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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 間幕その② 夢の始まり
441/485

少年、迷い猫 後編

今回は、後編

さてさて・・?

生き残る


生き残れない


二つの選択の中、自分には答えが一つしかない


もちろん、生存だ。


しかし、その言葉の後が・・なんだか、妙に怖くなって


悲しく胸を痛ませる


思い出すのは8年前に起きた大戦のこと


その大戦が運命だったというのは、自分は信じたくない


そして、同時に何が運命なのか自分でも分からない


でも、だけども・・信じている


運命なんて、自分が考える以上に


大きく広く導かれていることを


そして、いつでも人は・・必ず、運命なんかに左右されない


大きな力を持っていることを・・!



                  ***


ラミアさんがどんどん、近づいてくる


その刃・・ナイフがギラリっと光らせて


ウッズは・・後ろへと一歩、一歩下がる


近づく恐れにウッズは全身を震わせる


「こ、怖いッス」


本当にこ、コワイ


なんていうか、コワイ


永遠に怖い


とにかく怖さでたくさんだった


だけども、同時に疑問符がでてきた


なんで、自分、後ろに下がっているッス?


どうして、下がっているッス?


自分の足が自然と後ろへと下がっているのだ


そう、それはラミアさんに対しての恐れ


そして自分に対しての・・弱い心だ


下がっていく


一歩、一歩、ラミアが近づいていく


下がる先には・・もはや、もう・・自分はダメだろうか・・。


一瞬、覚悟を散らしたくなる


もう・・手が・・・。


すると、ラミアが駆け出す


そして、目の前で・・言葉を漏らす


「あんさんじゃ、無理かもしれへんな。うちには勝てへんのや」


そうだ


その通りだ


自分では、勝者には勝てない


どんな、強力な力にも恐れもなさに・・死ぬのだ


自分は・・もう駄目なのか・・?


何も手がもう動かないし


震えてもう駄目だ


わかっている


わかっている


でも・・手が震えて・・・えっ。


思わずウッズは自分の手を見つめた・・その時。ハッとする


あれ?


剣の持つ手が震えない?


「・・・剣の持つ手が震えない・・・!!」


その震えがないことに驚く


そして・・その時、ウッズは感じ取る


自分の身の危険を・・。


「さよならや」


そう、ラミアのナイフがスローモーションで迫る


思わずウッズは、剣を持ち・・ナイフに対抗する


今・・・ガチンっと音が鳴った


「あ・・・う、受け止めたッス・・ううっ・・手が今度は

いたいッス」


受け止めた時の反動の痛みを感じるウッズ


ラミアは、それはそれは嬉しそうに


「ほぉ、どうやら・・あんさんもやる気はあるようや」


すると、すぐに回し蹴りをしてくるラミア


ウッズは・・後ろへ壁にぶち当たる


「ぐわっ・・い、い、痛い!」


後ろへと下がるラミアは態勢を変えてすぐにでも攻撃を繰り出していきそうだ


だけども、手の震えが消えている


今の自分は・・攻撃を受け流すことができる


ウッズは、腐っても見習い兵士だった。


王国の兵士たちは、自分にいろんな技を教えてくれた


いつでも、自分は、目の前で力を持つ兵士たちの間近にいた


わかっている


本当は、攻撃の受け流し方も


わかっている


でも、自分には目にはみえない速さにはついていけない


「ゲホ・・ゲホ!」


思わずむせる


その時、外部にいたアニマが叫ぶ


「うっず!!らみあ!よせ!!」


魔法を使おうとすると・・ヒュっと一本のナイフが飛んできた


「うわっ!なにを・・!」


「黙ってみみとけや。ここから一歩でも踏み出せば・・攻撃対象や。」


「な・・・!!」


ウッズは驚いた今までなかったラミアの言葉に茫然する


でも、アニマは気づく


ラミアの瞳の奥の言葉には・・”今、大事な所だから邪魔すんな!”と感じたのだ


アニマは加勢をすることができずに、一歩を踏み出すこともなく


見守る


ウッズは、恐れている


目の前に迫る・・その人・・ラミアのことを


ウッズは武器を振るっているラミアに・・疑問すら感じる


これが・・ラミアさん?


