小話 獣の揺らぎ
シリアスですみません・・。
いずれ、コメディーに戻れるように頑張ります
では、どうぞ
無心で走り続ける一匹の獣
それは、ユニコーンであるジゼルだった
ジゼルは振り返ることのなく・・・。
前へと進んでいくのだ・・。
当然、その瞳には・・。
迷いはないはずなのに・・。
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おれさまにはなにもない
かんじょうはあっても
そのなかにやどるものは・・からっぽでくうきょだ
みたすものも・・みたされることもなく
ずっと・・そのままだ
なぜならば、おれさまは、がいけんはこどもだが
ずいぶんと、としはとっている。
これでも、ながいなかでれきしとともに
わたりつづけたそんざいだ。
すごいだろう・・ってほんとうはじまんしたいがな
ちょっとまえのおれさまなら
ごうまんなたいどでいえたかもしれない
でも、いまは・・。
じまんできるほど・・おだやかなじんせいではないことを
いえるからだ
おもいだせば
おもいだすほど
うまれたしゅんかんのじぶんをおもいだすだけだ
「・・・ながかった。」
うまれたしゅんかんが・・わるかったのか
しょうかんじゅう・・だった。
それだけでおれさまのじんせいはくるった
だから、ヒトをにくんだ
うかばれないほどのにくしみ
そして、くうきょなこころ
「・・・。」
(そんな、人間すべてが、同じはずがない!!)
旬の叫びがまだジゼルの心に響く
わかっている
わかっている
おれさまだって・・そんなのわかっている!!
どんなに、ヒトをにくんでも
どうにもならないことをしっている
それでも・・。
それでも・・!!
おれさまは、にくんでいるかもしれない
今、ジゼルの心に宿っているのは憎しみ
「・・・。」
ただ、無心に走り続ける
どうにもならない苛立ちと
そして・・。
「・・・あいつら、いたそうなかおをしていた・・・。」
走っている途中にジゼルは呟く
思い浮かべるのは、旬たちの顔
でも、自分も当然・・心がズキズキっとすることを
ジゼルは目を瞑ってに忘れようとする
でも、忘れることなど・・ジゼルにはできなかった
「あいつらには・・おれさまたちのかわきを
いやせるのだろうか」
この、いじょうすぎるおれたちのかわきを・・。
喉の渇き以上に・・心が満たされない。
「・・・。」
むりだ・・。
おれさまですら、そのかわきをいやすことほうほうが
おもいつかない。
だけど・・。
チラリっと映るのは・・旬たちだ
あのとき、ほんとうはすこしだけおもった。
もしかしたら・・というがんぼうがあった。
だけど・・。
分らない・・その一点だった。
でも、おれさまはであってしまった
しょうかんしや・・あいつらに
だから、ゆらいでいる。
ほんとうは、おれさまだって
ふあんなんだ。
ほんとうにこのこたえがただしいのか・・いなかって。
なにがおこるのか
おれさまだって・・。
そのゆらぎがおれさまのなかにあるのが
すこしだけ・・そのへんかに・・おどろいている
じぶんがいる。
「・・・。」
とおくで、おれさまたちのなかまがいる
「ジゼル様。」
みな、怒りと憎しみの瞳
「・・・おまえら・・来ていたのか」
「・・はい。」
「あの方々は、既に・・。」
「・・・・そうか。」
召喚獣たちは、ジゼルを見つめる
その瞳は・・ジゼルの揺らぎに気づいているのかもしれない
「なぁ、かわきをいやせるのは・・あらそいだけだろうか?」
ジゼルは、人型になった召喚獣たちに問う
「・・・それしか、方法がないならば」
「・・・・。」
やはり、考えは変わらない・・とジゼルは感じたのだ
このものたちもおれさまとおなじようなきょうぐうだ
みたされないくうきょで
そして、にくしみとぞうおだけが
いきるりゆうとなった。
いきた・・・しかばね。
もしかしたら、まえのおれさまはそうだったかもしれない
いまのおれさまは・・。
”まよいとゆらぎ”
それが・・いま・・せめぎあっている
その二つ意外何もなければ・・。
おれさまもきっと、まようことなどなかっただろう
「・・・さぁ、行こう」
「ハッ!!」
飛び去っていく召喚獣たちを眺めるジゼル
「・・・・。」
はたして・・。
このさきに、まっているのは・・。
惨劇なのか
喜劇なのか
おれさますら・・・わかりはしない
けつまつだった・・。
けど・・なぜか
なにか、おおきなことがおきるだろうと
そのとき、おれさまはただ・・かんじとったのだった・・。
さぁ、これからどうなるんでしょうか
彼らの嘆きはどこまで続くのか・・。
さぁ、次は旬たちはどうなるのかお楽しみに




