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プロローグ
違う場所へ行きたかった。
一人で。
誰も今までの自分を知らない世界へ。
時空も、常識も、今の現実と違う世界へ。
書き換えたかった。
何もできない自分を。
辛いだけの青春時代を。
そして、それは叶った。
意識を長い間失っていたような気がする。
気が付くと僕は閉じ込められていた。
暗く、何も見えない。
何の音も聞こえない。
何の感覚もない。
手足を動かそうとしたが、全く動かない。
突然、強烈な光が差した。
今まで、見たことのないぐらいの強い光。
僕は思わず目をつぶる。
声が聞こえてきた。とても年をとった男の人の声だ。
「お前にチャンスをやろう」
「たった一回だけのチャンスだ」
「この世界は歪んでいる」
この世界とは?
僕は聞き返そうとしたが声が出ない。
「お前はこの世界の歪みを修正し、皆を正しい方向へ導くのだ」
「お前は、奇跡を起こせる、その力を持つ」
「ただし、失敗は許されない」
「やり直しはきかない、一度きりだ」
「健闘を祈っておる」
僕は突然体にものすごい圧力を感じた。
そして、再び意識を失った。