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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第5章 ~ある学者の忘れ形見~
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少年、泣かない子供

今回はミリカとルークの視点が入る話になります。

もちろん、旬の視点も入った盛りたくさんです。

では、どうぞ。

王宮の中でまた出会ったのは、前よりか少し寂しさがなくなった少年

でも、まだ寂しそうな顔をしている。


そう、何かを喪失した顔だ。

そんな少年は、少女から貸した傘を返す


「これ・・返す」

「・・・わざわざ、本当に返しにきたのね」


少女は、呆れた笑みを浮かべる

でも、同時に寂しそうな顔に変わる


「貴方、行き場所がないのでしょ?」

「・・・。」


少年は、答えない

王宮は、寂しくて

静寂して、とても冷たい場所

あたしはそれを誰よりも知っているから


「あたしもないわ。そう、ない。

 ねぇ、貴方もそうでしょ?」


「・・・」


どんなに、願っても・・もうない

だから、前に進むのだ

この残酷な程、美しい世界に

あたしは、泣きながらも

その残酷な人生に歩もうとしている。

そして、持ちかけるのだ


私の願いの為に・・・。


「あたしね、ここで一人で生きるのは困難

 貴方がその力を貸してくれるとうれしい」


幼い少女はただ言うのだ

あたしにはもう迷えない

あの悪魔のような姿を見て以来

あたしには、恐怖以上に何かが勝っている


「分かった。」

「いいの?」

すると、コクンっと頷く


「・・・よろしくお姫様。」

「・・・よろしく、少年」


そして、導かれた姫と従者という関係

すべては、一人の悪魔から。

始まったのだ・・。


               ****



「旬、頑張って!!」


シルードを継続しながら、ミリカは皆を守るように術を続ける

その中でも俺は、一人

召喚獣と戦い続けた


杖は、共鳴を続けている

俺は、この杖を使うことになってから

魔法に迷いがなくなったような気がする・・。


杖を高く上げると杖は光る


「氷よ。すべてを凍らせ

 そして砕け散れ。フリーズ」


すると、キメラがすべて凍っていく

そして、旬が杖をひとふりすると

パキパキと大きな音を立てる

崩れる音だ

それでも尚、キメラは旬に向かっていく


旬は、静かにパチンっと指をならすと


「砕け散れ」


その途端、キメラの姿は消える


「すごいわ・・。」


ミリカはホォっと感嘆する


「ふぅ、死ぬかと思ったよぉ」


同時に脱力する少年

怖かった、本当に怖かった。

でも、よく生き残ったな。俺


「よく、やったわね。すごいわ」

ニコニコ顔のミリカ


「これで全部かな?」


「いいえ、ほら・・見て、あれが最後よ」


指が示す方向には、ラミアが戦っている

強い摩擦と力がせめぎあっている


「遊んでいるわね、あの光景は」


ミリカは、フフンっと何かを見定めている


「遊んでいるように見えないけど・・?」


俺は、呆れる

その声が聞こえるのか

地獄耳なのか


