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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第1章 ~少年、異世界に渡る~
4/485

少年、幻の世界

幻想的な世界・・。

まぁ、とりあいず、少年の世界観を思い出してくれるとうれしいものです。

では、どうぞ。

その世界は儚くて美しい

儚い世界だからこそ、童話に出てくるような風景だ。

そう自分の目を疑うくらい

素晴らしい世界だった

だけども、今の俺には、何となくこれから起きることが

自分だけ・・知っていたような気がする

何故か、分からなくなるほど・・ね。




                    ***********



「すごい世界だな・・。」



俺は感嘆した


鳥はギャァギャァっと鳴き、自由に飛ぶその姿

その鳥の色は、なんと真っ赤な色をしている

背景には七色の虹があって。

とてもじゃないが現実の世界とは思えない程

幻想的な雰囲気を出している


その美しさに旬は茫然と眺めていた

自分がいた世界には無い世界

それは、旬にとって

驚く以上の・・・世界だったのだ。



「ガウガウ」


下からは、ジンが俺を呼ぶ声がする

あまりにも俺が遅すぎるのか

声が聞こえる。


どうやら心配しているようだ


「おっと、どうやら少し時間をかけすぎたみたいだね」


果物を落としてからかなり時間をかけたようだし

心配させてしまったようだ


「・・・名残・・惜しいな」


もう少し、この世界を眺めていたいけど

ジンも心配している

とにかく、下に降りないと・・。・・・。


下を見る

あまりの高さに目が眩みそうだ

登る時も十分怖いが

はっきり言おう

降りるときの方が一番怖い

それだけは断然しておこうと思う


この高さで降りるとなると恐怖が人一倍ある

だけど・・降りないといつまでもそのままだ


「ええぃ、見るなよ。俺。見るな、見るな」


必死に自分に暗示をかけながら順序よく降りていく

下から下に降りてくると

ようやく一匹の狼の姿を小さいながら見える

それがいけなかったのか

ズルっと、足がすべり

木から落下したのだ


「うわぁぁ」

「ガウ!?」



ジンも慌てている

いきなり旬が落ちてきた

俺は何か捕めるものがないか探すと

しかし、あるのは木しかない!

俺は、小さい身体を守るように

魔法を使う


「木よ、俺を守れ!!」

「ヴッド!!」


その途端、木の弦が旬の手に絡みつくように伸びてきて

旬を衝撃から守りそして優しく下ろしてくれる


「た、たすかった」


ホッとしていると

いきなり、ドンっと音を立てて


「ガウガウ」


ジンが俺に怒鳴るように、タックルしてくる


「ぐっ。」


旬は思わずその衝撃に後ろに下がる、尚、ジンのタックルは続く


「ごめんよ、気をつけていたけど・・あははっ」


笑ってごまかしているとジンはそれを見てイラっと来たのか


「ガウ!!」


どうやらジンを怒らせたようだ

旬の頭にめがけてカブっと音を立てる


「いて、いてぇぇ」


ジンは俺の頭にかみついてくる

なんという乱暴な狼だ

まぁ、仕方がないけど

俺が悪かったし

シュンっと落ち込んでいると

その姿をみたジンは、俺に怒鳴るように唸る



「ガウ、ガウガウガオ」



二度と危ないことをするな、心配したんだからな


声が聞こえてくる

その声にどこまでも乱暴で

そして優しい狼だ

俺はおもわずグズっと涙目になる


「ありがとな。ジン」

「がう」


フンっとそっぽを向いて

果物を背中に器用に置き

さっさと歩くジン


その時、俺は嬉しくなった

心配してくれる人がいるだけで

俺は、美しい世界の次に

やさしい動物に感動したのだった


                 ********


その日は、甘い果物が俺の夕食になった

もちろん、俺たちが採ったのはそれだけじゃないけど

とにかく、魚は焼いて、果物しかないけど

俺にとって御馳走だった

今日も、普通に一日が過ぎるばかりだと思った

おれの発言をするまではな・・。


「なぁ、ジン」

 (なんだ)


一瞬、幻聴だと思った


「・・ジンの声が・・。」

(お前の魔力がここ数日で大幅に上がったからな)

「それで、お前の声が頭に響くということか」

(そうだ。)


それはうれしいけど

レベルでも上がったのか。

そのレベルが上がる音がないのが悲しいが


いやいや、俺はそんなの目指していないからね!!


