少年、自由を求めた獣
88話目は、オーガの話
ですが、肝心のオーガの視点はないので申し訳ないです。
では、どうぞ。
王太子だったあの頃は
力については何も考えたことはなかった
ただ、決められた道に進むだけそう考えていたんだ
だけど・・。
王位を失くした時
初めて、自由を知った。
でも、我は自分を叱咤した。
守れなかった人がいるのだ
今も昔も記憶の中で映像として残っているのだ
笑ってもくれない
そして、ただそこにいるだけだ
この苦しい程の哀しみは今も続くと思っていた
だけど、それは、終わったのだ
旬との出会いが我のこの記憶の住人への記憶を封印から解き放ち
終わらせたのだ
今そこにいるオーガの哀しみはそれ以上だ。
それが例え、偽善であっても
それが、これからに繋がることを信じて
我は・・剣に誓う
その光はこれからの勇気の証だと信じて・・。
****
「こい・・お前の力・・見せてみろ」
我の気持ちは酷く高ぶっていた
どうしてか分らない程
高ぶっていたのだ
「チカラ・・うぉぉぉぉぉ。」
嘆くように叫ぶオウガ
それは、旬たちの所まで聞こえるのではないかと思う叫び
ガツンっと斧は強く握られ我は、高揚した気持ちで戦う
「面白い・・。」
我とその力比べは強くそして、何も囚われることはなかった
「お前は・・何だ・・なぜ・・憎む」
我は問いかけた
だが、オーガは憎しみの瞳で我に見返すのだ
「人間・・」
「!!?」
呟いたのだ
「憎い・・・ニクイ」
そうオウム返しのように叫ぶ
「・・・。」
オーガの憎しみの瞳は、我だけではなくすべてのモノが
同じように見えるのだろう
「・・お前は・・」
ギリギリっと剣を少しずつ押す
「・・ニクイ」
ただ、無心にジンに攻撃をしてくるだけの
人形のようだった
それが、我は許せなかったのだ
だから、オーガにも他の村民にも聞こえるように
我は心の底から叫ぶ
「お前は!!本当は、自由になりたいはずだ
だから、人間だけじゃない自分の仲間まで
敵となったんだ!!」
すると、オーガは何故か、力が無くなったのだ
そしてグラリっと地面に倒れる
オーガは力負けして地面に落ちたのだ
まるで、その言葉に反応したかのように
「ウガァァッァ」
ダンダンっと地面を叩く
オーガの中に迷い
そして、苦しみ
大地を叩き続ける
ダンダン・・からドンドン・・っと
我が言えるのは・・それだけだ。
だから、今しか・・言うしかない!!
「我は、お前を敵とも思っていない。だけど、精一杯
戦いたい・・相手だ!!」
そのとたん、頭を抱え始めるオーガ
「タタカウ・・ジユ・・ウ」
頭を必死に守るように考える
オーガはブツブツとつぶやいている
我はそのオーガの動向をじっと見つめる
そして、シーンとして、動かくなった
「動かないのか・・?」
オーガは無心のまま動かない
まるで、機能停止したかのように
すると・・。
ムクっと突然起き上がり
我を射抜く
「・・・!!」
その瞳に圧倒したのだ
それは、もう、うわごとも言ったあの瞳ではない
強い光だったのだ
自我の瞳
そして、起き上がると斧を持って
「・・・イクゾ」
声がした
すると、オーガはいつの間にか我の傍まできていて
斧を振りかぶる
ザァンっととても強い斧の力が我を圧倒させる
ガツンっと力強い音がした
「くっ」
それは、もう先ほどまでの力ではない
純粋なる力・・オーガの本気だった
我は、その力に少しずつ負けようとした
すると、オーガはそんな我に対して
「チカラ、チカラ・・・ナニヲモトメル
オマエは・・ナンノタメニチカラをモトメル?」
問いかけたのだ
今までうわごとしか言わなかったオーガが我に
いきなりのことで、我は混乱した
「我は・・」
この高揚した気持ちは、この力を求めることのためにあるのだろうか
ドクドクと全身に血液が回るような力
我は・・何のために力を使う?
自分のためか?
本当に・・それだけか・・?
力が我を押し止める
そして・・。
ギリギリっと剣によって我は押されている
このまま、オーガの手で我は・・。
その時・・ザザっと・・。
何かが・・自分の中で・・。
(オルフェ・・。)
「・・・えっ・・。」
それは一瞬だけ走馬灯だ。
(さよなら・・オルフェ)
昔の悲しい記憶
その声は酷く悲しかった
守れなかった
守るはずだった
父も母も・・そしてあの人も
全部、守れなかった。
それが、自分の中で眠っている傷だ
あの人は・・その中でもとても深い傷になる。
たった一人、帰る夢を見たあの女を守れなかった我
そして、我たちの前で死んだ・・。
償おうとしてもできない
それが、できなかった我の哀しみ
自由になったあと
その苦しみは・・続いた
旬と出会っても時折目が覚めて
うなされていた
我は、これで・・いいのだろう・・かと。
でも、今でも思い出すのだ
あの時・・・彼女はなんて言っただろうか
我を憎んでいたのか?