いつものラミアなら陽気に笑っているのに


今は・・・無表情にみえる・・だけども、迷い猫のように彷徨った


瞳を・・向けられている


負の気持ちが押しつぶされていくような・・・・。


殺気なんだろうか


こんな瞳を向けられたことのないウッズは当然悩む


だけども、いずれこの瞳を何度も見ることになるだろう


少なくとも・・旬と一緒にいるかぎり・・!


覚悟が・・自分には必要だ


ウッズは前を向いた

そして、祈る


どうか・・お父様、お母さま・・自分の力を貸してくださいっス


ウッズは痛む身体をむりやり起き上がらせ


剣をギュっと握りしめた


「ほぉ、恐れはなくなったんか?

 臆病は消えたんか?」


ラミアに問われる・・その瞬間、攻撃が・・!


ミシ・・っと音がした


互いのナイフと剣がぶつかる


ウッズは、ナイフを受け止められたことに関心するより先に


ラミアの問いに答える


「今も恐れはあるッスよ・・でも、もう信じることにしたッス」


信じる・・・そう、それしかない


「・・」


ラミアと間合いをつめながら答えるウッズ


「・・信じないとダメッス・・そうでなければ

 自分は迷ってしまう・・迷うくらないなら

 信じることが一番よりよい近い道ッスよ」


荒く息を吐くながら・・ウッズは・・答えた


すると、ラミアは・・・・口元をゆがませて


「・・・甘いなぁ。ウッズ、人間は、つねに迷うやで?

 止められない何かのために嘆いてつねに迷うんや

 現に、今のうちも迷っているんや」


ラミアさんにも・・迷っている?!


一瞬、それは・・・刹那のように


迷う・・猫の瞳が揺れる


だけども・・自分は!


「・・・自分は、これから生き残る、生き残れない生存競争など、自分にとっては

 あとッスよ。迷いを断ち切れなければ・・進むだけの道が続かない。

 それならば・・ただ・・ただ、進むだけッス!!」


その勢いはラミアは・・ナイフで受け流して


ヒュっと後ろへと下がった


ウッズはピッと剣をに向けた


その挑戦的な瞳に・・ラミアはニタリっと笑う


「・・ほぉ、それが・・あんさんの望みであり、自由か」


そのまま、またピュっとラミアは一気に間合いを詰めようとするが


その時、ウッズは少しだけ思い出した


”どうして、お父様・・僕には、何も力がないの?”


”突然、どうしたんだい?ウッズ”


”お父様は、魔法が使えるのにどうして僕には魔法が使えないの?

 どうして、お母さまのように・・力を・・!”


遠いどこかで、思い出すその記憶・・。


抱き上げられて・・お父様は・・こういってくれた。


”お前は、私たちの血を受け継いだ・・大事な子

 お前には、まだ早いこの力・・だが、お前が決心したとき

 ・・この力は開花するだろう”


そう・・・思い出した


自分には・・・決心した時の力がある。


どこかで・・何かが・・開花する・・!!


