見た。
俺の所有しているスキルは二つしかなかった。
「ライトスピア」と「捨て身」だった。
ゴブリン三戦目
敵の数は一体。俺はゴブリンの後ろに回りこみ剣を振り下ろした。
それをゴブリンは、間一髪で避け俺の剣の間合いから距離をとった。
「それで間合いをとったつもりかよゴブ!「捨て身」」
「捨て身」はアクション系のスキルではなく自身を強化するスキルだ。30秒だけ自身の攻撃力と敏捷性を大幅に上げる。だが30秒後自身のHPは1%まで減るというスキルだ。まさに捨て身。
俺の最大HPは100。30秒後には1%だからHPは1になる。
この30秒が勝負だ。
「ライトスピア!」
「ライトスピア」は突き技の初期スキルだ。自身の武器に光が纏い少しだけリーチが伸びる。
「ライトスピア」を発動した瞬間、俺の体が勝手に突きの姿勢になりゴブリンにまっすぐ剣を突いた。
ゴブリンはその攻撃でHPを0にしたらしく、地面に倒れたまんまになった。
普通「ライトスピア」一発で倒せるものじゃないのだけど、「捨て身」で攻撃力を上げていたからだろう。
「初勝利おめでとうございます!」
手をパチパチと叩きながらナビが俺に言ってきた。
「でも、ゴブリン程度に「捨て身」まで使うのはダメです!2時間後にはスキルを一度も使用しなくても勝てるようになってもらわなくてわ!」
「はーい」
俺とナビはまた森の中に入っていった。
それからちょうど2時間が経過した。
俺はスキルを使わずにゴブリン2体までなら倒せるようになった。
「これでチュートリアルは終わりです!君もこの世界の戦闘に慣れたでしょう」
「そうだな・・・。あとその君ってやめてくれない?」
「じゃあどのように呼べばよろしいですか?」
「森島でもノブでもなんでもいいよ」
「じゃあ頭文字と最後の文字をとって「モブ」というのはどうでしょう?」
「それだけはやめて!」
「冗談です!ノブと呼ばせてもらいます」
「それでいいよ!」
「それでは魔王を倒しに行きましょうか」
「さっきの魔法みたいに魔王の城まで、瞬間移動出来るとか?」
「それは残念ながら出来ません!瞬間移動が出来る地点は君が一回でも訪れたことのある場所に限られます」
「そうかじゃあ、最後にセーブした村まで行こうか!」
「じゃあ私の手を握ってください」
俺の二回目の瞬間移動は、大きな町の門の前に出た。
「じゃあ入りましょうか・・・」
俺はナビの後ろについて歩いていた、だが門を潜る瞬間俺の肩がガッシと誰かに掴まれた。
「おい、何だその服装!名を名乗れ!」
その声の主は、この町の門番だった。
今俺の服装は上下ジャージでゲームの世界に溶け込めていなかった。
俺はナビに助けを求めたがナビは「普通に名前を名乗ったらいいんですよ」と平然としていた。
「森島ノブ!」
「森島ノブ・・・・・。少し確認するからそこで待ってろ」
そう言って門番は、自分のカバンから名前がたくさん書かれたリストを出し、俺の名前があるかを確認した。
「おいそんな名前の来客は聞いていないぞ!ちょっと来てもらおうか!」
門番は俺の肩を強く引っ張った。
「ちょ!ナ、ナビ!?助けて!」
「それはこの世界でのあなたの名前じゃないでしょ!」
ナビの言葉に直ぐにはピンとこなかったが、しばらく考えたら思い出した。
「む、村人D」
そう俺のメニュー画面に書かれていた名前だ。
こんなので通るのかと思ったが、門番はあっけなく「ああ!村人D様ですかようこそ!」と俺の肩から手を放した。
「ナビ!さっきのなんだったんだ?」
俺とナビは、あの後門番が町に入れてくれたので町の商業通りを歩いていた。
「なんで俺の名前が村人Dなんだ?てかこれ名前か?」
「名前ですよ!説明しませんでしたっけ?」
「してねぇよ」
