少年、思わぬ人物
今回は、ある人物の再登場です。
アニマの後ろ姿を見ていた俺
なんだかね・・アニマの後ろ姿がとても寂しく思ったんだ
そう、それは・・あの時もだ。
飛行船”ヴェリダス”の時も
アニマは・・ひどく怖い顔をしていたけど
同時に、とても悲しそうだったのを
俺は・・あの時気づいたんだ・・・。
だから俺は・・・・。
****
それぞれが、帰っていた
夕暮れだけども、すぐに夜になろうとする頃
「あー、おなかすいたッスー」
ぐぅぅっとおなかが鳴るのか、ウッズはおなかをさする
「ほんまやなー。夕飯なんやろな」
「俺は、肉だな。肉」
「僕は、魚がいいなぁ。」
「ほぉ、旬?」
ラミアは旬に問いかけるが旬は・・静かで茫然としているのだ
「旬!!」
すると、ハッとしたのか
「え・・あ、ごめん。何の話」
「いや、夕飯の話やけど?大丈夫か?」
その言葉に・・じこちない旬は・・。
「あ、うん。少し考えごとをしていただけだよ
まぁ、俺は、どちらでもいいよ。むしろ、両方入っていると
いいかな」
ニコっと笑うと、ラミアはホッとしたのか
「旬は、欲張りやな。でも、まぁ、それならどちらでも楽しめるからええことやな。」
どうやら、旬の意見に賛成しているようだ
旬は笑いでごまかす
「あははは。」
愛想笑いだ。俺
まぁ、仕方ないか
俺が茫然としていた理由は・・・。
今、目の前で・・俺より先に歩くアニマの・・あの言葉を少し考えていた
俺がこの本を持っているいることは
アニマにとって・・何の意味を持つのだろう・・って。
考えても浮かびはしたが結局、確信までは至らなかった。
そんなことを考えていると・・・・。
「おっ、いい匂いやな。エミルはんの家からや」
ラミアは立ち止ってスンスンっとニオイを嗅いでいる
すでに、エミルの家の近くまで漂ってくるのだ
美味しいニオイが。
「ほ、本当ッス・・う~ん、今日はお肉見たいッスな」
「おっ。俺の予想大当たり」
カズラは嬉しそうに頬を緩ませて
「ちぇー、肉なの。まぁいいや。」
反対に千里は残念そうな顔をしているが、肉は嫌いではないので
喜んでいる方だ
それぞれが玄関に入り
一言・・!
「「「「「「「ただいまー」」」」」」
すると、奥から声がするかわらしい声が響いた
「はぁい、おかえりーお兄ちゃんたち」
そこには・・エミル君と同じクリーム色の柔らかい髪
でも、瞳は・・深い深海のような瞳
その人物は・・・。
「ま・・マリンちゃん」
そこには、ニコッと笑顔のマリンがいた
深い、深い、深海の瞳が俺たちを見ている
「も、もう・・大丈夫なの?」
「うん。旬お兄ちゃん・・ありがとう。マリンの為に」
「ううん。良かった。」
「心配性だな。旬お兄ちゃんは、ほらほら、お客様がきているんだよ?」
急がすように旬たちを居間に連れていくマリン
「「「「「お客様?」」」」」
しかし、旬たちは見当がつかないので互いに顔を見合わす
マリンにそう言っているのでその居間に行くと・・そこには・・!!
すると、代わりに返答がきたのは・・・まさかの人物
「お帰り。先に夕飯をいただいているぞ」
そこには、ナイフとフォークで優雅に食事をしている
ジェイドさんの姿があった
そのお隣ではこれまたウェインさんも場の雰囲気にのまれることもなく
優雅に食事をしている・・なぜだ!?