その時・・・何か、力を感じた


「うらぁぁぁ、まけねぇぇぇぇっすぅぅぅ」


その剣が、優しく紫の光へと変化する


「がはぁ!!」


ラミアの刀が一気に弾き飛ばされる


ラミアは・・そのまま、その力を受け止めて・・壁に当たる


「ラミア!!」


「はぁ、はぁ、はぁ」


剣は静まりを止め・・やがては、薄まる力


今の・・今の・・紫色の・・力


「な・・なんッス・・今のは・・!?」


すると、ラミアはつかつかっと歩いていく


「ああ・・き、効いていないッス!!」


ラミアさんは、爽快にツカツカっとこちらにくる


「あ、ら、ラミアさん、す、すまねぇッス・・そ、その」


すると、ポスっと頭を軽くたたく


「・・なんや、戦えるんやな。ウッズ。

 うちは、ものすごくうれしいわ」


ニコニコっと陽気に笑うラミア


「えっ。」


思わずきょとんっとしてしまうウッズ


「・・ちと、まぁ痛かったけどあんくらい慣れているからええわ。

 うちの演技が効いたようやな・・手加減も大変やわ」


「え、演技!?」


今のが・・!!


演技ッスか!!?


というか、かなり手加減されていたッスか!?


「そうや。うちが本気であんさんを倒す訳ないやろ?

 演技や演技・・迫力やったろ?

 まー、うちも悪役はいけるやろ?」


ハハハハっと笑う姿に思わず怒りがこみあげる


「どうして試したッスか!?」


そう問うと・・ラミアは細い猫のような瞳になって


「・・そうじゃないと、あんさんは意地でも戦おうとせんやろ?

 あんさんは、優しすぎるから」


「・・!」


自分が・・・優しい?


ラミアは・・疲れたのか・・壁によりかかる


「うちは、自分でもまだ未熟やとわかっとるわ。

 ・・なぜならば、うちはまだ迷いを断ち切っていないから

 ・・うちも、まだまだ迷い猫というところやな。」


「迷いは、簡単には断ち切れないッスか?」


すると・・ふるふるっと首を横に振り


「全然。今は、色んな所に迷いがある。

 ・・うちらは、何度か今の味方に刃を向けたことがある。」


「・・えっ」


「その時が今のように・・迷うんや」


迷い


それが、ラミアさんの今を・・・。


「それが・・ラミアさんの迷わせることッスか?」


すると・・ラミアさんは・・。


「・・・どうやろ。あんさんにも聞くわ。

 あんさんは”味方に刃”をむけることはできるか?」


その問いに・・自分はすぐに否定する


というか、ありえない言葉にただ・・ただ、否定するしかないッス


「えっ、そ、そんなのできないッスよ

 仲間に刃をむけることは恐ろしいことッスよ

 で、できないッス」


その言葉にラミアは・・クスっと笑って


「あんさんは、ほんまに優しいやつやな。

 ・・そやな・・そやろうな」


ラミアさんは何か納得したかのようにつぶやいた


しかし、その時、ラミアさんはなんだかこの時、様子がおかしかった。


とても、何か深い考え事をしているようだった。


そして、自分はいずれ知ることになる


ラミアさんだけじゃない


千里さんも、カズラさんも・・アニマも


そして・・旬も・・。


その迷いの向こうで敵対する人物に苦悩することを


そして、その時自分も・・。


直面化するすべてに、何も言えない悔しさにのまれることも


その時はまだ・・・知らなかったのだ


「アニマしんぱいしたぞー」


アニマがトコトコっときたので


ラミアは、それはもう悪徳な顔をして


「それにしてもアニマいたんか」


ニッと笑うと


「それにしてもとはしつれいだ!!というか!!またあにまをくうきあつかいしたな!!さいしょからいた!いたんだぞ!!」


ガァァァっと獣如くギャウギャウっと叫び、うなる


そして、自分は笑う


これから、起こる何かを知らない今に・・自分は笑うのだ。


後になって、もうちょっとラミアさんに聞けばよかったと後悔することに・・。


・・その時の自分は考えもしなかっスよ・・。


あの光景を・・目の前でみるとは・・ッス



のちにウッズは直面化する

仲間に刃を向ける・・・その瞬間を。

それが・・また、少し後になる話


その未来の先には何があるのかは次の新幕にして

お楽しみを


次回は、旬と千里、カズラの会話を一話出して

そして、新幕へと入ろうと思います。






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