「旬の声が聞こえるな。ふん、遊んでいるわけないやろ?」


すると、ラミアは守る姿勢に入る

それは、シーフの奥義に入るようだ


「魔法盗み・・発動」


すると、あちらこちらから、弦がラミアの元に現れる


「弦ようちの命令を聞け・・キメラを縛りあげよ・・いけ!!」


すると、すごい速さでキメラを縛りつける

キメラの呻き声がここまで響くくらいだ


「な、あれは俺の技」


そう、あの技は俺がラミア達を縛りあげるための技だった


「あ、そうなの?珍しいわね・・あのシーフ」

「え・・?」


「魔法盗みっていうのは、熟練のシーフでも中々取得が難しい技なのよ

 一度盗んだ技は、また使える。それも、素晴らしい能力だけど。

 取得するのに、かなりの年月が必要みたい・・その力を取得できる

 あの子・・すごいわね」


ラミアは、踊るようにキメラの隙を一気に突く

姿に俺は魅入られた。

キメラは一気に倒れる

その途端、キメラの身体が砂のように消えていったのだ


「なんで、消滅!?」


俺は疑問を抱いていると隣から声がした


「召喚獣は持ち主の所へと帰ったからだよ」


そこには、汗を流しているルークの姿があった


「ルークさん。」

「少年、君たちもどうやら勝ったようだね」


「・・そうですけど。あの、召喚獣は召喚者の元に帰ったなら

 召喚したのは、例のトウリという王子様なんですか?」


「・・・。」


すると、ルークは黙る


「ルークさん・・・?」


その姿をみたミリカはため息を吐く


「あたしが代わりに解説するわ。あの召喚獣はおそらく違うと思うわ

 あたしたち、王族には契約している召喚士はいないのよ」


「いない・・?」


そうなのか・・?

それは、初耳だ。


「じゃ・・さっきのは?」


「分らないわ。兄さんが密かに召喚士と連絡を取っていたのか・・

 それに、召喚士が王族にいないのも無理がないもの」「当たり前や」


ミリカは腕を組んで悩むのだすると、後から声がするのだ


「召喚士一族は、外界には囚われない、誇り高き一族やからな。」


ニッと仁王立ちして笑みを浮かべるラミアの姿があった


「あ、ラミア。お帰り」


あの激しい戦いを思わせない好戦的な姿だった

俺はとりあいずどういうことなのかと聞くことにした


「ところで、ラミア、なんで召喚士のこと知っているの?」


「あんさん、知らんのか?この召喚士一族は、秘境中の秘境で

 暮らしているからな。まぁ、情報を集めているとこのようなことが

 分かるからなぁ。シーフだから当たり前や」


「へぇ、じゃ、滅多には現れないんだ。」


「まぁな。姫さんも驚いているんやろ?」


「・・・ええ、だから驚いた。召喚士の陣を見たのは

 あれが初めてではないからすぐ気づいたわ。」


「あれが初めてではない・・?」


「・・そうよ、随分昔にコレと同じような陣を見たのよ

 随分・・昔だけどね」


「・・ミリカ・・?」


クスッと意味深な笑みを浮かべる

そして、ミリカは周りを見て


「どちらにしろ、先ほどの黒ずくめの人間もいなくなった

 みたいね」


「そういえば・・なんだろうね。あの集団」


先ほどの黒ずくめの人物は、トウリが消えると同時にキメラが現れて

それからは見ていない


ミリカのシールドの中にはそんな人物はいないし

それにしてもどこに行っただろう・・?