ナビは「おかしいな~」と言いながら、また自分の背中の大きな本を取り開いた。
「私どこまで話しました?」
「え~と、この企画はゲームに入る企画で、参加資格はゲームを愛してるってだけだよ!」
「あちゃ~、すいません説明不足でした。まず参加資格!これはゲームを愛してるだけではないんです。現実がゲームに侵食されている人が対象になるんです。そしてこのゲームに入る人をプレイヤーと呼ぶとしたら、プレイヤーはゲームに入る段階で職業が与えられるんです。この職業は現実世界の立場とか周囲にどの様に見られているかが影響します。これまでのプレイヤーの中には、敵モンスターだったり、主人公の仲間だったり、そんな人がいました。ここまでは大丈夫ですか?」
「なんとなく・・・・・」
「でも、まさか固有名詞が無いプレイヤーは初めてです!」
「まさか俺が村人Dなわけって・・・・・」
「現実世界で相当な立場でいられるからですね」
「それを言わないで・・・・」
「で、説明はそれで終わり?」
「いえ!これからが肝心です!この企画で一番魅力的なことは、プレイヤーが行ったことが本当のゲームに反映されることです!」
「はぁ・・・・・・?」
「例えば、この企画中にあなたが盗みを行うと、本当のゲームでいきなり盗みをする村人Dが出てきます!もし主人公を殺してしまうと、いきなり主人公を村人Dが殺すというバグが発生して発売中止になると思います!この世界で行ったことは絶対に反映されますから!時々ゲームでいきなり変な行動をするキャラがいませんか?」
「まぁ時々な!」
「それはこの企画に参加したプレイヤーの可能性があります!」
「なるほどね!まぁ俺には関係ないな!普通にプレイするだけだし!」
「そうですね!」
「じゃあまずその辺りの酒場に行こうか」
「何故です?」ナビは首を傾げた。
「酒場ってのは大体情報が集まる場所なんだよ!」
「なるほど!」
俺とナビは酒場に入り、カウンターに座り向かいにいるバーテンダーに話を訊いた。
「すいません!最近何か変わったことがありましたか?」
「おい!兄ちゃんしらないのか?この国の姫様が攫われたんだぞ?」
「誰に?」
「魔王だよ!今大事件になってるぞ!」
「そうなのか!わかったありがとう」
こんな会話をして俺は席を立った。
「何かわかりました?」
「このゲームのクリア条件がな!姫が魔王に攫われたんなら魔王を倒して姫を救出したらクリアってことだ!クリアしたらエンディングが見られる!」
「なるほど!じゃあ魔王を倒しに行きましょうか!」
「いや村人Dじゃ無理だろ!あっ!さっきのゴブリン討伐でレベル上がってないかな?」
そう言ってメニュー画面を見たらレベルが6になっていた。だが新しいスキルを覚えてはいなかった。
「はぁ~~」とため息がでた。
「元の96レベにデータだったら使えるスキルの効果から動作まで全部覚えてたのにな~」
「流石村人Dになるだけありますね!」
「いやそれを言うなよ!」
「おい君たち!」
大きな声が聞こえたのと同時に俺の肩が叩かれた。
振り返って見ると、大柄な男がそこにはいた。
門番がまた来たかと一瞬焦ったが、門番というより冒険者の様な服を着ていた。
「君たち、魔王がどうこう話していたな、悪いが少し聞いてしまった」
「別にいいですけど・・・・」
この男はどこかで見たことある姿をしていた。
「魔王は危険だ、君たちの様な子供とピクシーが挑める相手ではない!」
「それはわかっているんですけど、姫様をどうしても助けたくて・・・」
俺は思ってもないことを言った。
「それは皆がそうだ!」
一言一言が力強く俺の体に響く。
「だが、君たちの様な若者の挑戦を助けるのも私達大人の務めだ。」
