少年、出会った黒衣
さぁ、51話目です。
今日は、遅くに話を描きました
ちょっと、遅すぎですね・・すみません。
では、続きをどうぞ。
どこまでも逃れられないこの狭い世界
あたしは怯えて生きるしかないかもしれない
もしかしたら、逃れられるかもしれない
でも、この王宮では・・。
流れに身を任せて
ただ、その場で息を止めて
潜めるしかないのだから・・。
****
「頭が痛い・・。」
パチっと目を開ける
「・・あれ・・うち、どうしたっけ・・」
キョロキョロと周りを見る
そや・・ジンがうちらを・・
思わず旬を見る
なんと、旬はよだれを垂らして眠っている
その姿をみて、ラミアはズンズンっと近寄って
「旬、起きろ・・起きろって!!」
バシバシっと容赦なくラミアは旬の頬を叩く
紅く腫れていく旬の頬
そして・・。
「いってぇぇぇ、何すんの!!」
涙目の旬がヒリヒリする頬を触りながらのお目覚めだ。
そして、ラミアを見て
「あ、ラミア、おはよう」
酷い目に合わされても尚、挨拶をする
思わず、ラミアもするが・・。
「おはよう・・って、ちゃうわ。
あんた、強制的に眠らせたやろうが
のんきにすんなや」
「・・あ・・ああああ、そうだった、俺
ジンに何か飲まされて眠ったんだ!!」
ジンの姿を探す
すると、ラミアは・・。
「ジンは・・うちらを置いてどこかに行ったんや」
「どこかに!?」
「そや・・・あいつは、うちらに黙って・・。」
怒りを露にするラミア
俺達はただ・・黙るしかなかった
「・・・。」
「・・・。」
無言の沈黙だった。
俺はただ・・どうしてこうなったのか分らない。
ラミアはがしがしっと漆黒の髪を乱す
「やはり、うちらが外に出ていたとき
何か話をした可能性はあるな」
「・・当たり前だよ、俺達が席を外したんだから」
恐らく、俺達が外に出たとき
何かとても重要な会話があったはずだ
そして・・俺達に盛られた薬も多分・・。
計画の一つだったかもしれない。
チッと舌打ちするラミア
「うちらを眠らせるなんていい度胸をしているわ・・」
「舌打ちしても仕方ないよ。だって、ラミアが外に出たからだよ
まぁ、俺も同罪だしね」
すると、
「・・でも、収穫はあったやないか」
「ああ・・ミリカとルクウェアという少年、二人組だね」
そう、俺達が外に出た時の二人組
銀髪の赤い目をした少女
もう一人は、茶髪にグレーの瞳の少年
「・・まぁ、あの二人のうち、あの少年の方は喰えない感じがしたけどな」
そうだ、俺達に槍を持って威嚇する姿
まさに、気を許すなという雰囲気だった
「けど、他に当てになる人物いないものやな」
「・・そうだね。」
同時にため息つく二人
「これから、どうする?」
「決まっているやないの」
「・・決まっている?」
「宴や」
「宴・・で、でもどこでしているのか」
「それなら、大丈夫や」
ピッと見せたのは招待状だった
漆黒のカードで、バラの絵が描かれている。
俺は、目を丸くし
「どこで・・それを」
「実はな。盗みを発動させたんや」
「・・なんで?」
俺は惚けながら聞くとニッと笑って
俺はなんとなく浮かびあがる
ラミアはジンの隙をついて
失敬している姿を。
「うち、薬の効き目が薄いらしくてな・・ジンも少し焦った顔しとったわ
その時・・な」
悪徳の顔をしているラミアに俺は少し身震いした。
何故か、分らないけど・・。
「まぁ、このくらい軽いはずや・・迷惑料やな」
「迷惑料って・・」
ケッと口に出すラミア
相当怒っているようだ
「うちらに黙って出ていった罰や・・仲間なのに・・な」
俺はこれ以上何も言うことはなかった
ラミアも、本当は信じていたはずだ
こんな結果になったのは・・。
俺もラミアも思いもしなかった・・ことだからだ
「とはいえ、怖いね。スリとか得意そうだねラミア」
すると、ふぅっとため息吐いて
「・・抜け目がないといえや。これでも、うちはスリは
あんさんらで初めてやで?」
「・・ええっ、嘘だぁ」
信じられなかった
泥棒しているくらいだからしそうなのに
ラミアは目を細めて
「ふん、嘘でも真実でもどちらでもええ
とりあいず」
「さてと、行くか。」
「行くって、この格好で」
キラキラと目が潤んでいる
その姿に俺は少し引く
「どうやら、今日来るのは王族だけやないみたい
うちらがこの格好できても変やない
不思議な宴のようや・・ふふっ
大金とか持っていそうやないの・・。」
うんうんって頷きながら楽しんでいるラミア
どうやら、目的はそっちか!!
本当はスリ得意じゃないだろうか・・?
