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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 四幕 黎明の約束
401/485

少年、アウロラ・ターミガンの秘密

今回は・・?

初めて目覚めたのはずいぶん昔の話


気が付けば目が覚めたということ。


簡単にいえば、神の手によって私という存在が生まれたのだ


その時代は・・まぁ、まだ人間の世界にいたのだ


神が。


その時代は、古いというか、とにかく遠い話だ


ただ、のちに、事件が起こり神が人間に絶望し、人間界から去ってからも


私は、この世界にいた。


というか、この世界にいるほうがはるかにマシだった。


数千年の歴史の中で、私は事実上の生き証人だ。


それからさまざまな世界のあらゆる歴史の中を歩いた結果


このドライアドでふつうに隠れるように生活した


人間に狙われたこともあるので、ふつうに逃げ隠れの日々が続いた


ふつうという言葉が妙にふつうではないのは気のせいにしてもらいたい


ただ、そんな隠居のような生活を続けていた


そんなある日


一人の人間に出会った


その女は・・・不思議な人間だった


優しい声をもった人間・・で、女


そして、未来を予言できた女


小さな子供と、そしてさらに小さな子供を連れてきた


それが、最初の出会い


まだ、この国が・・・平穏だった


時代の話だ・・。




 

                   ***


ギルドの受付のはずが、なぜか、そこにいた


「あ・・アウロラはん!?」


すると、にっこりと陽気に笑うアウロラ


「どーも、みなさん。ご機嫌麗しゅう。月の光がぜんぜん、出ていないですが

 どうです。元気に仕事をしていますかー。」


隣では、頭痛がするのか、額を抑えているジェイド


「「「「「「はっ!?」」」」」


それぞれが、顔を見合わせる


なに、この空気が壊れるような・・妙な雰囲気が。


そうだ、クラッシャーだ。クラッシャー


すると、面々の様子におかしいと感じたアウロラが


「あれ・・おかしいな。いいこといったのに。

 人間、そういうのって喜ぶと思ったのにな」


ポリポリっと頬をかいている


隣では・・どこか遠い眼をしているジェイドがいる


「あのな。アウロラ・・この空気でこれいうか。」


「あ・・・」


アウロラが見ると、旬たちは、茫然としている


「な・・だ、誰なのこの人」


「なんか、こう・・表現しづらいな、俺・・なんか引くぞ、引く」


千里とカズラは、そのクラッシャーぶりになんか、いろんな意味で引いている


「この人は、ギルドの受付のアウロラ・ターミガンさんだよ・・

 でも・・俺、今混乱中だよ」


「そ、そうッスね。新人と聞いたッスけど・・この状況からして

 ・・・自分もわからないッス」


「う、うちも」


(アニマモ・・ゼッサン、コンランチュウ。)


旬すらすでに混乱している


「あー、一応こんな奴だが、番人と、館長である自分・・そして、最後の解除者が

 こいつだ」


どういうことだ?


アウロラさんが解除者・・!?


ますます混乱している旬たちを見て


アウロラに・・。


「ほら、お前の常識でこいつらが混乱しているぞ・・まったく」


「へへっ。」


とぼけた様子で笑うのをみてジェイドはますます頭がいたくなる


「笑いごとでもない・・。こいつが、解除者なんて世も末だ・・。」


すでに、認めたくない・・表情だ。


軽く、信じられない・・という感じだね


すると・・


「アウロラ・・・?」


すると・・エミルが茫然としているのだ


それをみたアウロラは、ニコっと笑った


「久しぶりだね。エミル。少しみないうちに大きくなって。

 ・・・ずいぶん、懐かしい。最近、仕事ばっかりで会えなかったね。

 元気、していた?」


その言葉にそれぞれがエミルに視線がいく


「エ・・エミル君の知り合いなの!?」


「ええ。昔からの知り合いです・・その・・なんていえばいいか

 言葉・・見つかりません」


すると・・エミルは・・少しだけ茫然としていたが


やがて・・瞳をパチパチとして


「でも、・・・びっくりです。人間になった・・ですか」


人間・・?


