少年、活発な猫の王様の策略
少年、87話目
今回は猫の王様と・・・もう一人召喚獣を出します。
ちなみに、この召喚獣に至っては、伝説の生物なので
クリックした結果見つけたオリジナル召喚獣なので深く考えないで
くださいね。では、どうぞ。
世の中はオイラたちだけの世界じゃないとは知っているにゃ
でも、その世界には、オイラたちの居場所はどこにもにゃい。
それでも、居場所がほしいというのは
オイラたちは・・残酷なのかもしれない・・。
****
旬達は、村の奥へと急いでいる
「旬、この向こうに神殿がある。奴らはきっとそこを目指している
はずだよ」
ノエルの甲高い声が聞こえる
「わかるの?」
「うん。ボクがもし召喚獣の立場なら・・アノ場所にいかないはずがない」
ノエルは確信を持っているようだ
「そうみたいだな。旬、大丈夫か?」
「あ・・うん。」
集中できない自分がいる。
でも・・しっかりしないと
「大丈夫だ」
「ジン?」
「ラミアは強い。仲間を信じきれないのか?」
そう、俺だって分かっている
ラミアは強い
信じなければ・・。
俺が信じないと・・。
「そうだね。」
今は、目の前のことを見つめないと・・。
そう、決心したとき
その時、立ち止まるアニマ
「どうしたのアニマ」
アニマは逆方向を見つめる
(カンジル・・。)
「え・・。」
(ジュウノカナシイサケビコエガ・・。)
すると、突然
「グォォォォ」
と叫ぶ獣の雄叫びが聞こえた
「な・・今の声はなんなの?」
(ムコウカラダ)
「どうする?旬。神殿は向こうだけど
声は、逆方向になる」
ノエルの指摘に旬は戸惑う
「どうしよう・・。」
向こうの神殿方向はきっとジゼル達がいるはずだ
でも、気になる
「我が行こう」
「・・ジン?」
「お前たちは、神殿へと行け
何がなんでも・・急げ!!」
「いいんだね?ジン」
「ああ、行け。そして、終わらせてこい」
「・・うん!!」
そして旬とノエルは神殿の方向へと走り出した
ジンはそれを見送りやがて、逆方向へと走り出したのだった
*****
我は声がする方へと走り出した
そこには呆然と人が村民を襲っている姿だ
それは、味方も敵も関係なく叩きのめす姿
涙ながら逃げ出す村民
それは、地獄絵図だった。
「な、なんなんだ・・あれは・・人か?それも
大男だ・・。」
人か獣なのか見分けつかない姿
だけども、理性などない獣のように暴れている
「オーガだにゃ。あれは・・。」
「・・・!!」
突然の声に我は剣を構える
「おじさん。そんなに警戒しないでニャ。食べたりはしないしにゃ」
そこには一匹の猫が喋っていた
「お、おじさん!?しかも、猫がしゃべっている!!」
我をおじさん扱いしたのは・・一匹の獣だ
しかも、ゴロゴロリっと寝転がっているのが見える
王冠をかぶった猫だ。
しかも、二本足で立っている。
「な・・お前は・・何だ」
迷わず聞くと
「ああ、オイラのことかにゃ?」
我が頷くとにゃはっと声をあげて立ち上がる
シャランっと王冠が光る
「オイラは、ケット・シー、猫の王様なのさ。」
ピョンっと立ち上がり、決めポーズをする猫
「ケット・シー?」
その猫の王様と名乗るケット・シーはニャハっと笑って
ジンをジロジロと眺める
そして、ポンっと手を叩いて
「おじさん、もしかして、ジンという名の
獣人じゃないかにゃ?」
「な・・なぜ、我の名を」
「ああ、ジゼル君から聞いたにゃ
オイラはおじさんに用があるのにゃ」
にゃにゃぁと謎の猫にジゼルを知っているという
言葉にジンはピクンと反応する
「お前は敵・・なのか?」
すると、首を傾け考える仕草をしたケット・シー
「オイラは、敵でも味方でもないけど
ジゼル君だけの味方にゃ」
「・・・仲間なのか?ジゼルの」
すると、嬉しそうに頷くケット・シー
「そうにゃ。でも、オイラ今かなり困っているのにゃ」
「困っている?」
すると、チラリっとその困っている獣に目を向ける
「アイツにゃ。オイラたちの邪魔をするのにゃ。
まぁ、オイラとしては、怪我をさせるつもりないのに
アイツったら、暴れまわっていて大迷惑なのにゃ
おまけに、オイラの仲間も可哀想に餌食になっているにゃ」
よく、見たら、村民だけじゃなく
