少年、カズラの剣
今回はカズラ君がでしゃばります。
さぁ、どうなるのか
「よっ。久しぶりだな。旬、元気にしていたかー?」
陽気な声で笑う
その姿は・・やはり、カズラだと分かってしまう
つ、疲れる・・色んな意味で
「か・・カズラ・・今までどこにいたんだよ!!
というか、なぜここに!!」
「そうだよ、どこにいたんだ!!」
旬と千里の声・・その二人の剣幕にカズラは頬をポリポリっとかき
「うわっ、怖い、怖いって・・まぁ、ちょーっと地下の下の下の下の下
まぁ・・気付けば最下層?」
ペロっと悪びれるカズラに、ラミアはため息を吐いた
「・・・・・アホやないか?普通、最下層にいってそんなに平気な顔を
しているし、しかもあんさん、無傷や」
(ムキズ、ムキズー。)
ラミアが容赦なく切り捨てる
アニマは、無傷っと連呼している
「本当にアホだね。僕がやめとけと言ったのに
聞かずに今ごろ?遅いし」
それぞれがカズラをアホと切り捨てる
千里に至っては悪意が軽く含んでいる
「な・・何者なんッス・・あの人は?」
ウッズはカズラの存在を知らないのかラミア達に聞く
「ああ。カズラはんや・・旬の友人や」
「そうそう、半年前からの友人だよ」
千里が半年前からと強調する
「は・・半年前からッスか!」
「まぁね・・でも、カズラ君は強いよ。あほだけど」
「強いわな・・アホやけど」
「あ・・アホッスか?」
フフっとラミア達が笑うのを見て
ウッズは困惑する
突然、現れた人物をアホ呼ばれできる千里達を観て
驚くことが連続なのだ
「アホアホと聞こえるぞ・・ったく、人を中傷しやがって・・」
ケッと舌を出すカズラ
呆れる旬
あいからずけなされているね・・。
まぁ、気持ちは分かる
危機的な状況なのになぜか、千里を一人残して
剣探しに行くし
そして、いきなり現れる
そりゃ、けなされるよ・・
俺だってけなしたいくらいだよまったく
「・・まぁ、それはいいんだけど。どうして・・」
軽くスルーした旬にさりげなく困った顔をするカズラ
「さらりと流したな・・旬。
まぁ、いいけどさ・・どうして?とか聞くか?」
「えっ・・」
すると、狐のように口元をニッと釣り上げ
「目の前の敵の前で油断していると
・・・喰われるぞ?」
そういってカズラはクッと笑って
旬に迫る番人を蹴り飛ばした
「け・・蹴り飛ばした!?」
それも足で。
驚愕するよ
足で蹴り飛ばせるなんて・・本当に常識逸脱しているよ・・!
カズラは笑う
「ははっ。俺の属性、忘れては困るわけよ。
俺はこう見ても、”闇””無”・・旬たちと
正反対な属性の持ち主なわけ。普通じゃないんだよ
・・・だから、触れることができる。」
カズラが蹴りあげたことで後ろへと下がる
「がぁぁぁ」
痛みがあるのかもだえる
痛みがあるのか・・というか、ダメージを与えることができる
つまり、カズラは、正反対な属性を持っている
なんだか、カズラが・・・少し、勇者に見えてしまったのは
気のせいではないだろう
「・・力を貸して?カズラ」
すると・・旬に笑って
「当たり前だ。さぁ、いっちょうハデにいきますかな」
そういってカズラはニッと笑う
さすが頼もしい
普段は軽薄でどうしようもないけど
こういう時はたのもしい!!
そして、目の前の黒い塊・・番人を見据える
「・・・旬は、暴走しているこの黒い塊をはがしたいだろ?
・・なら、俺の力を見せてやるよ。」
剣を持ち・・それは、もう・・斬る気満々だ
「ええ・・倒す気?」
「倒す?そんなヤワなことはしないぜ?
俺は俺なりに戦う・・旬、そんな顔をするなよ」
そこには、なぜか自信満々なカズラが見える
「・・・なんか、自信満々だね。カズラ。」
呆れる旬
短い付き合いだけど・・あいからずだね・・。
破天荒さはないよ・・いまどき。
「当たり前だろ?この百戦錬磨カズラ様を見ろ!