旬は、勢いよくアウロラを見た


アウロラは平然とヘラヘラっと笑っている


「ど、どういうこと?」


すると、ジェイドはフゥっとため息を吐き


「こういうことだ。あんまり、信じないと思うが

 こいつは番人よりものすごく長生きな奴で人外だ。

 年齢は不明だが力本物だ。だからこそ、厄介な存在だ。」


ジェイドが頭が痛そうに話す


「そんなに頭痛そうにしないでくださいよ。

 というか、失礼しちゃう」


頬をふくらませているが、なんていうか・・旬たちは頭が追い付いていかないのだ


「なんで・・・ここに来たのです?」


そんな旬たちの代わりに・・エミルが問いかける


すると、空を見上げて・・旬たちを見据えるように笑む


「邪悪な気配が一ヵ所に固まったのを感じた。にお願いして

 ここに来た・・案の定・・最悪な状況だと気づいていたの。」


「この赤い王宮から感じるんか?あんさんは」


ラミアが問いかけるとこくりっとうなずく


「・・・それより、お前の正体なんだ?」


カズラが射抜くようにアウロラに対して威嚇する


「か・・カズラ?」


「お前・・・敵か味方か!?」


カズラの言葉に・・千里すら警戒している


「おや、召喚士でも気づきません?」


「「へっ!?」」


その言葉にカズラと千里は目が点になる


「な!?」


旬は・・ジッと見つめた


何だろう・・この姿・・。


(ゴシュジン・・?)


巨大な・・マナが見える


今・・・一瞬、姿が・・何かと重なった


琥珀の瞳の奥の奥に・・黄金のような瞳が見えた


「・・・アウロラさん・・まさか、あなたは・・・。」


アウロラはニコっと笑う


「そうだよ。旬君。君は気づいたようだね。さすが魔法を極めた者だよ」


旬は、バッとアウロラを見た


せ、戦慄したよ・・!


ま、まさか・・こんな正体だったとは・・。

旬は絶句している


「し・・旬、どういうことや、なんかわかったんか」


「し、旬?どうしたッスか?なんか、汗が出ているッスよ!?」


いやいや、信じられないけど


この人は・・まさか・・・!


「旬も気づいてたの?」


エミル君の言葉に・・旬はうなずく


「ああ・・それも、驚く方向に・・。」


なんか、汗がでる・・いや、冷や汗か!?


ダラダラっと流れるのだ・・冷や汗が


「・・・アウロラさんは・・・召喚獣かもしれない。

 それも、高位の召喚獣だ・・・!」


旬の言葉に、面々は・・・


「「「ハッ!?」」」


勢いよく驚愕の眼になった


「嘘だ。」


千里は召喚士なのに、信じられないという顔つきなる


「嘘や」


ラミアはラミアで、開いた口が塞がらない


「嘘ッス」


ウッズは、驚愕から、とにかく嘘だと否定する


(ウソダ。オマエ・・ヒトノケハイシカシナイゾ!?)


どうやら、匂いを嗅いだ様子だ・・しかし、アニマの見解では


獣の臭いはしないようだ


それぞれの言い分にアウロラは・・クスっと笑っている


喰えないね・・なんか、意味深に笑われると・・。


「そりゃ、人間に化けた方面でも工夫しているし。

 ・・それに、おや・・神獣”アニマ”さまではないか。

 久しいね」


アニマの目線にあわせて話をするアウロラ


(・・・?)


「アニマ、知り合い?」


「アニマ君、知り合いなのですか?アウロラと。」


すると、フルフルっと首を横に振るアニマ


(イヤ、アニマハオマエヲシラナイゾ?)