なんかゲームの主人公みたいな性格だなこの男
「私が君たちの挑戦をサポートしよう」
男は右手を俺の方に出してきた。
その手をずっと見てるだけだった俺にナビが「仲間になりたいと言ってるんですよ」と言ってやっと理解した。
「仲間ってこんなゲームみたいに簡単になるもんなの?」
「まぁゲームの世界ですから」
「なるほど・・・」
「じゃあよろしくお願いします」
俺は男が出した右手をとり握手をした。
「私の名前はソニックだよろしく」
「俺は森島 ノブで、この肩に乗っているのがナビです」
「ちなみにこの方は、この世界における主人公ですよ」と肩に乗っているナビが言った。
俺達三人は門を潜り、魔王の城に向かった。
「ソニックみたいな性格じゃなきゃ主人公になれないとか、無理だろ」
「そうですね!ノブには絶対無理そうです」
「そりゃ、固有名詞がないからな」
自分で言って少し悲しくなった。
道中のモンスターはソニックが全部引き受けてくれた。
流石にレベル6が戦える相手ではないのだけど、それでも少しソニックに罪悪感があった。
「悪いなソニック!全部任せて」
「いいさ!これも自分を磨く為の訓練だ!」
ソニックのTHE主人公キャラにも少しなれてきた俺だった。
魔王の城に着いた。
案外あっさり着いて驚いた。
「じゃあ入るか・・・・」そう言ってソニックが城の扉を開けた。
中には大きなドーム状の空間があった。
大きさは学校の運動場くらいの大きさだった。
その先に鉄格子があり、その中に人が一人入っていた。
「ナビあれが姫様か?」
「多分そうです」
「じゃあ入るぞ!」
そう言って一歩踏み出すと、上から大きな物体が降ってきた。
それは大きな人型をした魔王だった。
「小癪な人間風情が、ワシの城に入るなぞ許さんぞ」
そう言って魔王は、背中から大きな斧をとり振り下ろした。
その斬撃をソニックは剣で止め「今の内に姫様を救出しろ」と俺達に言った。
俺とナビは、ドーム状の空間の端を歩いていた。
中央では今ソニックと魔王の戦闘が始まっていた。
そして奥の鉄格子がある所まで到着した。
鉄格子の中には、姫様がいた。
白いドレスを着て、金髪の少女だった。
「助けに来ました姫様」と言うと、大きな瞳が俺の方を向いた。
俺の後ろからドン!と音がした。
ソニックのことが心配になった俺は振り返った。
だが俺が想像していたこととは逆のことが起こっていた。
魔王が地面に倒れその上にソニックが立っていたのだ。
魔王にはまだ息がある様だった、そこがソニックの悪いところだ。
「ノブこっちは終わったぞ!」
ソニックが俺に向かって言ってきた。
その後、姫様を閉じ込めていた鉄格子を切断し、姫様を救出した。
これでエンディングが見れる筈だった。
魔王の城からの帰り道、王城へ向かって歩いていた俺達は、終始無言だった。
王城に近づいてくると、バンバンと火薬が爆発する音が聞こえた。
それは王城に近くなるほど大きく聞こえた。
多分王城で何かセレモニー的なことを行っているのだろう。
「この音は何?」
俺は一応ナビに訊いてみた。
「多分、姫様の帰還を皆さんが祝っているのだと思います」
「おい救出してから30分くらいしか経ってないぞ?情報早すぎだろ」
「まぁゲームの世界ですから」
「なるほどね」
王城に着くと、王の間にそのまま連れていかれた。
そうして、そこには王がいた。
これもTHE王みたいな風貌をしている。
「この度は私の娘を助けてくれてありがとう」
王が言った。
「いえいえ当たり前のことをしただけです」
俺はソニックが言いそうなことを言った。
「だが、娘を助けてくれた君たちには悪いが、今回褒美は1人分しか用意してないんだ」
まぁそうだろ。普通はソニック1人で倒す筈だったんだから。
