表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
召喚士村 ~神に愛された一族~
89/485

少年、水晶の階段 

今回は、旬とノエル編です。

彼らは・・・これからどうなるでしょうか・・・・


いつもそうだ

ワタシたちは居場所がない。

どこまでもワタシたちを苦しませる


これ以上何が重要なのか

誰も答えてはくれない


だけど、それももうすぐ終わる

ワタシたちはいずれ帰るであろう楽園に夢を持つ


それが・・今この時・・。

ワタシはやらないといけない義務がある。


そう、それは義務だからこそ

人間(ヒト)にも邪魔されたくない

計画はすでに始まっているだから


でも、もっとも許せないのは

その計画を邪魔をする人間(ヒト)


それは、あの少年達ではない


もっと、邪悪でタチの悪い

ワタシたちを縛り付けた存在だから


ハヤク、ハヤク


ワタシ達は楽園へと帰らなければならない

カエリタイ


でも、カエレナイ


楽園以外、ワタシたちを解放してくれる場所はない。


もうすぐだ。

それは、すぐ傍にあることをワタシは知っているから。



          ****


俺はジンが逆方向に向かった先を気になって

立ち止まった


(ごしゅじん・・。)


「旬、心配なのは分るよ」


「うん。そうだけど・・雄叫びが聞こえなくなった

 勝てたようだ。」


なんとなく、感じ取れる

二人共、無事なんだ・・ということだ


「わかるの?」

「うん・・なんとなくね。」


ラミアもジンの方もう大丈夫なのかもしれない

だけど、俺たちは立ち止まっている場合じゃない


「旬、早く」

(ゴシュジン・・!!)


「ああ、今いくよ。」


再び走りだす俺達

俺は走っているとノエルに神殿の場所を聞く


「神殿はどこにあるの?」


「村の奥だよ・・旬、止まって!!」


キキっと~自分の足を止める


(ゴシュジン・・スゴイ。)


アニマはふんふんっと宝石のようなモノの

匂いを嗅いでいる。


その宝石がなんなのか気づいたのか俺を見て


(スイショウダ。)


「水晶!?」


それは、銀色に輝く美しい色

まさに、この辺一体は白銀の世界だった


「ここは・・なんなの?」


「完全なる”ユートピア”さ。」


「ユートピア?」


「・・そうさ。ここら辺は古代のある異常により

 水晶が勝手に結晶化した。世界なのさ。

 だから、楽園に似たことを、人はユートピアと

 名づけた。」


「すごい・・。」


それは、水晶に囲まれて

芸術としか言い様のない世界だった


「でも・・なんだろう・・螺旋階段・・?」


水晶を咲き誇れる程に続く道に見えるように

大きな螺旋階段が異常に目立つ


「水晶でできているね・・この階段」


まじまじと眺めているとアニマはふんふんとあいからず

匂いを嗅ぎながら


(ウワァ~キラビヤカ~。)


アニマはその水晶の螺旋階段

を見て呟く


「すごい・・けど。」


水晶が階段に使われているのが

豪華で美しいが

そのあまりにも、長い螺旋階段に

旬は思わずため息をこぼしたくなった


「まさか・・ここ?」

「そうだよ。ボクの目的だよ」


ノエルは頷く


(ヤハリカ)


「アニマ?」


(ココカラ。ツヨクジュウノニオイガスル)


「・・・!!」


俺は思わずその螺旋階段を見上げる


「さぁ、旬。」


「うん。行こうか。アニマ」


(ハイヨ~。)


アニマも俺の傍で階段を昇り始める


これに昇ることは別に問題はないが

子供の俺の身体の体力が続くか心配だ

でも、ノエルをチラリっと見ると


ノエルはフード越しから見える琥珀の瞳を

優しく細めながらニコっと


「・・ボクを信じて。きっと、大丈夫だから。」


「そうだね・・。」


俺の体力が続くかどうかわからないけども

現代人の体力をなめんなよ・・と言いたい。


だが、それもすこし経てばもう疲れる


「はぁはぁ・・。」


俺は荒い息を吐きながら階段へと昇る


(ゴシュジン。ファイト。)


応援してくるアニマはさすが獣なのか

息一つも乱していない

しかも、それはノエルも動揺だ


「まだ・・なの」


「うん。まだまだだよ」


ノエルは螺旋階段の上へと眺める


(ゴシュジン、タイリョクナイ~。)


「そういうなら・・ゼイゼイ・・乗せて・・よ。ア・・ニマ」


途切れになりながらも俺はアニマに言うと。


(ダメ。ボクモタイリョクオンゾンシテイルカラダメ)


「横暴だ・・。」


(ゴシュジンハコドモダケドオモイモン。)


俺はなんとか息を整えようとなんとかふんばる。

そして、アニマに反証する


「ゼイ・・ゼイ・・年寄り・・じみているよ・・アニ・・マ」


今にも死にそうな声をだす旬に

アニマは辛辣にも


(オタガイサマサ。サァ、イケイケゴシュジン

 ガンバレ、ガンバレ)


応援してくるアニマに旬はげんなりする。


「なに、その応援・・しかも辛辣・・」


そのコントのような応援にノエルは


「いいコンビだね」


「はぁはぁ、コ・・コン・・ビ・・。」


またしても途切れな旬に含み笑いをしたノエルが

ニコニコと笑って


「ふふっ。あ、旬。この魔法アイテムあげるよ」


そういって懐から飴玉を出した


「ゼイ・・ゼイ・・飴」


「うん、おまじないだよ」


そういって俺はその包む紙を広げると

一つの青色の飴玉があった


「綺麗な・・飴・・だ・・ね・・ソーダ・・味か・・な」


なんとか、息を整えようとするが

なかなかそれが難しいのか


それをパクっと舐めると


「ぐっ・・。」


喉を抑える旬

その、様子に思わずアニマは


(ド・・ドウシタ。ゴシュジン。)


旬の様子を心配そうに眺めてギロリっとノエルを睨む


(オマエ・・ゴシュジンニナニヲシタ!!)


