少年、離したくない手、離れた手
今回は・・・?
ぼくは、自分の失態をしてあの時泣いていた・・あの日
泣く泣く、ギルドに依頼して、図書館の庭に・・コソコソっと隠れていた
あいからず、泣き虫な自分に悪態をしながら・・矛盾をした気持ちをだいていた
そんな時・・ぼくは、旬に出会った
ぼくよりか、幼いのに・・その年でギルドに入っていることは驚いた
ぼくがもっとも驚いたのは
館長先生から借りた本を探していたあの時だ
探知という魔法のような力で本を探してくれた時だ
あの時のことは忘れない・・トワイライトクレインは警戒高い鳥なのに
旬はあっけなくそれを解いて本を取り戻した。
その時になって・・ぼくは、旬という人間に興味を持った
旬は、強くて優しい
そして、誰よりも強い
だから、心のどこかで・・知られたくなかった
そう、マリンの秘密・・。
正直、言えば旬の言う通りだ
いずれ、その日がくるということを気づいている
だけど、マリンの寝顔を見ているうちにふいに怖くなるんだ
怖いよ・・旬
また、あの日と同じようになるのが認めたくない
連れ去られた母の後ろ姿を思い出して怖いです。
だから認めたくない
だから、旬を許せないんだ
ぼくのすべてを壊そうとする
旬が許せない
さぁ、旬・・・ぼくを・・タノシマセテ?
****
目の前で性格が変わり・・闇のような雰囲気を漂わせている
本当に、同一人物であるのかそうでもないのか疑わざるえない
「とりけ・・して。その言葉・・でないと・・ぼくワ・・。」
そんな声が響く
修羅に陥り・・そして、オレンジが闇色になる。
ウッズは・・ガクガクっとあまりの変わりように愕然としている。
「ひゃぁぁ、こ、コワッ。なんッスあれ?本当にエミル君・・?
・・・別人ッス・・どうしてッス・・?」
前半、怖がり・・後半は、疑問へと変わるウッズ
その様子を見て・・カズラはフムっと声を出して
「・・・たぶん、今までの負が一気に表にでたんだな。
よほど、自分の中に不平不満がたまっていたんだろうな。」
不平不満・・覚えがある
この間もそうだった
まるで、人が変わったかのようだったから
旬はカズラの言葉に同意する
「だろうね。あった時から時々様子が変わっていたから
たぶん・・そういう面はあったんだと思うよ」
そう・・だからこそ・・驚きはしない
想定内でもあったからだ
「だろなぁ・・いかにもすぐに暗黒に堕ちましたという感じとかじゃねぇもん
よっしゃ俺がいこうか?というか、俺さ戦いをしたいだよな
むしろ、こういうのって戦闘狂?」
カズラは自分で精霊の剣を呼び出す気満々だ。
でもね・・カズラ、今回はそうはさせないよ
「待って。」
「旬?」
カズラに行かせないように旬が立ちふさがる。
「・・・俺がいくよ。こういう勝負は・・俺がいかないとね」
その言葉をきいてウッズは驚いていた
「し、旬・・行くッスか!?」
「・・・まぁね。」
そう、俺がしないといけない。
そんな旬を見て・・・カズラは何かを感じ取ったのか
「・・そっか。ならそうしろよ・・だがな、手加減するじゃなねぇぞ?
情なんかに振り回されていたら・・痛い目にあうからな」
あっさりと引き下がったが、旬の優しさに注意するカズラ
情に振りまされる・・か。
目の前のエミル君を見て・・。
「・・・わかっているよ。俺も・・全力出すさ。」
俺もわかっている
情なんかに振りまされているほど・・今回の相手は優しくない
旬は杖を持ち・・願う
・・・マリンちゃん、もう少し待っていて。
必ず俺たちがエミル君を正気に戻して君を助けるから
杖にそう願いをかける
すると、杖は淡く光る
大丈夫。
俺は、必ず・・助けるから・・!
旬はそう決意をして前へと踏み出すと
エミルはニコニコっと笑っている
でも・・それは、どこか違う笑みだ
なんていうか、なんとも言えないのだ。
「楽しそうデスゥ・・旬は、ぼくに謝らないですかぁ?」
謝る?
何いっているだろう・・。
「・・残念だけど、謝るつもりもないよ。」
そう、今回は、謝るつもりなどない
エミル君の気持ちはわかっている
でも・・譲れないだよ
その言葉に・・エミルは・・フッと笑って
バックから本を出して
「ルーン・バイブル」
すると、本がペラペラっとめくられる
すると、ニコっと笑うエミル
「・・・残念。では、旬・・・消えてください。」
その言葉と同時に・・いつの間にか手にしていたエミルは
本の文字を読み上げる
「神獣・・アニマよいでよ。」
すると、エミルの下から陣が現れる
「幻術・・!?」
旬は驚いた
目の前にいるのは・・・
「あ・・・アニマ!?」
「驚きましたかー?これは、ぼくの幻想魔法ですよぉ。
・・・でも、幻想だけども攻撃力は劣りません・・・
旬・・覚悟シテ」
ヘラヘラっと笑っていたが
すぐに・・修羅の瞳になるエミル
そこには、暗い瞳をした神獣・・アニマ
しかし、瞳の色、肌・・すべてが違う
だけども・・アニマだ。
またもや、その様子をみているカズラは隣にいるウッズに解説する
「・・・どうやら、エミル君は、精霊魔法。および、幻想魔法の使い手か。
これは驚いた、精霊魔法+幻想魔法を合わせたか。面白い。」
カズラは解説する、横でヘッと声を出すウッズ
「な・・・あ・・あああ、あれって、アニマッス!?
