少年、伝説の召喚獣
今回の冒涜から見えることは・・?
どこかで軽快な音が聞こえる
はじまる
はじまる
さぁ、おいで
一歩
一歩
踏み出せば
さぁ、楽園の始まり
楽園の始まり
そこは、すべての始まり
だけど、これだけは約束
約束
うしろをみてはいけないよ
みては
いけないよ・・。
後ろを向けば
そこは、奈落の底
何もなくなる
なにも
なくな・・・る
音は途絶え
そして、暗闇へと染まっていったのだった
****
「・・・ふぅ、もうこんな時間か」
アルテッサの店から少し歩いて
旬は立ち止る
もう店は見えない
空はもうすでに赤く染まって・・夕方だ
ほかの二人も同様に立ち止った
「今日はどうするッスか?宿屋」
「そうだよ旬。宿なかったら野宿!?」
困惑のウッズに大げさに震える千里
旬は呆れる
「そこまでしないって。とにかく、みんなと合流するしかないよ」
「確かにそうだ・・カズラ君たちに会わないといけない・・か」
納得した千里
止まっていた足を動かしまた歩き出す
「それにしても、ずいぶん雰囲気が違う街ッスな」
ウッズは町並みをながめ
雰囲気が何かが違うことに気づく
「どういうこと?」
「いや、騎士通り辺りでは比較的に新しい町並みだったッス
だけど・・ここは、どちらかといえば取り残された雰囲気が残るッスね」
確かに、言われてみればそうだ。
深くは考えてはいないけど・・そんな気がしていた
「確かに、古い家が多いし、どちらかといえば昔の名残に近いよね
僕も思ったよ。ずいぶん、違うね・・って。」
「・・うん」
うすうすだけど
何かが・・浮かび上がるような気がした
「旬、何考えているの?」
「・・・。」
旬は無言になる
けして、無視しているわけではない
少しずつ何かが・・形になろうとしているでも
肝心なところがあいまいでわからない
わかるのは・・ただ、一つ
二面相・・だ。
この国は・・普通の国ではないかもしれない
確証も確信すらない
だけども・・どうも気になるのだ
「旬?」
「ねぇ、千里」
「何?」
うっすらと旬と瞳が・・・細くなった
「俺、考えてはいたけどギルドといい、この国はなぜ」
二面相があるんだ?
そう問おうと思うと・・なぜか、口がでない
「旬・・?」
ウッズは心配そうだ。
いうべきだろうか・・
旬の言葉に・・・千里は何か気づいたのか
「旬、気にならないかい」
「えっ・・・。」
千里・・・?
「何を?」
「ギルドがなぜ弱体化しているのをその理由など。」
弱体化?
旬は、瞳をパチクリしている。
千里は・・俺を見つめている
「・・・そりゃ気になるけど。それがこの国とナニガ関係があるの」
「・・あれをみなよ」
千里が指をさしたのは・・東にある大きな塔だ
しかも、見たことない・・獣をモチーフにした
旗だ
「なんか、見たことないマークがある。なんだろう・・?」
「召喚獣の旗さ」
千里はその旗を見るなり・・静かに答える
「・・召喚獣の旗?」
千里は・・ただ、東の塔にある・・大きな旗を見上げていた
「伝説級の召喚獣の旗・・召喚に成功したことすら聞いたこともない
獣の旗さ」
千里は見上げている中で・・何をおもっているのか俺には分からなかった
静観しているのだ・・千里は。
「なんで知っているの?」
「・・僕はこれでも、召喚士だよ。それに、昔・・師に見せてくれたんだよ
召喚獣の一覧をね」
そういって見上げるのをやめて・・旬たちに笑みを浮かべた
「図鑑っていうのがあるッスか」
「色んな召喚獣の絵と説明だったのを覚えているよ
・・昔だから曖昧な部分があるけど・・あの獣は確かに僕が知っている
召喚獣だ・・・しかも、伝説級の。」
旗を見る
千里の話では
あれは、召喚獣の旗であること
それも伝説級の。
と、なると何の召喚獣だろう・・?