少し疑問に思う俺だった
そういや、俺達一般人だよね・・。
「でも、俺、一般・・人・・って、引っ張るなァァ」
「さぁ、いくでぇぇ」
人の話を聞かずにラミアは引っ張る
俺はまだ見ることもない
不思議な宴に足を踏み込むことになったのだ・・。
****
「ふわぁぁぁ」
「変な、奇声だすな。旬」
「だって、珍しい衣装ばかりだよ」
なんとそこには、不思議な衣装ばかりだった
服といえば、RPGでよく見かける服ばかりだった
「ほぉ、あの服なんか珍しい服やな・・自作ってやつか
おかしな服ばかりやな」
その服の見定めまでするラミア
しかも、何気に酷い
「ラミア・・失礼すぎるよ」
「ふん、ほんまのこと言って何が悪いんや」
悪態をつくラミア
どうやら、機嫌が悪そうだ
さっきまで良かったのにまた・・。
「どうやら、ここは仮装舞踏会って奴やな」
「・・まぁ、仕方ないよ。」
わらわらと普通の貴族の服を着ていないので
階級すら分らない
なんだろう・・この奇妙な宴
「・・でも、まぁ・・いろんな人がいるな」
「本当だね・・。」
俺はあっちこっち見ていると
ふと、全身黒色の服を着た誰かに目があった
「・・おや、珍しい客人だ」
そう言って俺を見て一言を告げられる
凝視されているのか、少し困る
俺はクィクィっと、ラミアの裾を握る
「・・なんか、変な人がいるよラミア」
「・・無視や、無視」
そう言うが、何故か無視ができない威圧感があったのだ
変な人は俺に近づいて握手を求める
「な、なんですか?」
「ふふっ、仲良しの握手」
見た目通り・・変人だ。
その人物は全身真っ黒な服を着ているせいか
忍者・・のような衣装だった
「こんにちは、坊や」
「・・はぁ。」
目だけは、隠してはいないのか
その人の瞳はアイスブルーだった。
その人物はニッコリと笑って俺に話かけてくる
「君も、この宴の参加者かい?」
「まぁ・・そんなところです」
一応、同意しとこう
その人物にラミアは興味を持ったのか上から下まで
衣装を眺めて
「あんさん、なんの仮装しとるんや?」
「あ・・分る?コレ、アサシンの仮装なんだよ」
「アサシン?」
「ふふっ。」
くるりっと一回転する
その人物は女か男なのか・・。
声も中性的だから分ることもない
真っ黒衣装を着ているから、当然かもしれない
「今日は、仮装舞踏会なんですか?」
「そうだよ。だから自分もこの服を着ているんだよ」
「ふぅん、えらく、金がかかることをするな・・」
確かに、衣装を見る限り
金のかかる服も着ている人もいるようだしね
すると、含み笑いをするアサシン(仮)は
「ふふっ。この宴は、階級なんて関係ない
なぜなら、ここにいる全員は・・王宮に招かれた人達であり
権力を持った人々のただの遊びさ。」
「遊びにしては・・なんだか、殺気が出ているけど・・?」
よく見れば、皆ピリピリとしている
殺気まではいかないが
なぜ、こんなにそわそわしているだろう・・?
それに見かねたアサシン(仮)が、話かけてくる
やれやれといったくたびれたように
「今日は、こんな遊びをしているけど・・ついに決まるだよ」
「決まる?」
「・・・王太子の座さ」
すっと、目を細められる
「「!!?」」
俺達の驚きように満足したのか
「ふふっ。面白いだろ?すべてが決まるだから」
すると、どこから出したのか棒付き飴を舐める
「あの・・なんで、棒付き飴を・・?」
「ああ、自分の好物だからさ。」
「はぁ・・。」
ペロペロと舐め続ける
甘いものが好きなのだろうか?
「とにかく、人は半分は遊び・・そして半分は、命運を決めるのさ
ここにいる人々は、紛れ込んでいる・・純血派と混血派でね・・。」
「純血派と混血派?」
「ふふっ、ここにいる会場は皆、そうなのさ
紛れ込んでいるだよ・・誰がそうなのか・・ってね」
「ふぅん・・って、だから仮装しているの?」
すると、ペロペロと舐めるアサシン(仮は)
「・・・そうだよ。と言ったらどうする?」
「・・・。」
ブルッと俺は震えた
なんか、怖くなった急に・・。
ラミアも同じなのか
「なんや、怖いな。」
アサシン(仮)は、ペロペロとあいからず飴を舐めながら
「大丈夫だよ・・自分のように、姿すら知らない
特殊な宴なんだ。そんな怖いことは起こらない
そう・・起こるとしたら、王子同士の衝突なのさ」
もっともな言葉だ。
しかし、なんでこのアサシン(仮)は、そんなこと
知っているんだろう・・?
「まぁ、死ぬことはないし、楽しんで宴に酔いしれてね」
「楽しめるかい、そんな物騒な話を聞いて」
ラミアはケッと悪態をつく
すると、含み笑いをして
「ふふっ、それは申し訳ない。そろそろ
自分も挨拶しないといけないから
じゃぁ、またね。坊や・・そして、褐色の色のお姉さん」
「褐色は余計や」
ペロペロと棒付き飴を舐めながらアサシン(仮)は去っていった
「・・一体何者なんや。」
「さぁ・・でも、要注意人物・・って所だね」
「・・そやな」
すると、
「あ、見つけた」
また、誰かが俺に声をかけてきた
一体誰なのか・・なんとなく、嫌な予感を持っていたのだった。
さて、この人物は誰なんでしょうか・・?
多分、何話目か出ていますよ。まぁ、わかると思います。
では、次話で・・。




