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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第4章 ~オルフェと呼ばれた者~
43/485

過去編その⑥ メノリの力

2話、続けて戦闘描写です。

残り、2話で、過去編はすべて終わりになります。

2話で、追われるかわかりませんが

よろしくお願いしますね。

では、どうぞ、

遠い昔を思い出せば

私はそこにいた

正確には、いたような気がする

それだけだ。

私には何も無い


そして、出会ったのは・・美しい黄金の瞳だった。



                  *****



「坊、準備はいいですか?」


「・・ああ。」


メガネをクィっとあげながら

パラっと分厚い本を開く


すると、グァンっと音を立て、よくわからない文字が

メノリの間に浮かび上がる



「蜃気楼よ、我らを隠したまへ」


 「ミラージュ」


すると、淡い風が二人を包む


「な・・何をしたんだ!?」


我達の体は透けていく

それどころか、ニルの黒い手はウネウネと彷徨っている


「少しの間だけ、私たちの体は見えません

 これだけはいえます、あのニルの絵は簡単には

 いきません・・ですから、私たちの自体を隠せば・・。」


そうすれば、攻撃はしやすい

これなら・・いける。


「・・ああ、そういうことか」


メノリは神妙な顔をする

どうやら、この術はそんなに長い間は無理・・ということか


「坊、いいですかこの術はそんなに長く保ちません

 勝負は一瞬です」


「そうみたいだな」


がァァァっと叫びながら黒い手をうねうねしている

我は走り出す


メノリは後ろで呪文を唱えている

ペラペラと、、ページをめくりながら

呪文を防いでいる


我はその間、奴の間合いを掴み

その懐に入りこんだ


我はギラリっと光った剣を出す

その光に、思わず黒い手は、ざわっとして我が見えないはずなのに

遅いかかる


「しまった・・!!」


剣までは、見えていないと思ったが、計算ハズレか!!?


「かのものを縛りあげろ・・」


すると、光の手が黒い手を縛る


「ガァァァァ」


と叫ぶ音がする


その言葉が聞こえ思わず振り返ると

そこには、不敵な笑を浮かべているメノリの姿があったのだ


「お、お前・・。」


「よそ見は禁物です・・やっぱり、まだ甘いですね。

 でもいいでしょう。」


「上出来だ・・・。」


我が一歩、一歩と進んでいくとニルの絵は、もがく

そして、光の手を喰らいつくそうとすると


だが、もう遅い


「元のあるべき姿に戻れ」


「残空剣」


鋭い剣がニルを襲う


「がぁぁぁぁ」


そういって、ニルの絵は黒い手は消滅する

肝心の絵は元の姿へと戻る


ガタンっと音を立て倒れる絵

我はおそるおそる覗きこむと

その絵は我の前に現れた絵はまた別の絵となっていたのだ


どちらにしろ、終わったのだ


「ふぅ・・終わったな」


我はため息を吐くと

何かを感じた


なんだろう

この違和感は・・。

すると、パチパチと拍手がする



「坊。上出来です。」


そこには、笑を浮かべたメノリの姿があった


「いや、お前の方がすごいな・・。」

「え・・?」


「支援型が得意なんだな・・我はお前に助けられたよ」


すると、目をパチパチしていたがやがてクスッと笑い


「坊にも賞賛を言えるですね」


「当たり前だ!!」


ケタケタと笑うメノリ

どうやら、我をからかっていたようだ


「そうですよ、私は戦いより、人の支援の方が

 得意・・・」


ハッとしてメノリは後を見る

「まずい・・!!」

「な・・どうしたんだ!?」


「しまった!!私としたことが・・王を・・。」

「な・・。」


我もアリア達がいた方を見て

そこには、いるはずの二人がいないのだ!!


