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9 セフィリアシス

一ヶ月どころか二ヶ月あいてしまった

9 セフィリアシス


「それにしても、セフィリアシス?」


呟き、寝返りの動きと共に揺れる視界。


あの後、フィンがいなくなり、戻ってくる様子もなかったので、トゥリアもまた休みを取ろうと動き出した。


その際に、片付けられているテーブルの上の状態に気付き再度、目を瞬かせるという一幕があったりしたのだが、それはもうそれだった。

つまりは、トゥリアは早々にそう言うものだと割り切る、もとい考える事を諦めたのだ。


自分が使っていた筈の皿もカップもなくなってしまうと、本当に夢だったのではと思えて来るのだが、トゥリアの手の中にはまだフィンから手渡されたブランケットがあったし、ほぼ光を失ってしまってはいるが、頭上には鉱石の発する仄かな光があった。


途端に、自身を蝕む急速な眠気を自覚し、トゥリアは受け取ったブランケットを手に、フィンが入っていったであろう奥へのドアへと手をかけ開く。


右からの淡い光に照らされた通路、そして、そこから続く左手側のドアが二枚と、突き当たりの一枚。

奥の手前と、フィンの告げたその言葉を考えながら、トゥリアは左手側の近い位置にあったドアの中へと入り込んだ。


先程までいた部屋や廊下と同じ、照明用の鉱石が壁沿いの籠の中で淡い仄かな光を発している様子。

僅かな橙色の光に照らされているのは、閑散とした部屋だった。

掃除が行き届いているのか空気が埃っぽいと言う事はなく、けれど使われている形跡の感じられない部屋。

長らく部屋の住民が帰って来てはいないのだと、そんな空気をトゥリアは漠然と感じ取っていた。


右手側の奥に天井からぶら下げられた網袋のようなものを見付け、直ぐにそれがハンモックだと気付いたトゥリアは、そこに横たわり、今に至る。


両端付近に入れられた木の棒が網を良い感じに広げ、その上に横たえた身体をハンモックの向きに対して斜めにする。

こうすると、比較的背中が曲がらないので寝心地が良くなるのだとトゥリアは知っていた。


「四節の名前・・・」


感じている眠気に身を任せ、細めた双眸にもトゥリアは考えていた。


「フィン・・・セフィリアシス」


フィンの告げた名前には四節目があった。

そして、名前に四節目を持つのはかなり特殊な事の筈なのだとトゥリアは知っていた。


「“王”もしくは、“長”。司るべきものがある者たちだけがその名に、四節目を戴く」


白の王を至高の存在と頂くこの世界。

けれど、白の王は支配を望まず、黒き獣を倒した後の世界に安寧と秩序をもたらした。


荒廃と混乱を鎮め、黒き獣が倒され後の世界を守り続ける白の王。

けれど、もうずっと白の王は人々の前に姿を見せてはいなかった。

だから今現在、その白の王に代わって世界を直接的に治めているのが四方域の王等なのだ。

東西南北に一人づつ、四人の王がそれぞれの地を治める。そして、四方域の王等はそれぞれの治める地域をその名前の四つ目として持っているのだった。


「例えば、ここイージスの森を隣接地とするメリディエス(南方域)の現王はエリザベト・レクス・ヴァーミリオン=メリディエス」


北方域(セプテントリオ)東方域(オリエンス)西方域(オッキデンス)、そして南方域(メリディエス)。王の名前たる四節は知られている。

そこにセフィリアシスの名前がないのだから、当然王はあり得ない。


「でも、ロッジだったとしても聞いたことのない響きなのはそうで・・・うん?なんだろうものすごく眠い」


呟きながらも閉じて行く瞼。今の時間帯は分からないが、トゥリアは既に感じている眠気に抗う事が出来なくなっていた。


「おやす、み」


早々に思考を放棄すると、誰にでもなく呟き、トゥリアはそのまま目を閉じ意識を手放した。


トゥリア「おやすみなさい」

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