「おおっ。旬か。よぉ、帰ってきた」
「ああ・・はい。ただいま・・・ウェインさん。」
もちろん、俺たちはまさかの人物の登場に
唖然としている
「・・な、何しているッスか?」
「夕飯を食べている。いや、このハンバーグはうまい。絶妙だな。
さすが、クラバット家の秘伝の味だ。うまい。」
さらに優雅に食事をしているジェイドそれにイラっとしたカズラが怒鳴る
「そういう意味じぇねぇよ。というか、あんた・・たしか
図書館の館長だったかなんでここにいんだよ!」
「そうだよ。というか、なに優雅に食べているの
なんか、場所が違うんじゃないかっと錯覚するくらい
優雅すぎるよ!!」
ブー、ブーっと叫ぶ二人
それでも、動揺せずに・・ナプキンで口を拭き
「ジェイド・アプリクス。図書館の館長だ。
”ジェイド”でも、”館長”でも呼べばいい。
君たちの名前を教えてくれ」
まさに冷静で優雅だ。
二人にして・・・。
「・・・チッ。俺は、神崎葛・・まぁ、カズラ・カンザキで。」
「同じく九条千里。」
舌打ちのカズラ
棒読みの千里
それぞれだ。
「まぁ、いい。食事中に怒鳴り声はよくない。
美しく優雅に・・だ」
しれっと答えるジェイドに、カズラと千里グッと詰まる
「・・・その前に、聞いていいですか?」
「なんだ。旬。手短に」
「・・ていうか、ジェイドさん、何しにきたの?
館長の仕事は多忙じゃなかったけ?
むしろ、人嫌いじゃ?」
旬の言葉にそれぞれがハッとする
「そやそや、そうやな。あんさん、何のんきに飯を食っているんや」
「そうッスよ。忙しいっと聞いているッス。
本当になに優雅に食べているッス
人嫌いは初めて聞いたッスよ!!」
「むしろ、よくくえるよな。ゆうがに」
アニマだけは感心していた
「人は嫌いじゃない・・まぁ、”一部”を除いてな・・。」
「えっ・・・?」
その時・・・。
「す、すみません。そ、そのか、館長先生ぇ~、お、お願いですから
そんなに澄ました顔しないでくださぁぁぁい」
泣きそうな声で姿を現したのはエミルだ
「エミル君。泣きそうだね」
「ううっ。こんな、いつもの食事なのに場所が高級系のお店になっているですぅ
か、館長先生が家にくるといつもこうですぅ。そのたびに、あの澄ました顔は
無言がつらいですぅ」
どうやら今まで耐えていたのか涙目だ。
「あはは。なんか、場所が違ってくるのはわかるよ。」
「笑い事じゃないわな。な、エミルはん、うちらも手伝うわ。」
「あ、じゃぁ配膳を。まりーん、お皿だすのを手伝って」
「はぁい。」
マリンは、トコトコっとお皿を出す手伝いをしている
「本当にマリンちゃん・・元気になって良かった」
すると、エミルは笑顔で・・。
「旬のおかげですよ、ほら、旬、おいしいですよぉ、今日は
おじいちゃんのオススメのハンバーグなのです。
期待していてくださいねー。」
そのあとは、俺はハンバーグを食べた
どこか、肉汁タップリで秘伝の味はまさに天国だった。
食後、それは・・ジェイドさんからの一言から始まった
「旬」
「・・ジェイドさん?」
そこには、食後のコーヒーを飲んで
一息をしていたジェイドが旬に話かけてきた
「今回は、よく無事だった。マリンもこうして元気に戻ってきた
・・・お前はよくぞ、マリンを救い・・エミルの憂いを晴らしてくれた」
その言葉に・・旬は照れ隠しに下を向く
「いえ、それは・・俺だけの力だけではありません。皆が・・・皆がいてくれたから」
顔を上げる旬は・・どこか、朗らかだけど瞳は・・まっすぐだ
「旬・・あんさん」
ラミアは感激している
「へへっ・・恥ずかしいな」
カズラは恥ずかしそうだ
「うん、僕も少し、赤くなってしまいそう。」
顔を赤くなるのを隠す千里
「じ、自分もッス」
「ごしゅじんはほめじゅうずだからなー」
同じなのか、こちらは顔を隠すこともなく堂々としている
「ううっ。旬の言葉が僕もうれしいですぅ」
エミルは嬉しそうだ
「皆が・・か、謙遜することなどないぞ?