「くっ・・坊。王は、この物置部屋に仕掛けがあると

 ご存知ですか?」


「え・・いや」


「・・・くそっ。」

「ど、どうしたんだ」


「危険だからですよ・・今の王は!!」


「え・・。」


そういって頭をがしがしするメノリ

父上は、なぜアリアを・・。

それに、危険って・・一体


「外に出た様子はない・・ということは

 仕掛け部屋や・・!!」


確認するメノリは苛立っている


「・・・メノリ・・?」


すると、ハッとしたのか

メノリは、スタスタと歩いていく


そして、ある壁に向かうと


「何をする気だ?」


「・・見ていてください。こう見えても私、怪力なんです」


「え・・。」


ハァっと息を吸って吐いて


「うぉりやぁぁぁ」


すると、ドガンっと音を立てると

ガラガラガラっと無残な音を立て

壁が壊れる


そこには、道が続いていた


「すごい・・。」


怪力の方がいいんじゃないか・・この(ヒト)の場合


「いきますよ!!」


メノリは走り出す

我は追いかけるのみだ


                 *****



力の制御できないアリアでも、父の異変に気づいた

オルフェ達が戦っているのに、父は案じることもなく

傍観していたのだ

私は、必死に力を抑えていたとき

父から見えた瞳は・・それは・・。


「お・・お父様」

「この方が、いいんだよ・・アリア」

「なに・・・を」


突如、訳も分からずに首を絞められるアリア


「これが一番良い方法なんだよ・・アリア

 君の力を抑える方法はね・・。」


「グッ・・・。」


アリアの意識が朧になっていく

王の狂気めいた瞳は、虚だ。


なぜ・・お父様は私を・・?

アリアは涙目になっていた

もう・・ダメなのね・・・。

そして、私の意識は落ちていったのだ



「ウォリヤァァァ」


その謎の声と共に

壁はピシピシっと割る

ガラガラっと音を立て

壁は壊れる


「あいからず、すごいな」


オルフェが、後から来たのだ

そして、私の姿を見て


「父上・・なんてことを・・。」


その言葉の後、すごい速さでメノリはアリアを助ける

気を失ったアリアは、オルフェに預けられる

そして、王はというと


「ガッ」


メノリの怪力によって、押し出される


「何を・・する・・。」

「・・・。」


それは哀を含んだメノリの視線だった


「・・・王よ、貴方はそこまで堕ちていましたか」


「・・メノリ・・貴様」


怒りをこもった瞳を向ける

彼女は、本当に悲しんでいたのだ


「あの頃のあなたは、王として素晴らしかった

 身分も人権も何も無い私に学者としての

 身分を与え、この世界に存在できるようにしてくれた

 あの頃のあなたは・・もういないですね」


一瞬だけ見えたメノリの過去

そして、辛そうな顔をしたメノリ


「それが、何のためになる・・?」


「・・大事な人をなくしたから・・では、終わりませんよ

 貴方は、実の娘を殺そうとした。あの方が亡くなられてから

 貴方は変わった。だから、私は表に出ることになったですよ」


「戯言を貴様のような学者風情が・・。」


「・・その妻にしたのは、父上ではないか。」


「オ、オルフェ」


驚いた瞳をする

我は、父がアリアを襲った理由は分かる

もう・・痛いほど。


「父上、我は知っています。貴方は誰よりも

 強く・・そして、弱い存在であることを」


「・・・。」


思い出すのは、母の葬式だ。

もっとも、悲しくて

もっとも痛い記憶。


「我は、幼い頃、母を亡くし涙をながしていたのに

 父上だけは違った。王だから泣けなかった

 本当は泣きたいくらいに・・。」「もう・・いい。」


「・・・。」


「もういいんだ・・オルフェ・・。」


そこには、王ではなく・・。

父の顔だった。

もう、どれくらい見ていないのか

数年ぶりに見た・・父だった。


そして、我を見て

父は、悟っていた。


「私は多くの間違いが多かった・・。すまない」

「父上・・?」

何をする気だ・・?

止めようとしても、動けない

なぜか・・わからない


そして、隠しもっていたナイフで、自分の腹を切る


「・・!!?」


ポタ・・ポタっと血が流れる


ライドウは、自分がしていたことに気づいていたのだ

ただ、抑えられなかった・・それだけのこと。


「これ以上、また頭が可笑しくなるんだ・・オルフェ

 私はこれ以上ここにいるときっと・・もっと変になる

 すまなかった・・オルフェ、アリア」


そういって、血に濡れた手で、気絶している彼女に術を放つ

すると、苦しんでいる顔から安静した顔つきになる

そして、メノリ視線を向ける


「メノリ・・すまない。」


「いいえ・・いや・・いいんだよ。」


今・・・メノリが素に戻った


「あんたは、私を幸せにした・・それだけで十分だよ。」


「・・・ありがとう・・メノリ。」


そして、王は、安らかに眠についた

それは、事故でも他殺でもない

・・・。


我は涙を流せなかった

ツゥ~っと流したのはメノリだった


「・・メノリ?」


そして振り返った


そこにはもう・・いつものメノリだ


「・・ライドウ様に出会ったのは、身分もなく

 何も分からなかった時に出会ったのです。」


涙を拭いて

ライドウの顔を見た

そして・・。


「知っています・・?私には学者以外の顔があると

 いうことを・・。」


「・・・。」


それは、彼女自身の謎だ。

だれも知らない。

メノリ・カルディアの秘密・・。





メノリは何者なのでしょうか?

彼女は、身分もない・・それがキーワードです。

これが過去編のもっともな核心でしょうね。

では、次話で。

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