いや、違う
その時、記憶の中のあの人が・・騒ぐ
(生きなさい!!オルフェ!!)
その途端、我はハッとした
その時我は叫んだ
「ウォォォォォォ」
いつの間にか我は、地面に倒れていた
そして、目の前にはオーガが、斧を振りかぶっているのを
見えたのだ
思わず我は避ける
オーガの斧が地面を割ったのだ
ピキピキっとその辺の地面は割れてボロボロになったのだ
その、斧をまたすごい力で自分の手元に戻した
オーガは我を見て
「・・・サスガダ・・オマエノコタエヲキク」
その瞳今度は我は迷わない
「ああ、もう我にはわかった」
「・・・コタエテミロ」
我は何のために力を使うのか理解したのだ
「我は、守りたかった人がいた。」
「・・・。」
「でも、守れなかった我のせいで。でも、今度は違う
仲間を守りたい。その、ために我は力を求める」
すると、剣が光りだしたのだ
「な・・!!」
我は驚いた剣が光ったのだ
ラミアが買ってきた剣が光った
最初は、我を選んだのは剣士だからだろうと思った
だけど、違った
我もまた選ばれたのか・・。
「そうか・・そうだったのか」
剣は我を選んだ・・だから、光った
「相棒。」
剣は、オーガに向けてその光りを放つ
「我に力を貸してくれ」
すると剣は応えるかのように光る
「ヤルノカ・・・?トウゼン、オーガが
カツ。ニクシミカラ・・オーガヲトキハナテルナラ
ヤッテミロ!!」
そう呟いて斧を持って近づいてくる
負けられない
この高揚とした気持ち
守るために
我は、力を使う
「我が勝つ!!お前の苦しみも我は終わらせる!!」
すると、二つの剣と斧が摩擦する
「ウォォォォォ」
オーガの声がする
それは本気である証拠
だからこそ、我も本気になる
それこそがオーガにできることだ!!
揺るがない気持ち
そして、力
我は呪文を防ぐ
それは、われの奥義
「紅蓮の神よその力を我に力を貸せ」
我の剣は光がさらに強まる
「”陽炎”」
すると、オーガのいる地面から
大きな炎がオーガを包む
「ソレガ・・オマエノチカラ・・。」
そして、我を見て、一瞬オーガは笑ったのだ
「ミゴト・・ダ」
そして、オーガは倒れる
「我としてはお前の方が見事だといいたい。
強い相手だった・・感謝する。」
そして、我はオーガに勝利したのだった
「パチパチ」
と拍手がした。
もちろん後を見なくても分る
恐らく・・。
「すごいにゃ」
そこには、もちろん、猫の王様と名乗る
ケット・シーだろう。
だが、後にいるから姿を見ることができなかった
我は振り返ることはなかった
なぜなら、そうしない方が良いような気がしたのだ
「・・お前は分かっていたのか?
オーガは、元々自我が存在していたことを
なぜ、我に味方をした・・?」
問いかけると、ケット・シーは
「・・・。」
黙ったのだ
どんな瞳をしているのか分らない
振り返るのが恐ろしい
それでもゴクリっと唾を飲んで問いかける
「・・我が言おう。お前の目的は何だ・・?」
すると、ニャハっとケット・シーから笑い声がしたのだ
「・・そうだにぇ・・目的は・・内緒にゃ」
「ごまかすのか?」
すると、ケット・シーは何を思っているのか
「まだ早いにゃ」
簡潔な答えが返ってきたのだ
「どういうことだ・・?」
すると、ニャハハっと笑い声がする
「秘密にゃ。それに、御礼の件はすべて終わった時にゃ
じゃ、楽しませてもらったにゃ。」
そして、ケット・シーは簡潔だからこそ
何も言わない
「待て!!まだ話は終わっていない!!」
そして振り返ると
「・・・!!」
ケット・シーはいなかった
まるで、そこには誰もいなかったように・・。
「一体・・何を考えているんだ・・?」
我は、猫の王様に疑問を抱いたのだった・・。
つくづく謎な獣・・ケット・シー
彼は味方か敵か・・?
さぁ、核心に入ります。
では、次話をまたどうぞ。