そう言い聞かせる旬


まぁ、それはいいとして

気になっていたことを聞くことにした


「なぁ、森の向こうには何があるの?」


(知りたいのか?)


ジンは俺に聞くと


「ああ、もちろん」


俺は、知りたかった

あの光景を見た後だからか

森のむこうには何があるのか

ジンは、魚を一口、パクリっと食べると


(森の向こうには主がいるのだ。)


「主?」


(そうだ。)


主とは驚く発言だよな

そういえば、ジン以外の狼は見たことが無い


「なぁ、ジン。俺ここに結構いるけど、見たことがないだけどな」


(何を?)


「お前以外の狼は見たことがないけど・・」


「・・・。」


ジンは黙った

どうしたんだ・・?

急に黙るなんて・・。

その途端、ジンは喋る


「ガウガウガ・・ガウ」


何かをつぶやいたままジンは黙る

その呟いた言葉、俺は分かったんだ。


     

  (我は、追放された身だから・・。)



追放された身・・?

どういうことだ?

最初に出会った時も狼はジン、一匹だけだった

それが追放とどういう関係か分からない

もしかしたら、俺がここに来る前に

何かあったのかもしれないな。

一体何が・・・


その時、ザワザワと何かが駆け巡る音がした

ジンは急に、火を消し始めた


「な・・何をするんだ!!」


泥で火を消す

あたりは暗闇と静寂に支配される


「な・・何なの」


ジンはいきなり旬を見て


(くる・・。)


「え・・。」


グルルルル~っとお腹の音ではない何かの声だ

そう、これは、獣の唸り声だ

それも一人じゃない多数の声


「な、何がいるんだ・・。」


(ついにきたか)


ジンは悟ったかのようにしている

俺はかなり困った

いきなり、飯食っているとなんか知らないうちに目をつけられ

おまけに、複数の獣の視線に本気で困っている



その困惑共にジンは真剣な目で俺をみて


(お前が出逢う前の我に何があったか)



「いや、知りたいような・・でも、今は説明する時間ないよね」


そう、その通り

今は、説明している時間は無い

なぜなら、獣の視線が俺を喰い殺す視線だからだ

いやぁ~俺の肉って美味しくないよと言いたいくらいだ

伝わること以前に視線が痛い。


だけど、今、そんなことしている場合じゃない

ジンの方はシリアスすぎる

俺の心情は、コメディーでいたいけど

そうはなりそうもない


事態は俺が思うような展開ではない

ウウッ~

獣のうなり声はすでに俺たちを襲う気満々だ

最悪だ・・。

ジンはそれに気づいたのか焦って


(とりあいず、逃げるぞ)


「逃げるってどこに!!」


どこに逃げる気なんだよ!?

逃げる場所なんて何処にも無いのに


(とにかく、我の背中に乗れ)


「え・・あ、はい」


もう、答えに否定も肯定もない

コメディーなわけでもない

獣の視線から逃れるためには逃げるしかない

俺ははっきり言って逃げたい

殺気の視線はこのメンタル面弱い俺には無理だ


ジンの広い背中に乗る

意外にフカフカで気持ちがいい


(行くぞ!!)


もうスピードでかけていくジン

そのスピードは車以上だ

他の獣を押しのけて

ジンは走る

それはどこまでも早くて

どこまでも流れてなりゆき任せだ。

そして、迫る何かに俺は何かを感じた


それは、新たなる始まりだったんだ・・。


はい、4話目更新しました。

少しずつ50話まで更新を続けられるように頑張ります。

応援よろしくお願いしますね。

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