け、けど、変ッスよ、アニマはラミアさんと一緒に・・!」
「ああ・・あれは幻だ。」
「ま・・幻!?」
「・・あの本は、精霊の本・・千里の召喚術にも似ているが
幻術だ。というか、ようするにその眼で見てきた召喚獣、もしくは、精霊を
具現化させることができる。軽くチートだな。チート」
チート、チートっと口に出すカズラ
「ちーと?ま、まぁ・・なんで、エミル君にそんな魔法が・・!?」
もちろん、チートの意味を知らないウッズは不思議そうな顔をしている
「・・・おそらく、あのエミルも・・母の力を少しながら受け継いだだろう。
未来予知の女はもしかしたらとんでもない能力者だろうな。」
「・・・!」
驚くウッズ・・その横でカズラはにんまりと笑う
「でもまぁ・・旬の方がよりチートだ。見ろよ・・ウッズ。
旬は、怯えてもいない怖がってすらいない・・それどころか・・・」
ククっと笑うカズラ
視線の先の旬は・・怯えていない
それどころか、観察して楽しんでいる
「驚いた。アニマの具現化か。魔法にもいろいろあるんだねぇ」
旬は驚くどころか笑っているのだ
「笑っているのは今のうちですぅ・・・いけ、アニマ」
「ゲイル」
突風が旬を襲うが、旬は魔法でバリアを張る
「バリア」
しかし・・すぐに、ピュっと何か風が吹いた
バリアに剣が突き出してきたのだ
旬は、避けるが・・間に合わなかったのか
「うわっ。」
旬は下がる・・・頬が少しだけ赤くなる
摩擦でこすりあげたように・・頬は血は流れていないが
赤くなっていた
風の向こう側では、エミルが剣を構えていた
その細長い剣に見覚えがあるのか
「レイピアか。」
旬の目の前に先ほどの本ではなく今度はレイピアを構えているエミルがいた
ヒュっっと音を出して突き出すレイピア
旬は、避けるが、レイピアの速さには驚いている
それを見ていた、カズラは・・。
「驚いたぜ。いつ、本と入れ替えたんだ・・!?」
カズラは、その速さに驚いている
「きっと、空間魔法の一つッスよ」
聞きなれない言葉に思わずウッズに聞く
「く・・空間魔法?」
こくりっとうなずいて、ウッズは、地面に空間魔法のあり方を
書いている
「そうッス。自分もよく知らないッスけど・・空間魔法には、自分だけの
空間があってそこから武器の出し入れができるッス。そういえば、カズラさんも
できるッスよね」
そういって武器の出し入れについて書いているウッズ
それを見て・・何か気づいているのか
「あ・・もしかして・・。」
「そういうことッス。カズラさんも気づいていないうちに
空間魔法を使っているッスね。」
「ははっ・・俺ももしかしてチート?」
カズラは笑う
それもどこか乾いた笑いだ。
そして、またエミルと旬の戦いを見届けるカズラたち
旬はエミルの様子を見て
「・・・なるほど。」
これは、一筋縄ではいかないか
思ったよりできるみたいだねエミル君
でも・・。
ピュっとやってくる杖をもって、レイピアを受け止める杖
もちろん、壊れることもないのだ。
エミル君のレイピアは思ったより強い
ギギギギギっと音を出して押し出されないように・・
「ぐぐっ・・やるねぇ」
すると、レイピアを構えながらエミルは
「ヴォルカンレイン」
すると、炎の雨が降ってくる
それも高温の雨が・・・!
旬は、今、レイピアを抑えて
そして、今にもアニマ・・もとい、幻想アニマが攻撃を仕掛けてこよう
としている
今にも、危ないのに・・旬は不敵に笑っている
「・・・・でも、まだまだだよ」
旬は、空を見上げて
「ストーム」
急に・・雲などないはずなのに雲が出て・・それから大きなスコールが降る
まるで、嵐のように・・!
炎は消され、旬の魔法がこの一帯を支配する
そして、旬は杖でレイピアを勢いよく振る
「ぐっ・・・。」
エミルが、痛みで手を抑える
旬は、杖をエミルに向ける
エミルは痛みに耐えながらレイピアを構え、そばには幻想アニマが次の魔法を出すつもりだ
さすがに、面倒だね。
いくら、幻想でもアニマはアニマだ。
強いのは間違いない・・それならば・・・
「とはいえ、幻想アニマと君だけでは、倒すのは一苦労だよね。
・・まぁ、獣は獣同士で戦わせるのが一番かな」
そういって、バックから・・ゴソゴソっと音を出して
「俺もエミル君の期待を応えて・・さぁ、おいで」
バックから出したのは一枚の羽
「俺に力を貸せ」
すると、旬の周りに陣が現れる
それは、今までにもない・・美しい羽
それは・・旬と契約したある魔物の陣だった・・。
次回、旬とエミルの対決
そして、あの羽から現れた・・・!?




