表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 間幕その② 夢の始まり
442/485

少年、その暴走の行方  前編

今回は、前編後編ですみません。

旬と千里、カズラの会話です。

旬とカズラたちは、旬たちが使っている専用の部屋


しかし、今は旬、千里、カズラがそこで椅子に座って


ニヤリっと笑っていた


「しかし、まぁ・・・あのアルカ・エルレイドが王立アカデミーの出身か」


「僕も知らなかった。」


どうやら、王立アカデミーのことで話こんでいる千里とカズラ


「そんなに、王立アカデミーはすごいの?」


千里たちに聞くと、カズラが答える


「ああ。国一番の優秀な奴らが通う学園らしぃぜ。昔は貴族の者が多く通っていて

 腐敗のたまり場と呼ばれたいたが今では、身分関係なく優秀な奴らがそろって

 いる学園だな。」


「すごいよね。旬。まさにエリートってやつだね。」


すごいよ・・でも、さ。


「うん・・だけどさ、アルカさんの話を聞いていて

 エリートだからって・・それだけじゃないよ。

 俺・・ほかにも尊敬できることはあるよ」


「どんな所が?」


すると・・旬は・・。


「絶望の中の光が、大きな光になって信じた道の向こうには何があるか分からないのに

 背中を押されて駆け抜けたんだな・・っと思うと尊敬できるし

 羨ましいと思ったんだ」


旬の言葉に・・カズラが、ニッと笑う


「そうだな。俺も羨ましいな」


「だろ?」


「・・だけどさ、僕たちはその絶望の道を駆け抜けられるかな?」


「千里・・?」


不安そうな千里に、カズラが茶化すのだ


「なんだよ、千里こぇえのか?」


すると、千里はフルフルっと首を横に振った


「違うよ・・そのさ、僕たちはもう一度この世界にきて

 絶望の道は駆け抜けてきたさ・・でも・・。」


「でも?」


「・・だからこそ、気になるのさ。

 旬、気にならないかい?」


「気にならない?って何が?」


千里が息を吸って・・そして吐く


「・・・僕たちの使命」


使命・・・。


「使命・・・!」


忘れていた


いや、忘れようとしていた


俺たちの・・使命!!


「・・そういえば、俺も気になったな。一度は俺たちは帰ることが

 できた。それは、使命を果たしたということじゃないのか?」


カズラが覚えがあるのか、その問いに答えを返す


一度の帰還


それは、帰れたことだ


驚くほど、あっさりだった帰還


今更ながらの使命・・気になる。


「確かに、俺もそう思う・・でも、結局、使命はなんだったの?」


そうだ、結局、使命はなんだっただろう


その時・・旬は思い出す


あの・・時のことを・・。


笑った顔で・・最期を見たあの時を


「今更だけど、僕の推測では、使命は・・・”ブラックボックス”

 そのものを消滅させることが・・今更だけど思うんだよ」


その言葉に・・千里だけではなくカズラ・・俺すらも黙る


「・・・。」


「・・・。」


今更、その言葉を言われると


改めて・・あれが、使命だったのか?と言われると


覚えがあるからこそ・・俺は・・。


旬が黙っていると・・今まで笑っていたカズラが・・・。


「・・だから・・あの犠牲だというのか?千里」


カズラは燃える怒りが・・見えた


「・・・。」


千里はカズラの視線を受けても黙っている


それはもう・・そこには、何か別の悲愴感が・・あった。


「答えろよ!!あの犠牲のために・・あいつは・・あの人も

 いなくなったといいたいのか!!」


今にもつかみかかりそうなカズラ


旬は止める


「カズラ!!よせ!!」


旬は、千里につかみかかろうとするカズラを止める


カズラはその激情は止まらない


「俺は、俺は・・あいつや・・あの方を救えなかった

 なのに・・それが使命なんて・・俺は!!」


ギュっと手を握りしめる


悲しみだけが、すべてそこにあるわけがない


怒りだ。


それは・・あの時の起きた光景を・・思い出させるのだ


だから、旬は止める


「・・カズラ、やめなよ。ここで争っても意味がないよ。」


「し・・旬・・でも!」


・・旬は・・ギュっと手を握りしめて


カズラをまっすぐと・・!!


「苦しいのは・・カズラだけじゃない。」


「ど、どういうことだよ!!」


「・・俺も・・千里も、同じ気持ちなんだ・・!」


「あ・・・!」


その言葉でカズラは・・怒りが少し静まったのか


居心地が悪いのか・・黙る・・。


チラリっとカズラは千里の様子見すると・・そこには・・!