すると、オヤっと声をだして


アニマの瞳に自分の瞳を映す


「忘れているみたいだよ・・私の瞳・・よく見て。」


アニマに見せるその眼をみて


雷を思わせるするどい・・琥珀の瞳


よく見れば・・見るほど・・黄金の瞳のようにも見える


アニマは何か、思い出そうとする


その・・瞳・・。


(オマエ・・ソノヒトミ・・ドコカデ・・。)


アニマはその見える瞳をジロっと眺めた


遠い昔・・だ


ニルと過ごしたすこしの期間の中で・・出会った獣


その時は・・まだ獣だった。


(オマエ・・・モシヤ、サンダバードか!?

 マダ・・イキテイタノカ!?オマエ!!)


その・・瞳の奥に見える・・・雷・・。


「ご名答。私はサンダバード!」


「サンダバード!?」


すると、幻覚の中で見えたのだ・・美しい黄金の翼をもった獣が・・。


「でも、サンダバードといえば・・。」


「シュリさんも・・・!」


召喚獣村にいた・・あのサンダバードと同じようだ


だけども・・アウロラは嫌そうな顔をして


「あんな若い獣と一緒にしないで・・私は、そいつよりも遥かに位が高いし

 それに、この黄金の翼をもった・・いわば、サンダバードのなかでも

 亜種だからね。」


すると・・千里は、亜種という言葉を聞いて


「あ、亜種・・聞いたことがある。突然変異により起きることだよね?」


千里の言葉にこくりっとうなずく


「そういうこと。昔、神様が私を造り出すことができたいわば・・・

 サンダバードの中でも、かなり貴重というところかな」


き、貴重!?


なんか、聞いたことのない言葉を聞いた気分だ


「な・・なんでそんな・・すごいのに、人間の世界にいるんか!?」


「そ、そうッスよ!ね、狙われッスよ!」


ラミアがおそるおそるっと聞くと・・そこには、どこか・・遠くを見つめたアウロラ

の姿が見える


「・・人間の世界が好きだからだよ。だから、この国にいるし

 この国の為に生きていく・・私にもやはり、”約束”があるから」


アウロラの言葉に・・エミルはハッとする


「アウロラ・・・あの約束を忘れていないだね・・・・。」


少しだけ寂しそう笑うアウロラはそのまま門を見る


「さぁってと、解除しますかねー。ジェイド殿もお手伝いよろしお願い致しますぞー!」


先ほど違い、いつものどこか呆けたアウロラが門の前へと立ちふさがる


ジェイドはため息を吐く


「お前・・変わり身の激しさはついていけないな」


「そんなの、私は私ですよ・・ギェイド殿」


「ギェイドじゃない。ジェイドだ。もう少し、人間の言葉を勉強しろ

 いくぞ・・!」


「ええ。そうします・・よっと」


その言葉で同時に陣が広がる


アウロラとジェイドが展開した陣だ


「すごい・・!」


その途端・・・一気に解除を始める二人


しかし、門はパリパリっと音をたて威嚇をする


すると、ジェイドの手から時計が現れる


その途端、時計が淡く光をはじめる


すると、カチカチカチっと音を鳴るのだ


それと伴い、アウロラが前に出る


「いきますかなぁ・・・ええぃ!」


アウロラが、手を広げて・・。


「汝よ、その力をもって開放せよ」


アウロラは・・・そのまま、術を展開する


「アンロック!」


門のパリパリがその解除呪文により・・パリーンと音が鳴る


すると・・空間に裂け目が現れる


しかし・・すぐ閉じようとするとすると


淡い光をもった時計をジェイドは、その時計を空間に押し込めたのだ


その途端・・・・・・ピタっと音を止めて


門の向こうからは・・空間の裂け目がでている。


「・・裂け目だ・・!」


その言葉と同時に・・アウロラとジェイドが振り向く


「さぁ、開きましたよ。」


「ああ。開いたぞ。旬・・今のうちだ。

 この時計は、一定の時を緩くした

 行くなら今だ」


ジェイドの言葉に面々はともにうなずく


「いくよ」


コクリっとうなずき・・旬たちは、その裂け目へと入っていったのだった・・。

次回、旬たちは空間の裂け目の向こう側へ!

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