少年、ある武器屋での回想
今回は、まだアズール村です。
で、前々回の武器屋についての話を載せています
ではどうぞ。
その占い師は俺に運命を言った
でも、受け入れることができると。
だけど、俺は不思議だった。
なぜ、その占い師は俺にそんなことを言ったのか
謎だけがただ残ったのだ・・。
****
俺たちはゼノンに言われた通り南に向かっていくと
「ジン、ここにいたんだね。」
そこには、ジンは酒場から出て行く姿が見えた
俺たちを見て
「お前たちが随分早かったな・・・・ん?」
俺に視線を向けた後、俺の隣にいるラミアを見て
「どうしたんだ・・?ラミア」
そこには、ラミアはズーンっと沈んでいる姿にジンは不思議そうな
顔をしている
「旬、何か知っているのか」
俺に聞いてくるので
「・・ああ、占いの結果だよ」
ヒソヒソっと俺は小さい声で喋る
ジンはピンっときたのか
「占い?そんなに悪かったのか?」
俺は横に首を振る
「金銭運と恋愛運を占ってもらっただけど・・金銭運は良かったけど
・・・恋愛運がね」
ゼノンが冷や汗を出すまでの結果だ
本人に至っては、かなり応えただろうね。
俺、恋愛運占ってもらわなくて良かった・・。
「・・・なるほど。」
ラミアは、ハァ~っとため息をつく
その様子を見ていたジンは、怪訝な顔をして
「複雑なんだろうな・・。」
「・・うん、そっとしておこう。」
ラミアも悩む時があるみたいだし
俺たちが介入してもなんか後が怖そうだし
そっとしておこうと思ったのだ
さてと、俺たちはこれからのことを話す
「それより、これからどうする?我も一応、情報を聞いたが
思ったよりキツイぞ。」
「キツイ?」
俺はその一言を呟くとジンが頷き
「ここから、少し歩けば砂漠に着くが、面倒なことに砂漠には
温度よりも強いモンスターがいる。」
淡々と喋るジンに俺は何も言えなくなった
「そのために、俺たち水とか武器買っただけど?」
「そうみたいだな。さて、われの武器も新調していくかな」
武器屋へと直行しようとするジンに
「待って」
「?」
俺の一言にジンはピタリっと立ち止まる
「どうしたんだ?」
「実は、ジンの剣も一応買っておいたよ」
実は俺たちは武器屋でジンの専用の武器もあったのだ
ちなみに、その武器を見積もりしたのがラミアだ。
回想中 ~武器屋での会話~
ラミアの新たな武器の調達が終了しこの店を出ようとした時のことだ
(ラミア、これで武器は全部だね)
(そやな・・ん?)
キラリっと光る一つの武器にラミアが先に目を向けた
(どうしたの?)
(なぁ、あの武器、えらく光っているな。)
(確かに・・装飾品のせいかな?)
その剣は、周りには大きな石が一つ嵌め込んで
気味が悪い程、光っていた
(違うわ・・装飾品やない。)
そういってラミアは、その武器を触る
その途端、ラミアはピリっとしたのか後ろに下がる
(面白いなぁ。こいつ、うちに刃向ってきたわ)
(えっ・・。)
俺が驚いていると店の店主が
(これは、面白い。)
俺たちを見ていたのだ興味深そうに
(あの何が面白いですか?)
すると、店主が笑い
(この剣はさる名家の剣なんですよ。名前はなんだったかな
・・忘れてしまいましたけど。)
そう言って楽しそうに俺たちに話す様子を見て
(・・・結局、なんでこんなところに名家の剣があるの?)
俺がすかさず聞くと
(まぁ、店主の気まぐれです)
ニコリっとほがらかに笑う店主
(気まぐれって・・困るこというなぁ、あんさん)
(ハハハッ。)
と笑う店主に俺たちは呆れるばかりだ
大丈夫か、この店と思った瞬間だった
気を取り直して俺たちは再び店主を見つめる
(とりあいず、この剣の存在に気づいたお嬢さんたちは珍しい)
(・・・ふぅん、そんなに珍しいんか?)
すると、店手はその剣を愛しそうに触れ
(ええ、この剣は持ち主がいません。だから、持ち主がいないから
この剣は、静かに存在を見せないまま眠るのです。)
眠っている・・?