「へぇ~伝説級までッスか・・にしても、召喚士って知識が幅広いッスな」
関心するウッズ
「そぉ?」
「俺もそう思うよ。魔法使いもそうだけど・・召喚士はそれ以上だね
・・だけど、伝説級の召喚は千里はできるの?」
「あ、旬は魔術師でも魔導師ではないッスね。こんなに実力があるのに
もったいないッスなー」
「そうだね。むしろ、僕としては召喚士にさせたいくらいだよ」
「・・・あはは、俺は現状のままでいいよ」
笑ってごまかす俺
そう、俺は魔法使い
知識はそんなに広くはないけど
魔法の応用は幅広いのだ
魔導師になることもできるとも言われたけど
まぁ、今の現状のままでいいやとも実は思っているんだ。
「ってか、脱線したね・・結局、千里どう思う?」
すると、千里はげんなりした顔で
「かなり高位な召喚士でも無理でしょあれ。
下手にしたら死んじゃうって」
「あ、でも千里の召喚獣でもかなり高位な召喚獣いるよね」
「あれは運が良いだけだよ。」
「運ッスか?」
「そうだよ。運が悪ければ僕だって危ない。
仮に召喚に成功したとしても」
そう、千里は目を伏せた
その意味を俺は知っている
「召喚獣がいうことを聞かなければ危険だと前にも言っていたよね」
そう、千里は前に言ったのだ
召喚士の命令に従わない召喚獣の存在があることを。
だからこそ・・千里も、ひどく悩んでいるように見えたのだ
「うん・・もう一つ、伝説級の召喚獣を召喚するにはそれ専用のモノが必要なんだよ」
「モノ?」
少し気まずそうに喋る千里
「・・・うん。詳しくは言いたくないけど。はっきりいえば
・・存在したら最悪なんだよね」
ハァっとため息を吐く
最悪?
千里はそれはもう考えたくないように苦虫を噛み潰している
何か知っているだろうか・・?
千里は何か思いつめているようだ
俺はおそるおそる声をかけることにした
「千里?」
すると、千里はいつものように・・ニコっと笑う
だけど、その笑みは・・少しじこちない
「・・それよりかこの国になぜ、あの召喚獣をモチーフにしたのか
気になる所だよ。」
どうやらごまかしたようだ
伝説級の召喚獣を召喚する方法を聞きだすことはこれ以上できないようだ
ニコニコ顔でこれ以上の追及もできない気がした
俺も話を変えることにした
「召喚獣をモチーフにしたのが賢者の塔?」
もしかして、そうなんだろうか?
そう考えてこんでいると隣からウッズさんが首を横に振る
「違うッスよ・・・”教会”ッス」
教会という言葉にピンっときた
俺が知っているのは・・。
「教会・・ってあの神父やシスターがいる・・あれ?」
そう聖職者の事を思い浮かべてしまうのだ
「そうッス。東の教会と呼ばれるッスよ。自分が知る限り」
どうやら正解だったようだ。
「あれ?じゃ、賢者は・・・?」
すると、視線が・・・。
「西の方にも塔があるんだ・・そこが通称”賢者の屋敷”」
千里は西の方向に目を向ける
そこには古びた塔が見える
そばには豪華な屋敷が見えた
けど、ここからだと全貌はわからない
ただ、わかるのが大きな屋敷ということだけだった。
「この国の面白いところは、二大勢力が強いッス
まず一つが”教会”ッス。信者は世界では多くはないッスが
このアルタールでは信望者が多いッス。」
へぇ・・・。
よくはわからないけどかなりの信望者が多いんだと感じた
「で、もう一つが賢者ッス。
錬金術師の中でも、もっとも錬金術を知りすぎたお人ッス
彼の存在はカリスマッス・・そっちも、信望者も同じように
多いッス」
「賢者・・・。」
旬は西の方向にある・・賢者の屋敷を見つめていた
それも・・・・。
「そうだよ。旬。で、あそこが僕たちがパーティに行く所だね」
「そうッスな」
それぞれの話を聞いて
全貌が少しずつ見えていく中で
千里は厳しい顔付きになった。
辺りがピンっとはりつめた空気になり、
「旬・・僕は、この国に関しては一筋縄にはいかないような気がする」
千里の言う通りだ
この国は俺が思った以上に手に
「・・・分かっている。ギルドが弱体化も二つの勢力が関係あるという
わけだね?」
「自分としては危ない橋に渡りたくないッスけど・・これも、一つの
仕事だと思うようにするッス」
「・・だね。」
「さってと、騎士通りに戻ろうか・・えっと、ここは」
千里は地図を確認する
「どうやら古民街と呼ばれる場所みたいだね」
「古民街?」
「古い町並みが残った所だと書いてあるよ。
で、ここから道なりにいくと騎士通りにいけるから
行こう」
「あ、千里待って」
「自分を置いていくなッスよ!!」
慌てながらついていく、旬とウッズ
古民街は、本当に古い建物ばかりだった
だけど、その時俺は不自然なことに気づいた
なぜ・・・誰にもすれ違わないのだろう・・?