強さは我にあり・・って、旬。」
「・・・。」
さすがに、面倒だ
こういうの、ナルシスト?ってやつ
旬はしらけた顔になる
「・・・そんなしらけた顔で見るなよ
というか、お願いだから俺の剣をみてください」
礼儀正しくなっているし
フッと旬も笑う
「いきなり礼儀正しくなってあいからずだね。
・・いいよ、勝とう。そして、終わらせよう」
「・・・へへっ。そうこなくちゃな」
姿を変えてもやはりカズラはカズラだ。
それに少しだけ安心してしまう俺だった
変わらない人がいると・・本当にうれしい
・・・それにしても・・・ん?
旬はカズラが持つ剣に注目する
確か、カズラの剣は折れたはずじゃ・・?
「ところでその剣は?」
旬はその剣についてカズラに聞くと
すると、フハハハっと不気味笑ったのだ
ビクっと震える旬
な・・何!?
「ああ・・これか。ついに俺の力を見せる時がきたのだ!
この精霊の剣で。」
青く光り輝く剣をその黒い塊へと向ける
強い輝きが見える
「・・・!それは」
今までみたことのない洗練された刀
そして、美しさといい
光輝き方が神々しい
なんていうか・・それは・・。
「それは、正反対の性質じゃ・・?」
カズラの性質と反対の力だ
その旬の指摘にうなずくカズラ
「ああ・・力を貸してもらったのさ・・元々こいつは
俺とは正反対の性質を持つがな・・だが、ないよりいい。」
剣を持ち・・・戦闘態勢に入る
「さぁ・・俺の裁きを受けろ!!」
一瞬のうちにカズラが消える
速い・・!
それは目にも止まらない速さだ
「がぁぁぁぁ」
「遅い!」
カズラは剣を持ち
「斬り捨て御免!!」
その言葉を放ち
ニヤリっと笑顔を貼りつけたまま
「乱桜斬り」
すると、桜散るように幻惑が見えた
それを間近でみた旬は・・スロモーションに見える
ガァァァァっと獣の叫びが聞こえる
「もう一丁!!」
しかし、同じ目にあいたくないのか
「ブラックパルス」
パリパリっと電磁波が発生する
カズラは黒い塊・・番人の攻撃を受け流す
「へへっ。そんなの当たるかよ」
カズラは避ける、避ける
それは、幾度もなく溶かす雨となる
「ブラック・レイン!」
またきたのだ
それは服だけではなく
痛みを伴う雨
これ以上、長引きしている場合じゃない
「ウィンドウガード!!」
旬は杖でカズラと自分を守る
「もう何度もくらっている場合じゃないんだよね」
旬も反撃を繰り出す
可憐に避ける旬
「さすが、旬だな。」
カズラも避けながら笑う
「じゃ、俺も・・風のもっとも強い魔法を使うよ」
旬は杖を黒い塊に向ける
「テンペスト!」
とても強い風が雨を抑える
それは暴風よりも強い嵐だ
黒い雨とは比べ物にもないらない・・強い風の魔法だ
やがては、抑えつけられるように・・番人は後ろへと下がっていく
一気に、押される
暴風が襲う
「ガァァァァ」
それでも旬は加減を抑えている
やりすぎると困るからだ
しかし、カズラは違った
目の前に迫っていたのだ
「これで最後な。俺は、旬と違い・・・優しくねーから。
お前の苦しみごと・・俺は、斬る」
カズラは精霊の剣を向ける
キラリっと青白く輝き
その光は失わないうちにカズラは・・。
「力貸せ・・剣よ。」
渾身の一撃を放つ
「精霊の息吹!!」
一気に黒い塊・・番人の鎧を斬ったのだ
そのとたん・・闇がはがれる
本体が・・!!