千里の揺れる瞳は・・悲しげだ


沈黙が支配された


「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」


皆、沈黙だった


しかし、旬は沈黙を破り


自分の中の心の吐露をする


「・・カズラ、俺はね・・あの時の戦いまで

 後悔ばかりしているんだよ」


すると、カズラは目を丸くする


「お前がか・・?」


そう、俺は・・。


あの時のことを今でもたまに”夢”を見る


どうしようもなく・・アイツの最期の”夢”を


「・・うん。確かに、悪党ばかりの世界にいて

 誰かしも敵だと何度も思った。でも・・・

 あの時ばかりは・・俺は悔しかった」


「・・!」


悔しかった


悲しかった


だけど・・もう!!


旬はあの日を思って・・。


「あんなに、皮肉なのに笑っていた奴の・・あの顔は

 ・・俺ですら・・もっと、何ができたのか

 考えた・・だけども、あの時は・・もう終わったんだよ」


カズラは信じられない瞳を向ける


「・・・!!」


「どんなに、嘆いても・・どんなに苦しんでも

 どんなに、恨んでも・・後悔しても

 ・・終わったんだ。」


そう、終わったんだよ


どんなに、あの時のことを考えても


もう


遅いんだ


終わっているんだよ。


「・・・し、旬」


カズラは動揺している


旬は・・動揺も気づいているからこそ


カズラから逃げずにしっかりと答える


「だけども、残る後悔は・・きっと、俺の中のわだまり。

 そして、カズラ・・君自身のわだまりなんだよ。

 過去に何もできなかった後悔が今・・怒りと変わったんだ。」


「・・俺の中の・・怒り」


カズラすら気づかなかった”怒り”


終わったことに今までにもない


”怒り”が沸き上がる


それは、過去にある・・苦しみの結果が


ただ・・怒りへと変わったのだ


「じゃ!!なんといえばよかったんだ!!

 終わりのない悲しみはずっと続くんだぜ!?


カズラの叫びは苦しみ

中にない


悲しみの・・苦しみ


「・・ああ。だけど、できることはあるさ」


旬はソッと・・自分の心に触れる


自分の中にある”決意”


それは、あの日から・・変わらない


「・・・・!!」


「・・”次”は、必ず・・あの時と同じような結果にはできない。

 それだけの度胸とそれだけの力のために・・俺はいるだなっと

 思うだよ」


「・・旬は・・・」


その時・・千里は問いかけてきた


「何?」


千里は・・旬にすがるように問いかけてくる


「旬は、どう思った?クレーエのこと」


すると・・


「俺はそうだね・・”憎めない奴だと思うよ。”」


「憎めない?」


「ああ。どうしようもなくね。」


そう憎めなかった


あんなに、憎いとか思ったけど


今は・・改めて思うよ・・。


「憎めない・・確かに・・・そうだな」


カズラは思い出の中にいるクレーエを思い出した


奴が狂う・・前々までの記憶を。


旬は・・。


「最後まで道化師を演じた奴は・・本当に憎めない

 それに、また会えると約束したんだ。

 ・・たとえ、時が流れて、今の俺という存在がなくなったとしても

 いつか、また・・どこかで出会えるかもしれないだろ?」


「・・!」


千里は・・口元を緩めた


旬は・・・強い


そう今・・感じたのだ


「その時は・・もしかしたら友達になれるかもしれない

 俺たちのように・・親友にだってなれるさ」


そう


いつか、どこかで会える


それは・・”約束”


そう・・だから


俺は、泣かない


そして・・嘆くのは・・まだ、先だ


「・・ああ。そうだよな。俺も・・俺も

 そう思うぜ・・・旬」


涙もろいのかカズラの瞳は少しだけキラっと流れた気がした


でも、それは幻影かもしれない


次の時は大きく口元が緩んで・・笑顔のカズラがそこにいた


千里は・・ギュっと・・旬の手を握りしめて


「僕も・・僕は・・歩くよ。

 いつでも、どこでも・・また会えるなら

 進むよ。旬」


千里は・・笑っていた


良かった・・いつもの千里だ


「うん。その意気だよ。千里。

 暗くなっても仕方ないさ

 笑顔は人を優しくし・・和やかにしてくれる。」


その言葉に、カズラは改めて日生旬という人物像を気に入ったのか


「・・旬、おめぇ、すげぇ考え方だよな。気に入ったぜ。

 俺も、なんだかあいつにまた会えるようなきーしてならねぇぜ。

 なぁ、それにしてもおめぇ・・なにしてんだ?」


ガチャガチャっと旬は先ほどから調合道具を出していた


「あー、これ?調合だよ。調合」


「調合?」


千里は首を傾ける


それは、そうだろう・・千里すらしたことがないからね


”調合”は。


「うん。魔法使いでも誰でもというわけでもないけどできるらしぃよ」


「へぇ・・で、このどす緑なのは・・なんだ?」


旬の横に散らばっている青い液体をみて

聞く


「ああ・・栄養剤?」


栄養剤(?)に、旬は簡略に答えをだす


その言葉にカズラの手はワナワナっと震えて


「栄養剤?爆薬のまちがいじゃねーのか?」


ギャーハハハッっと大笑いをするカズラ


「ヒーヒヒヒッ!!これが、え、栄養剤!!

