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01話 狼になっちゃいました

お久しぶりの方はコンニチワ、初めましての方は覚えてね!!

いろいろありまして、執筆活動に復帰しましたスズサカです。

この、作品を見てくださった皆様、どうもアリガトウゴザイマス!!

 都心ではお目に掛かれない、広大で美しい森の中。

 そこにひっそりと現れる、美しく綺麗な泉。水面には波紋ひとつなく、まるで鏡の様に木々や青空を写している。

 常時ならば、森の生き物達の憩いの場であるこの場所だが、今はその気配を微塵も感じさせない。

 ある1匹を除いては……


 泉の水面に映るのは美しい白銀の毛並の雄々しくも神々しい青い瞳の野獣の姿。

 その様は俺の知る所の狼の姿に酷似している。

 しかし、鋭い牙が並ぶ口は、人を丸呑み出来そうな程に大きく。手足の爪は、俺の知るどの生物より巨大で鋭い。そもそも、その体躯の大きさからして桁違い……俺は、像程の大きさの狼なんて見たことも聞いたことも無い。

 そんな怪獣の様に馬鹿でかい化け物級の狼が水面に映っている……


 さて……

 そんな化け物が近くに居るのに、何故、俺が取り乱さないかと言うと……


 俺は、右手を少し上げてみた。

 水面に映る化け物狼も右前脚をそっと上げた。

 次に、左手を上げて見る。

 水面に映る化け物狼も左前脚を上げた……

 水面に顔を近づけてみる……ばっちりと、狼の顔も近付いて来た。


 化け物狼と目が合った。

 鋭く、食物連鎖の頂点に立つかの如く恐ろしい眼孔だったが、その瞳の奥に長年鏡で眺め親しんだ、引き蘢りニートの情けない瞳を見た。


『バァウ……(あーーー、えーーー、まじかよ、これ、おれかよーーー)』


 口から、溜め息とも呟きとも知れぬ声が漏れたが、その声は獣の呻き声のそれであった。



 状況を整理する。

 昨日、俺は通算百回目の就職試験の不合格通知を肴にビールを1瓶呷ってから、築20年弱の激安マンションの一室たる自室で就寝についた筈だ……

 それがなぜ……何故、身に覚えの無い森の中に居て、しかも狼の姿なんかになっているのか?


 全く見当がつかない……非常に馬鹿げた話しである。

 頭痛い、二日酔いだ、きっと悪い夢だ、ウコ◯の力とリ◯ビタンd飲んで二度寝したい……

 つい、頭を抱えたが、手にあたる感触は触り慣れた天然針金ボサボサ頭などではなく、つやつやの毛並みでモフモフな狼の頭であった。


 あーーー、むかしこんな話し古文で習ったことあるぞ……

 人虎伝だっけか? ほとんど寝てきいてなかったけど、確か、人間が虎になっちゃう話し……

 えーーー、まさか俺、それの狼版かなんか?

 ふつーーーに、何の変哲もないただのニートなんすけど俺……


 ほんとうに頭がイタくなって来た、もうなんか、シンドイ……きっと夢に違いない。

 ……そう、重要なのは俺は狼なんかではなく人間だってことだ。そもそも人間が狼に成れる筈などないのだ。そう、コレは夢だ、夢に違いない!!


 そう思って泉のほとりでうつぶせ、目を閉じる。

 うん、寝て目が覚めたらきっと元通り……そんな淡い希望を抱いて。


 目を閉じて数分が経過した頃合いだろうか?

 まったく寝付くことができない。

 それは何故か?

 あれか?

 いつもの美少女キャラの抱き枕がないから寝れないのか?

 否、違う……コレは……


『グウウウウウウーーーーーー………』


 鳴った。

 腹が鳴った。

 それと同時に恐ろしい程の空腹感が俺を襲う……


『ヴァウ……(やばい、なんだこれ、腹へって死にそう……)』


 俺はおもむろに立ち上がると、ふらふらと食べ物を求めて歩き出した。

 きっと、近くにコンビニかなにかあるに違いない……

 自分の今の姿形など忘れて歩き出す。


 しかし、慣れない四足歩行は地味に辛く、しかも森の中なので歩きにくい。

 それに、こんな険しい道のりは長年ニート生活をしていた身には些か辛い所である。

 もうダメだ……と、思ったその瞬間、近くの茂みからガサゴソと音がした。

 顔を上げてそちらを見てみると……


《ガァウ……》


 そこには、巨大な二足歩行の赤毛の熊の姿があった。

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