「・・断然はできないけど、恐らく人買いかしら?」


「僕にもわかりませんよ。あの集団が、何でここにいるのか

 誰の命令で動いているのか」


「・・厄介になりそうね」


二人がそんな会話をしている中

そういえば・・あの二人は見ないな

俺は、シーフであるラミアを見る


「ラミア、探知は使える?」


すると呆けていたラミアが


「あ・・ああ、ええよ。何を調べるんや?」


「・・まぁ、確証はないけど、アリアたちをお願い」


「はぁ・・アリアはんか?」


アリアと聞いたとき、驚いているようだ


「うん。先ほどから姿が見えていないし、ジンは多分

 力を使ってでも姿を隠していると思うから」


ピンっときたのか


「せやな、ちょっと待てや」


そういって、ラミアは呪文を使う

長い詠唱が終わると


「探知・・開始」


その途端、陣が現れ、同時に影が出来る


「何しているの?」


不思議そうな顔をしているミリカ

そういえば言っていなかったよね・・。


「あ・・俺達に探している人がいるって言ったよね」

「あ、そういえば・・。」


「三人にいるんだ・・一人は、俺を残してどこかに向かって

 残りの二人は、この会場で会う予定だけど・・来なくてね

 とても、嫌な予感がするんだ」


そう、ジンが紅茶を入れる前から感じていた嫌な予感

その嫌な予感だけは、ずっとこの会場に来てからも感じていた

心の中ではそれはありえないと思っていた

でも、なんだかこの召喚獣や黒ずくめの集団を見ていると

なぜか、不安を駆り立てるのだ


「旬・・見えるか」


ラミアが無の瞳を俺に向ける

どうやら、術の反動で無意識的になっているようだ


「え・・あ、うん」


そこには、細長い糸が会場の外へと繋がっていた


「どうやら、探知可能みたいや。そんなに遠い場所には

 行ってないようや」


「・・・そうみたいだね」


この奇妙な感じ

何か、俺は何かに大きなことに覆われているような気がした

それも、嫌な予感を・・。


                 *****


旬達の行動を見ていた二人

それは、王女であるミリカとそしてルーク


「・・嫌な、予感ね」


探知の能力を使うラミアの姿を見てミリカ

浮かない顔で従者のルークに話す


ルークもそれが分るのか


「ミリカ様も感じるですか?実は僕も、やはり・・

 あの召喚獣のことですか?」


そう・・あの召喚獣を見たときからだ

ずっと、喉に小骨があるかのように

変な気分になっているのだ


「・・ええ、あの召喚獣を見たときから騒めくわね

 この嫌なザワザワ感を」


ミリカは胸を抑える

そのザワザワ感は旬とは違う感情を抱いている


「僕の場合は、ザワザワより・・ドキドキしているんですよ

 この奇妙な感じに・・ね」


ニヤリっと好戦的に笑う

その、姿にさすがのミリカは


「あんたね、少しはこの緊張感になれなさいよ

 はぁ・・。」


ため息を吐くククっとルークは陽気に笑う


「だけども、あんなに弱いとはいえ

 あんなに大群に召喚獣を召喚できるとは・・

 思ったより、大変なことが起こりそうですね」


そうだ、あの召喚獣を見たとき

とても、恐ろしく感じたのだ


「確かに、あたしも確証はないけども・・兄さんは

 とんでもないモノに手をだしたかもしれない」


「・・・。」


あたしは、見たのだ

兄さんが本物の悪魔に手を出した・・瞬間を・・。


「逃げられるならとっくに逃げてもいいのにね・・。」


「・・でも、それでは駄目だよ・・ミリカ様」


ルークは真剣な顔でミリカを見てそして、旬達を見て


「初対面の少年なのに彼らは召喚獣を見て

 怯えるよりも他の選択肢に対して逃げるというのが無かった

 少なくとも僕たちより彼らは強い」


「・・。」


「それに、ミリカ様・・貴方は、少年を試したんです

 そして、合格した。」


そう、あたしは見たのだ

戦っている少年が必死にあたしを守ろうとした姿

たしかに、あの時あたしは彼を試した。

その結果、少年は・・旬は動揺した。

でも、すぐ正気を取り戻した


あの強い意思を・・あたしは見たのだ


「ミリカ、ルークさん」


切迫詰まった少年・・旬の声が聞こえる

どうやら、旬にはあたしたちの言葉を聞いていなかったみたいね

それ以外に心配な所でもあるのかもしれないわね


「どうしたの?」


そこには、二人共、真剣な顔をしている

ラミアの方は無の瞳で術の継続をしているようだ


「探知は終わったのね?」


「・・うん。ミリカ、俺達は行くけど、ミリカ達は」


「もちろん行くわよ」


「当たり前だよ」


「俺は、これがどうなるのか分らない

 ただ、この嫌な予感がするんだ」


旬の顔は焦っている

何か、感じられるモノがあるのかもしれない

あたしは、決心するしかない


「・・・行きましょう。旬」


「・・うん」


「じゃ、行くで、糸が断ち切られる前に」


そういって走り出す面々

いつか、少年、旬に話すことがたくさんある

あたしのことや王宮のこと

でも、今は・・それ以上

この大きな流れにただ、身を任せるしかないのだ・・。

 

少しずつ冒とくで明らかにしています。でも、冒とくが長くならないように

していますが、なんとなくで長くなります・・。

でも、楽しんでくれたら嬉しいです。

ではまた次話で。

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