召喚獣も巻き込まれているのが見える
「あれは・・何だ!?オーガと聞いたが」
我は、その獣を見た、すると隣でケット・シーは細い目で・・。
「アレは、元々、召喚獣村で飼いならされた獣にゃ。
でも、今は・・」
「ウガァァァァ」
と叫んでいる
「檻から抜け出した獣そのものにゃ。オイラにしては、とんでもないモノが
配下に加わって迷惑しているのにゃ~」
ペロペロと、自分の手を舐める
まさに、猫そのものだ。
「オーガか・・初めて聞く名だ」
物陰からジンはそのオーガの姿を見て
「だろうにぇ。こいつは、人でもない
かといって、獣でもないにゃ。曖昧な哀れな存在。
だけど、心がないまたしても哀れだにゃ。」
ケット・シーは細い目でオーガを眺める
人でも獣でもないその姿は
どこか・・悲しい。
「心が・・ないのか?」
「・・オーガは理性がないにゃ。
人間が勝手にそうしたんだにゃ
オイラとしてはかわいそうな獣だにゃ。」
ポッリっと呟くケット・シー
「それが・・オーガ。おじさんは止められるかにゃ?」
懇願した瞳で問いかけられる
止める止められない
旬も同じように悩んだことが我の頭の中で
グルグルと渦巻いた
でも、我の答えは最初から決まっている
「ああ、出来るさ。」
我はそっと、これから使う剣に手をかける
不思議にその剣は暑い
ケット・シーは、読めない瞳で我を見上げる
まるで、試されているかのように
「・・気をつけるにゃ。知性がない分、人間として飼われた獣は
恨みをだいているにゃ。オイラとしては、おじさんがオーガ
の苦しみを解いてほしいのにゃ。
もちろん、御礼はするにゃ」
そう好条件を出してくるケット・シーに
我は、不思議に思って問いかける
「・・初対面の人間にそこまで言っていいのか?」
すると、首を傾ける
「・・オイラは、どちらの味方でもない敵でもないにゃ。
同じことを言うけど・・ジゼル君の味方なのにゃ。」
ケット・シーは猫のように笑うのだ。
喰えない召喚獣だ
その時、
「きゃぁぁぁ」
村民の大きな叫び声が聞こえる
「いかん!!」
我は、走りだした
その後をケット・シーはペロリっと口を舐める
「さぁ、ショータイムの始まりだにゃ」
そういって高み見物をする猫の王様は
じっと、ジンの後姿を眺めていたのだった
「チ、カラ。チカラァァア」
そこには、力、力と叫ぶオーガの姿が見える
「やめてぇぇ!!オーガ!!」
叫ぶ村民の声、抑制させるがオーガの方が上のほうだ
力に渇望した瞳
「きゃぁぁぁ」
その時、ガツンっと音がした
「オロ?」
オーガは不思議に思っていると
「な、なんとか間に合ったな」
斧を振り上げるのを剣で受け止めるジン
しかも、その剣は、旬たちが買ってきたあの剣だ。
「あ、あなたは」
「いいから、お前たちは逃げろ!!」
「は・・はい!!」
さっさと逃げていく姿を見たあと
オーガに集中するジン
「ダレ、オマエ」
「獣人だ・・それも、純血のな。」
その答えに、舌なめずりしたオーガは
「じゅうじん・・おもしろぉぉい」
と叫び斧にさらなる力を込める
ミシミシっと剣の鋭い音がする
そして、我は少しずつ後にと力負けしようとしている
オーガの力は半端ない程だ
だが、力比べか
「ぐぅ・・強いな。」
少しずつ後へと下がっていくのに我はなぜか
笑っている・・こんなに心が弾む戦いは久しぶりだ
「いいだろう。我も丁度力に持て余していた頃だ。」
人なのに獣の半身を持つ自分も同じ存在
ただ違うの血だけ
「チカラ・・チカラ」
うわごとのようにチカラと呟く獣は
檻から離れたことで理性などない。
だが、同じ獣としては力に大差がないことを
証明してやろうではないか
「これでも、獣の血を持つ存在だからな
怪力には少し自信がある!!」
ドガンっと音がして
斧とオーガは共に転がる
「・・・ぐあぁぁ」
「来い。我が相手だ。持て余したお前のチカラ
みせてみろ!!」
そう笑う我はかなり高揚していた
気づかずに、オーガの瞳に
少しだけ自我が見えたことを
ジンは知らない。
それを知ったのは・・一匹の猫の王様
ケット・シーだけだった。
読めない猫の王様 ケット・シー
そして、人に飼われた獣 オーガ
二つの召喚獣
どうなるのか次回をお楽しみにです。