実際ソニック1人で倒したんだけど・・・・・
ここで俺の悪いところがでた、エンディング見たさでソニックに褒美を譲れなかった。
俺が迷っているとソニックが「今回私は、この少年の挑戦に同行するという形だったので、褒美はこの少年に渡してください」と言った。
どこまでもTHE主人公なソニックだった。
「ソニックいいのか?正直戦ったのはお前なのに・・・」
「いいんだ、別に褒美が欲しくて戦ったわけではないからな」
「では、この褒美はこの少年に授与しよう」
大きなホールに貴族らしき人たちが集まって、踊ったり食事したりしている。
姫様が帰ってきて、2時間後に50人以上が集まるって凄いなっと思った。
ナビ曰く「ゲームの世界だから」らしい。
そしてそのパーティーの中で俺は勇者として称えられた。
少し居心地が悪くなったので、1人になるためにホールから出た。
「ナビ後何時間?」
「あとそうですね、1時間半くらいですね」
「そうか、このまま行ったら普通にエンディングが見られそうだな」
「それがそうなのですが・・・・・・少しまずい事になりました」
「どういうこと?」
「この企画のことは覚えていますか?」
「覚えてるよ!ゲームに入る企画で、入る時に職業が与えられる。そしてプレイヤーが行った行動は本当のゲームに反映される。そんな感じだろ?」
「はい大体合ってます。ですがこの状況が本当のゲームに反映されたらどうなります?」
この時俺は自分がやってしまった間違いに気が付いた。
俺はこの世界で「村人D」なんだ。
その「村人D」が主人公を差し置いて姫様を助けてその褒美をもらった。
これが反映されたら、ゲームとして成り立たなくなる。
「このままこの企画が終了したらどうなるんだ?」
「多分、姫様を勝手にモブキャラが助けるというバグが発生し、そのバグは絶対に消えないので発売中止になると思います」
俺のこの二日間のやり込みが白紙になる。
そんなことになったらエンディングどころではない。
「どうしたら発売中止を中止できる?」
「姫様を魔王の城に戻したら大丈夫だと思います」
「了解」
俺は姫様を外に呼び出した。
俺が救ったこともあって、あっさり俺に付いてきた。
「こんな所に呼び出してすいません!」
「いいえ大丈夫ですよ」
「初めに謝っときます!すいません」
そう言って俺は姫様を抱え走った。
このことに対しても姫様は何も抵抗しず楽に王城から出れた。
しばらく走りもう少しで魔王の城って所まで来た辺りで俺の肩を誰かが掴んだ。
それで俺は勢いを失い止まってしまった。
俺の肩を掴んで止めた犯人は、ソニックだった。
「おいノブ何をしている?この先は魔王の城しかないぞ」
ソニックが会ってから初めて怖い顔をした。
「姫様をどこに連れて行く?」
「魔王の城だよ!俺には俺の考えがあるから邪魔しないでくれ」
「どんな事情があれ、魔王の城に姫様をもっていくなんてマイナスしかないぞ」
「いやこのまま行くと、俺のこの二日間が0になるんだよ!頼む退いてくれ」
「話が見えないな・・・・・。こうなったら実力行使するぞ?」
ソニックは剣を俺に向けてきた。
「そろそろお前のTHE主人公キャラもウザくなってきたぞ」
俺は姫様を話しソニックに剣を向けた。
96レベルの奴と6レベルの奴が剣を向け合ってる。
正直このレベル差で勝つのは無理ゲーだ。
姫様は俺の少し後ろで見てるだけだった。
「ナビ少し離れてろ」
「このレベル差では無理です。やめた方がいいと思います」
「俺に何も策がないと思うか?俺を信頼しろ」
「了解です」
ナビは姫様くらいの所まで下がった。
「いくぞ!兜割り!」
ソニックが間合いを詰めてきた。
そして剣を上に構え振り下ろした。剣が光りその光が縦に軌跡を描いて俺の頭に向けて攻撃した。