現れた
そこには・・黒い霧にまとわりつかれ
苦しがる・・番人の姿が見えた
聞こえる
痛い
痛い
助けて・・っと聞こえる
そして・・。
”なぜ、人間は・・消えるのだ”
その言葉が聞こえた
今、助けるから
「旬!」
いまだ
旬は杖が淡く光らせる
それがやがて大きな聖なる光となる
「聖なる力よ、力を貸して」
旬は、杖を勢いよく向ける
それは今までにもない淡く美しい
そして、攻撃魔法でもない
癒しの魔法
力を・・!!
「邪を消せ!!」
それは、大いなる力・・。
「パージ」
そのとたん、
「ガァァァッァ」
闇から解き放つ、淡い聖なる光
倒れる
その時一瞬・・旬は、この番人の過去が走馬灯のように見えた
嬉しそうに生きて笑う人間を見るのが好きだった番人
そして人間を見守るために生まれた存在であることも
外の世界を誰よりも好きで
この国が好きでたまらなくて
だけども・・戦火により
番人の苦悩と悲しみ
すべての責任を押しつけられたのだ
そして、最後は・・狂う姿を
旬は走馬灯のように見えたのだ
「・・旬!」
ハッとした
旬は自分に起きたことを驚く
今のは・・番人の過去・・?
旬は自分でも驚くのだった。
その時、黒い霧が一気に上空へとあがり
やがてはどこかに逃げたのだ
それを見た旬は思わず
「・・・待て!!」
「追うな!!旬!」
カズラが追うなと怒鳴る
「どうして!」
旬がそういうと・・カズラはその黒い霧の先を見当がついているのか
「・・・恐らく、操るやつはとんでもないくらい強い
・・・だから、落ち着け・・それよりも優先事項があるだろうが」
カズラの声に旬はハッとする
「・・そ・・そうだった」
枯渇の原因
そして、もう番人のこと
闇から解き放たれたのに・・。
「・・・泣いているな。」
「・・・うん。」
番人は泣いている
とても、とても
悲しく泣いている
かなり高位な精霊だろう
それも”王”がつく
「人間・・なぜここにきた」
そこには、泣いているけど声を出す
威嚇の声だ
「・・・なぜ?」
旬はコテリっと首を傾ける
「そうだ・・どうして・・!」
旬は・・そうかっと口にだす
「・・・そんなの声が聞こえたという親友の声の為さ
それだけじゃない君のことを心配する精霊・・そして
ヴァロの言葉の為にきたんだ」
そう、旬はその声を聞いても尚
ふさぎこむ精霊王である番人
「・・人間は私たちをおいて・・去っていく
なぜ・・」
「・・俺はその当事者じゃないから分からない
でも、君は・・人間は嫌いじゃなかったはずだ」
走馬灯で見えたのは、きっと真実だと俺は信じている
あんな風に幸せそうな人間の姿を見ていた番人は
きっと・・。
「だけども、お前は違うといえるのか!?
私にすべてを押しつけた人間に・・!!」
それは怨み、恨み
果てしない悲しみの果てに生まれた感情だ
「確かに、人間は醜いことや汚いことをするよ
俺でもそうじゃないいきれない。なぜなら、俺も人間だから」
「やはり・・お前たちは・・」「でも・・。」
旬はそれでも・・っと声を放つ
「君が好きだった人間は・・すべては、きっと、そんな人たちだけじゃな
かった俺はそう信じているよ・・。」
そう信じている
「信じていいのか?」
「・・・さぁ、そうじゃないと悲しいんだよ。俺も。
信じたい人間の一人だから・・さ。」
旬はそのへにゃりっと笑った姿に番人は涙が止まった
そして少しだけ・・笑ったのだ
「・・さてと」
「旬良く言ったな。俺の言葉とられてしまったぜ。」
カズラがニヤリっと笑っていたのだ
「あ、あれカズラが言いたかったの?」
「まぁな。」
「どうだが」
旬は呆れるがカズラは笑うだけだ
「旬ー」
千里たちが旬に近づく声が聞こえた
旬は腕を振って笑みを浮かべたのだった
本来はカズラ君はこーいう性格です。
まぁ、生温かい目でみてくれればうれしいです。
では、次回は枯渇の原因
そして、新たなる事件の始まりです