威嚇するアニマにノエルはほがらかに笑って


「あはっ。大丈夫だよ。害もない。モノさ。」


(ナンダト・・!!)


一発即発な二人に旬は喉を抑えていたが

やがて・・。


「大丈夫・・なんだか、息が・・楽になった。」


さっきまでの苦しさが嘘のように無くなった


(エ・・!!)


アニマは驚いたように旬を見つめた


「ふふっ。効いたでしょ?」


「あ・・うん。これはなんなの?」


すると、ノエルはニコニコ顔で


「ボクの子供の頃も同じような飴玉を舐めたのさ

 やはり、子供の身体じゃここは無理だから」


「・・・君も舐めたことがあるの」


「まぁね。ボクも子供の頃は・・この階段を昇るがきつかった

 旬のような状態になっていたんだ」


ノエルは階段、一つ、一つを昇る


「ノエルの子供の頃か・・。」


俺は、なんとなくその螺旋階段を見上げた

すると、ノエルは・・。


「ボクの昔話を聞いてくれる?ここに階段に

 昇りながら・・ね」


「・・・うん。」


ノエルと階段一つ、一つを昇る

そして、ノエルは懐かそうに昔を語る


「ボクの子供の頃はね・・この階段は天国そのものだと

 おもっていたんだ。」


(・・・。)

「・・・。」


ノエルは懐かしそうに階段の向こうを見つめる


「でも、子供の身体じゃここは無理だった。

 でもね・・自分にこの魔法の飴を与えてくれた

 存在がいたんだ」


ポツリっとノエルは呟いた


「・・・存在?」


懐かしそうに笑っているノエル

飴玉を差し出すその手

懐かしい・・手。


「そうだよ。そして、この向こうにある神殿には

 まさに神秘な世界だとボクは信じていた」


ノエルは流暢に喋る

それも抑揚をつけて・・。


そして、ノエルは寂しそうに笑った


「だけどね・・ボクは・・知ってしまった。」


やがて、その顔は哀しみよりも・・もっと深い憎しみ


(何を・・知ったんだ。)


「・・・秘密さ。」


「・・・!!」


ノエルの一言に俺は驚いた


「ボクには、到底理解できない。召喚士一族の

 最大の秘密を・・ね」


(・・モシカシテ・・シッテシマッタカラ

 オマエハニゲダシタノカ)


「・・それもあるよ。でも、もっとも色々あったからね。」


遠い過去を思い出すたびにノエルは辛そうに・・目を伏せる


「ノエル・・。」


ノエルは、何を思ったのか

視線を向ける


「ほら、頂上が見えてきた。意外に早いね」


ノエルは言うと俺は神妙な顔で


「ノエル」

「・・・・なんだい。」


振り向かずにその顔を見ることができない。

ただ、その後姿がとても悲しいのはなぜだろう・・。


「一つだけ・・聞いていい?」


俺の言葉にノエルは反応して


「いいよ。ただし・・一つだけね。」


俺はノエルが抱えている何かに・・俺は、聞いておきたいと思った


「・・ノエル、君は俺にその秘密を教えてくれないのかい?」


俺は、もっともなことをノエルに聞くと


「クックック」


と笑い声が聞こえた


(何が可笑しい?)


アニマは怪訝な顔をする

ノエルは笑い声をあげながら静かに


「ごめんね。なんだか、可笑しくなったんだ」


「・・・。」


旬は無言でノエルの後姿を見つめる

そして、振り返るとその顔は

とても、哀しくて瞳は・・揺らいでいたのだ


「・・!!」


その瞳をみて旬は何も言えなくなった。


「きっとその秘密は、たぶんすぐに明らかになるから

 今は言えない・・ごめんね。」


ごめんね・・と何度も謝られると

心がズキズキっと痛んだ


「・・もうすぐって・・って何時なの?」


「さぁ・・何時なんだろうね・・!!」


「どうしたの?」


ノエルは何かの気配を感じたのか


「旬、避けて!!」


「ええっ。」


俺は動けなかった・・だけど咄嗟に、ノエルが旬の手を取り

避ける


パリーンっと鋭い音がした

階段は雷によって、跡が出来ていた


「ノエル!!?」


「大丈夫だよ。あたっていないよ。」


「さすが、召喚士だ」


目の前にいたのは・・召喚獣の群れだ。


「・・・ボクとしては、こんな攻撃は不意打だから

 気に食わないだけどね」


パンパンっと自分の服の埃を払う


「本当だよ。俺なんて当たっていたらゾッとする所だよ

 で、俺たちに用があるんでしょ?こんなに後ろに大群

 に引き連れているだから」


うごめくそれは獣の姿


「そうさ・・我らはお前たちをここから先に通す

 わけにはいかない・・!!」


召喚獣が目の前で待ち構えているのが見える


(ゴシュジン。ジュンビハイイカイ)


「ああ・・。いいさ。」


始まる、召喚士の秘密を明らかにする

それだけじゃない


「旬。召喚獣たちを片付けよう。」


「・・そうだね」


(イクヨ)


まだ、その時ではない

分かっているけど・・。


俺は、そんな事を考えながら

戦いの渦へと巻き込まれていったのだ・・。

ノエルは一体何を知ったのでしょうか?

いずれ、本編で明らかになります

では、またどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