その攻撃を俺は紙一重でかわした。
普通このレベル差の攻撃を避けるのは無理だ。剣の軌道すら見えない。
だが俺にはソニックの剣の軌道がわかった。
「旋風切り!」
俺に攻撃をかわされたソニックは、間髪入れずに違うスキルを出してきた。
ソニックが体を回転させ、振り下ろした剣がそのまま円を描がき俺の方に向かってきた。
その攻撃も俺はかわす。
「何故私のスキルをかわせるんだ?」
ソニックは度肝を抜かれた顔をした。
「ナビには話したけど、俺の元のデータのスキルはすべて効果から動きまで覚えているんだよ」
ナビは俺達が酒場から出た時の会話を思い出した。
「まずこの世界でスキルを使うには、スキル名を叫ばなくちゃいけない。スキル名を聞いた瞬間に動きを思い出し、その攻撃の軌道から体を逸らしたらいいんだよ」
「これが村人Dになるまでやり込んだ俺の力だ!」
「なるほど!だが避けてるだけでは私には傷一つ、つけられないぞ!」
「確かにそうだけど!俺にはもう一つ秘策がある」
「スキルの動きがわかるのなら、スキルを使わなければいいだけだ」
その手でくると思った。
「捨て身!」
30秒だけステータスを底上げした、この30秒が勝負だ。
これでソニックの動きに対応出来る。
ソニックの攻撃を剣で弾き、俺の攻撃がソニックの鎧に当たった。
「ライトスピア!」
俺の体が勝手に突きの姿勢になりソニックにまっすぐ剣を突いた。
その突きをソニックは剣で受けようとした。
が、ソニックの剣が粉々に弾けとび、突きがソニックの鎧に当たりその鎧も弾けとんだ。
ソニックはその衝撃で後ろにとんだ。
そのままソニックの上に馬乗りになり、剣を顔に向けた。
「何故俺の剣と鎧が弾けとんだんだ?」
「俺がこの世界に入る前に、剣と鎧の耐久度が下がってた事を思い出したんだ」
「魔王との戦闘と俺の数回の攻撃で、「捨て身」と「ライトスピア」のコンボで耐久度が0になると思ったんだ。」
「ソニック負けを認めてくれ!」
俺はソニックに向けていた剣を下した。
ソニックは少し考えて「俺の負けだ」と言った。
ソニックの上にから退き、後ろで見ていた姫様の所に行った。
「姫様何で逃げなかったんですか?」
「私を助けてくれたのはあなた方二人です。だから私の行く末を決めるのもあなた方二人だと思ったからです」
「これからあなたを魔王に引き渡します。ですが絶対に助け出します!これは約束します」
「わかりました・・・・」
姫様を覚悟を決めた顔をした。
あの後俺は姫様を魔王の城に戻して、少し経ったらこっちの世界に戻ってきた。
戻って直ぐにやった事は、ゲームが発売中止になってないかを確認した。
ゲーム機の中にちゃんとソフトが入っていた。
だがセーブデータが消えていた。
これはナビが別れの際に言っていた。
おそらく俺がストーリーに干渉した結果、シナリオが変化してしまった。
だからデータが消えた。
俺はとりあえずゲーム機の電源を入れて、シナリオがどう改変されたか確認した。
ゲームが始まり冒頭で今の状況を説明するNPCが出てきた。
「今姫様が魔王の城に誘拐されている、その犯人の名前は・・・・・・・」
そう言ってある写真を見せてきた。
「村人D!」
NPCが出した写真は俺の写真だった。
もしこの世界が何かの物語だったとして、もしこの世界に主人公という者が存在したとして俺は主人公になれない。
主人公になれる者は、人生がなにかしらで劇的なんだろう。それが喜劇か悲劇かは別だが・・・・
こんな毎日家で引きこもってゲームしかしていない俺には主人公になる資格すらない。
俺はモブキャラがピッタリだろう。
だけど物語の舞台がこの世界ではなかったら俺は・・・・
敵キャラになった。