 爆薬、まじか!!」


「しっ!カズラ君、失礼だよ」


思わず、口を挟む


余計な一言だ。


というか余計だ!!


しかし、旬は怒りを抑えて


「ああ・・いいよ。別に、爆薬でもいいし。

 ・・・というか、全然上達しないからね。

 とりあいず、次の調合に入ろうとおもって」


しれっと答える


「旬に失礼だよ・・えい」


「いてぇぇぇぇぇ」


ちなみに、カズラは千里に杖で殴られていた


事実だ


なぜ


なぜ


なぜ、栄養剤は・・爆薬になるんだろう?


旬は嘆く


そんな中、千里は旬のそばにある調合の本に触れる


そして、ペラペラっとページをめくるのだ


そして、しおりにされている所をみる


「何々・・”グロウの灯び?」


「うん。作ろうかなぁって思っているんだよ」


旬は、ガチャガチャっと音をたてる旬


カズラも千里が見ている本を横から覗いて


「あ、ものすごいくらい灯りがつくのか。

 暗闇の世界ではすごいな。でも、なんでだ?」


頭をさすりながらカズラは旬に聞く


「うん、なーんか、気になってね」


気になった・・というのは本当だ


カズラはさらに、旬がしおりにしている部分のもう1ページをみる


「”賢者の薬”の薬だって、これも?」


「うん。まぁ、好きだし。実はこの間のあの薬も俺が作成したんだよ。」


「へぇ、あの薬を旬が・・マジか!?」


「旬、栄養剤失敗ばかりなのに、不思議だねぇ」


「・・・ああ。なんでだろうね。俺もそればかりは謎に思うよ。

 ・・あ、千里そこの草をちぎってよ。今から、グロウの灯火を

 作るから。」


「はいはい。」


かぎりなくお手伝いする千里


横では簡易壺を眺めているカズラ


「あー、きれいな色だな。なんか加えようか?」


懐からなんかでてきた・・薬草?


「カズラ、君なに、その変な薬草を加えようとするの。というかどっから

 持ってきた」


「あー、ここに来る前に拾った。というか、採集?」


すると、千里は何か思い出したのか


「これって、あのモンスターのそばに落ちていた薬草!もー!!」


「なに、あのモンスターって」


「ああ。旬には言っていないよね。僕たち、ここの世界に落ちてから

 まぁ、カズラ君と一緒に旅をしていたよ」


「・・・で、出会ったのが、グレムリンドラゴンっと呼ばれる

 狂暴なドラゴンだったわけだ」


カズラは思い出す


(グルゥゥゥゥ!!)


そう威嚇するグレムリンドラゴンを思い出すカズラ

そして、カズラはニッと笑い


(そこの根城を俺の今日の野宿だ。おめぇどけや!!)


その時のことを千里は頭が痛いのか・・。


「・・カズラ君は、グレムリンドラゴンに戦いに挑んで

 しかも、勝ったんだよ」


「へ・・へぇ~」


さすが、カズラだ


強いね・・かぎりなく


「そんで、もってその時の戦利品がこれってわけだ?

 綺麗な色だろ?エメラルドの色だぜ」


「で・・その薬草なんの名前なの?

 効能は?」


旬が聞くと、カズラはテヘペロっとあざとく笑う


「知らねぇ。まぁ、死にはしねぇだろぉぉぉ」


「やめてよー!こんなの、いらないよ!!」


「冗談だぜ。冗談・・あー、手がすべったぁぁ」


その時、エメラルドの薬草が一気にカズラは手をすべったとか言いながら


強制的に簡易壺の中に薬草を入れる


「ばかぁぁぁぁ」


その時、なんらかの化学変化が起こる


「うわっ・・・!!」


その時・・・ドクン!!


何か・・・大きな力を・・感じた!!


「旬・・・?」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


旬は、叫ぶ


感じる・・・強い


強い・・力が俺を・・よび・・おこ・・・す


そして・・旬の周りに光が集まる・・淡い緑の光


「お・・おい!!旬!!」


そして・・カズラが旬に触れようとすると


カズラも・・・ドクンっと何か感じたのか


「ううっ・・・!!」


カズラからは・・淡いオレンジの光だ


「旬!!カズラ君!!しっかり」


千里は、何か緊急事態だと感じたのか杖をもって


ドクンっと千里すら感じた


「うう・・!!」


崩れる千里・・そこから、千里からは淡い水色の光があふれる


しかし、千里は・・なんとか立ち上がり


「僕が・・・二人を・・・助けないと!!」


気力をもって千里は術を使う


痛み


苦しみ


色んな感情がゴチャゴチャする


でも!!

二人を助けないと!!


その杖は・・・淡く光りをおびて


千里は・・・二人を救うために立ち上がったのだった。


暴走の先に千里が立ち上がる


その行方とは・・?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