街には人の気配がしないだからか・・・?
旬はそれだけが不思議だった
もう、アルテッサの店は見えなくなった
・・・道はどうやら、騎士通りの方へと繋がっていた
「ほぉ、古民街からここにくるまで曲道ないッスな」
「でも、少し路地裏っぽいよ古民街に行くためには・・この細い道を
通らないといけないし」
確かに・・後ろを振り返れば
細い路地っぽい道だ。
「あんまり、目立たないよね。これじゃぁ、新しく
作ったような感じがするね。町並みも、なんだか
比較的に新しくも見える」
「確かに」
それは同感だった
目だない・・
まるで、意図的のようにも感じた
でも、それが明確に何を意味をするのかが・・俺には分からない
「しかし、どうするッス?合流するにしてもどこにいるか
わからないッスよ」
「あ・・・ラミアたちだよ。旬」
「えっ・・!」
名もなき英雄像の前で、ラミアたちが待っていた
だけど、三者三様
どこか浮かない顔をしていたのだ
旬は不思議に思った
喜びも達成感もない
なぜか、何かにたいして考え込んでいるのがみえた
「ラミアー!」
旬が声をかけるとハッとしたラミアが旬たちに気づき
軽く手を振る
旬たちがラミアたちのそばにきて
「・・・・旬か。元気そうでよかったわ」
少し元気なさそうに笑うラミアの姿があった
「・・・?」
千里は不思議そうな顔をする
「よっ、おめぇら生きていたな」
ニカっと笑うカズラ
いつも通りに明るく振るまるカズラ
「当たり前だよ。カズラ君こそ死にぞこないね」
「ああ・・・そうだな」
千里の嫌味も・・どこか笑うのではなく
苦笑をしているのだ
「カズラ君・・?」
千里もカズラが変だと気づいた
ニカっと笑った顔から・・急に真剣な顔になり
旬を・・まっすぐに、見つめた
そして、フィっと視線を逸らし
「もう宿は決めたぜ。行こう。俺、お前に話たいことがあるんだ」
カズラはさっさと宿へと歩いていく
「えっ・・。」
いつものように陽気なカズラの変貌に驚く一同
「ど、どうしたッスか」
「・・今はなんも言えんわ。黙ってついてきてほしい」
ラミアが先に行ってしまった
「何があったッスか・・・?」
ウッズは困惑しているようだ
「ごしゅじん・・・。」
おずっと名もなき像の死角にいたアニマが・・姿を現した
「アニマ・・?」
「・・・らみあたちは・・その・・うまくいえないけど
かんじょうのせいりができないだけなんだ」
「ど、どういうこと」
「・・・あにまのくちからはいえないよ・・その・・ごめんね。
ごしゅじん」
落ち込んでいるアニマ
「・・・ここで話すことができないこと・・か」
胸騒ぎと・・何かが大きなことが始まりそうな
・・・・そんな、予感がしたのだった。
明かされる謎
そして、ラミア達の異変とは?
次回”少年、豹変する者”をお楽しみに