わしらだって、お前たちにはかなり助かっているからな。
そんなお前さんには、恩が大きいぞ」
フッとどこか旬を認めているウェイン
「うん、旬お兄ちゃんすごいもん、輝いてみえたんだよ」
深海の瞳がキラキラっと輝いているのが見えた
「か、輝いて・・なんか、恥ずかしいだけど!?」
なんか、こそばゆい
というか、なんか・・顔が赤くなりそうだ。
そんな気分に浸っていると。
「ははっ。旬、お前はすごいな・・そして、もう・・この国からいなくなるのだな?」
ジェイドの言葉に・・旬はコクリっとうなずく
「ええ・・たぶん、明日には・・」
「そうか。寂しくなるな」
それぞれが顔を下に向いた
「でも、永遠の別れではないと思います」
旬の言葉にそれぞれが顔をあげた
「えっ・・・?」
「またどこかで出会えるし、別れなんかじゃないと思うです。
だって・・そうでしょ?出会えたことは運命だ。
そして、それが続くかぎりおそらくまた・・」
「「・・・旬・・。」」
「旬お兄ちゃん・・・。」
「出会えるのは運命・・か。いいことをいうな。幼い姿なりには
その言語似合うこともなく」
「はぁ・・どうも。」
「しかし、純粋だな・・・ありがとう。旬」
「いいえ、ありがとうはこちらからです。
その・・あの時、こと・・・」
「・・・ああ。この時計か。」
旬に見せたのは、懐中時計だ。
古い時計で、カチコチっと音を出すだけだ
「そういえば、なんやの・・その時計?」
「そういえばッス」
ジロリっと見る時計は・・なんていうか普通の時計と同じだ
「これは、ただの時計ではない。”時”時計だ。」
「時・・時計。」
「で、でも・・時魔法は・・禁忌のはずじゃ・・。」
「そうだ。時魔法は禁忌のはずだぜ。むしろ、それを使えば・・!!」
しかし、ジェイドは・・。
「こいつは、時を操る力は持っていない。
ただ、時を一時的に空間を留める力をもっているだけだ」
一時期的な・・?
「いや、十分に時の力だぜ?それ」
カズラが問うと千里もうなずく
「そうそう。」
しかし、ジェイドは・・。
「だが・・今はただの懐中時計だ。”一度”しか使えないのだ」
「”一度”しか・・?」
「ああ・・もうただの時計だがな」
「・・・!」
「良かったの?それで」
旬は聞いた
それは、かなり重要なものだと旬は知ったのだ
「・・・いいのだ。私は、それでよかったと思っている。
救える人間は今しかいない。それならばそれでよい」
「館長せんせぇ、ぼ、ぼく感激ですぅぅぅ」
「ジェイド先生ぇぇぇ」
涙目のエミルとマリンにまとわりつかわれる。
「ううっ、お、重い。」
どうやら二人分の重さにジェイドはもがいているようだ
「ジェイドはん、あんさんほんまにええ人や」
「そうッスよ。まったくッス」
それぞれが感心しているなか
「結局、その時計は・・誰からもらったの?」
「・・・それは・・・遥か遠い昔さ」
「えっ・・!?」
フッとジェイドは笑って
「さぁ、私の挨拶は終わった。もう帰らせてもらう」
「「「「「えええー」」」」」
それぞれがザンネンそうに声を出した
「もう帰るのかぇ、もう少しいてもいいじゃぞ?」
「いえ、夕ご飯ごちそうさまでした。私はまだ仕事が残っているので。」
「それは仕方ないな。また来い」
「ええ。もちろんです・・・じゃ、旬」
「あ、はい」
「明日、いつ発つのだ?」
「一応、お昼頃には。」
「そうか。その時は私も行こう。」
「あ・・」
「別れではないが、お見送りくらいさせてくれ」
その時のジェイドさんの顔はとても優しくて
温かい心に触れたような気がした
そんな・・・日だったんだと後に俺は思うようになるんだよね。
ジェイドさんは、謎が深い人ですが、基本的には優しい人です
さぁ、次回、アニマとマリンのお話へ・・。