だけど、この剣は確かあの時・・光っていた
(でも、この剣は眠っていない・・。)
(ええ、きっとコレの持ち主が近くにいるからでしょう。)
その言葉に俺たち二人は首を傾け
(けど、うちやないで?)
(俺でもないよ。)
そう、俺はもう杖があるし
ラミアはナイフ系だ。
それに例えラミアがこの剣を持ったとしても
この剣は威嚇したのだ。だから、持ち主になることはない。
そう解釈していると、店主はただ優しそうに笑い
(きっと、この剣の持ち主は貴方達の近くにいるからでしょう。)
え・・。
俺たちは驚いた
近くに・・。
思い浮かべる人物は一人だ。
さてと、こうなるとこの剣を買えと言っているようなものだ
(・・どうする、ラミア)
(う~ん、近くにいるとしたらいるけど・・ホンマに高そうやな・・。)
店主がキラキラっと俺たちを見る
ラミアはヴっと声をあげ
(・・えらく、こっちをみるなぁ。)
(押し売りされそうだね・・。)
俺たちは、どうしようかと悩んでいると
店主がズイっと剣を俺に持たせる
(仕方ない。君たちには特別にタダであげよう。)
思わず店主を見る、ラミアは警戒して
(タダほど、怖いことはないで?)
(まさか、タダほど、優しいものもないですよ)
互いを睨む二人に俺は後に下がる
(・・しゃぁない。うちらがこれをもらう)
(ありがとうございます。)
店主は嬉しそうだ
どうやら店主の勝利みたいだ
(言い忘れましたが実はコレ・・曰く付きなので
処分に困っていたんです)
ニヘラっと笑う店主にラミアはげんなりとして
(今更いうか・・普通。)
(返品したくなるね。)
俺は思わず呟くと店主は驚いて
(も、もうお客様が買ったものですから返品は不可です!!)
慌てて言う程、この剣は厄介なものなのか
仕方がない・・ジンに押し売りするか
(ラミア、負けだね。俺たちの)
(そやな。はぁ・・ほな、うちらも行くか
さいなら)
と店を出る俺たち、当然剣を持っているのは俺だ
店主はニコヤカな顔をして
(ありがとうございました。)
頭を下げたのだった。
*****
「そういうわけだから、ジンにこの剣を買ったのさ」
そういって、剣を渡す
ジンは無言でその剣を見る
「・・。」
「・・・。」
互いに無言になる
ジンは俺を見つめて
「ありがとな。面白い剣だ」
面白い剣・・?
そういえば、この剣はジンに威嚇もしない
大人しいままだ
もしかしたら、この剣の持ち主はあの店主の言う通り
ジンなのかもしれない。
ちょっと、背筋が寒くなったのだ
店主、ある意味すごい・・っと
「さぁ、武器も揃ったし、行くか」
「あ・・うん。」
俺はフードをはかぶるとまだ落ち込んでいるラミアが目の前に写る
俺は心配になり
「ラミア、大丈夫?」
「あ・・・ごめんな。」
まだ、落ち込んでいるようだ。
「あの占いのことなら気にしない方がいいのに。」
だけど、ラミアは俺を見るなりハァ~っとため息を吐く
「・・・・占いやからな。うちだって乙女や」
そういって不機嫌そうな顔をするラミア
俺は思わず
「・・・乙女って認めたんだ」
その呟きにムッとしたラミアが
「なんか言ったか?」
ギロリっと俺を睨む
怖っ!!
「いや・・別に。だけど、ラミア。」
俺は慌てて弁解する
少し恥ずかしいけど言うしかない
「俺は気にしていないよ。ラミアの占いも」
すると、ラミアは目が点になり
そして俺に向かって飛び上がる
「ほ、ほんまか!?」
「ワッ・・。」
俺は思わずよろけるがラミアに支えてもらっている
「ふへへへ、ありがとな」
とても嬉しそうに破顔し急に元気になったラミア。
変な笑い声を出し始めた
そして、上機嫌のまま先に歩いていく
「・・・?」
変なラミア
俺は不思議そうな顔をしているとポンっと誰かが頭を撫でた
振り返ってみるとジンだった
「そろそろ、行くぞ」
「あ・・そうだね。」
砂漠の向こうへと歩きだす
待っているのは・・そう、召喚士村だ。
ラミアはまだ気にしていました
旬の一言で・・。
とりあいず、元気になったので
いよいよ次回は砂漠編です
では、またどうぞ。




