少女、限られた選択肢
今回は、選択肢の話
たくさんの無数の選択肢があるはずなのに
リシャーナの答えは?
きれいなピンクの花が咲く楽園
そこには、オイラたちが幸せを夢をみた楽園だった
オイラは覚えてはいないけど
精霊は産まれた後
一人で生きていく者たちが多い
一生人間に関わらないモノ
人間には干渉しないモノもいる
でも、精霊は基本的に人間に好感がある
召喚獣として力を与えることが精霊にとっては選択肢の
一つでしかないこと
オイラたちは、たくさんの選択肢がある
でも、数ある選択肢の中で
オイラが選んだのは
リシャーナ達の傍にいることだった
だって本当に大好きだから
一番、尊敬して
リシャーナに出会った
初めての召喚術だったらしぃ
昼寝をしていたオイラはなぜか召喚されて
こっちの世界にきてしまった
その時、女の子を見たのだ
優しい女の子
透き通るようなアクアマリンの瞳
薄緑色の鮮やかな髪
初めまして猫様、私はリシャーナ
子供のリシャーナがオイラに微笑んで
撫でてくれる
これが出会い
「にゃぁ」
オイラはその日から召喚獣になる選択肢を選んだ
それは、苦難とか恐れとかそんな気持ちなんて抱かないで
たとえ、永久の別れが訪れようと分かっていなくても
もし、分かっていたとしても
オイラはその気持ちを変わることはないと思う
それだけ長くいたのだから
でも長くいただけだけではわからないこともあるにゃぁね
今、思えば
リシャーナは思いつめた瞳の奥には決意があった
オイラはあの日、気づけばよかったのだ
思惑もすべて
オイラもまた何も知らない自分を
後に後悔することなることを知っているのだ
***
リシャーナは走っていくのを眺めたオイラは
すぐにでも追いつくために走り出す
「リシャーナ!!待ってにゃ!!」
オイラは追いかける
リシャーナはものすごい速さで走る
その距離は縮まるどこか遠のくばかりだ
「ええい!!オイラも魔法を使える」
いけにゃ、リーフルは足に風魔法をかける
「ゲファー」
そのとたん、風がリーフルの足へとからみついて
後押してくれるように動く
それより、風がオイラを運んでくれる
これで息乱れなんかおこらない!!
オイラが追いついた時
リシャーナは立ち止まっていた
リシャーナは冷や汗をかいていた
「リシャーナ、だ、大丈夫かにゃ!?」
「・・ええ。」
冷や汗をかいているのは走ったからではない
リシャーナは目の前の惨状に冷や汗を流していたのだ
「リーフル、どうやら思い違いを起こしていたみたい」
そこには村にはあちこち煙で充満していた
「・・・にゃっ!?」
村は異変を感じていた
「どういうことにゃ・・!?」
辺りには召喚獣と召喚士が倒れている
「みんな・・倒れているにゃぁ・・。」
リシャーナはそこから動くことなかった
この最悪の惨状にリシャーナは動けなかった
身体が震えているのかリシャーナの表情が見えない
リーフルはまだ息がある召喚士に声をかける
「おい!!お前!!だ、大丈夫にゃ!?」
そこにはお腹から血を流して
今にも虫の息の召喚士がいた
「り・・ふる・・り・・しゃ・・な」
「お前!!どうしてここで!!なにが」
なんとか立ち上がろうと頑張っている
リーフルはその介助をする
「召喚獣が暴走しているんだ!!リシャーナ様!!」
リシャーナはハッとして
はぁはぁっと荒い息を吐いて
「ぼ・・暴走!?」
リシャーナは顔色を変えた
「ああ・・いきなり暴走を始め、我々の仲間が必死に
押さえつけようとしましたが・・・・何人かの仲間は
ぎ、犠牲に・・!!」
「あなたも休んで・・今、治すわ」
そういいながらリシャーナは回復の魔法を使う
「キュア」
どんどん傷が癒えていく
それでも少年は真剣な顔をして前をみている
もう立ち上がろうとしている召喚士を見て
リシャーナは話す
「すぐには無理よ!?治癒は完璧ではないの!!」
「そうにゃぁ!!休むにゃぁ」
するとふるふると首を横にふって
「行きます。こうしてある間にもまた悲劇は続きます」
「・・・!」
「俺は暴れているあいつらの主です。死ぬことは覚悟の上
そう決まっている未来でいるのだから」
よろよろしながら召喚士は立つ
「いいえ、まだ・・まだ!!」
リシャーナの声をかけるが
召喚士は真剣な瞳でリシャーナを諭す
「いいえ。俺は行きます」
「でも!!」
「リシャーナ様・・あなたはすることがあるでしょう!?」
「・・・!!」
リシャーナは目を丸くする
「どして・・?知っているの?」
すると、こくんっと頷く
「俺は、少しだけ事情は聞いています。
でも、全部は知らないわけじゃない
これはあなた達がおこしたことのキッカケでもあることを」
「・・・。」
リシャーナは黙る
「り、リシャーナ?」
「でも、俺は恨んでいません。
約束・・守れるとよいですね」
その言葉に何も言えないリシャーナ
ただ、その約束を知っている召喚士を驚いているのだ
「・・どうして知っているの?」
そう聞くと
「俺は、エルヴィン様こと尊敬していましたから
あの方の補佐も一時期していたのです。
だから、あの方のことも
あの方自身の願いも知っています」
その言葉でリシャーナはハッとしたのだ
「だけど、今は約束が違えようとしている。
そうでしょう?」
「・・・ええ」
リシャーナは静かに肯定した
それを知って
召喚士はその向こうを見上げる
場所は祭壇だ
「俺は、この暴走はおそらくあの向こうにあると
思っていますリシャーナ様・・お願いします」
その言葉にリシャーナはポッリっと呟く
「・・・いいの?私は何にもできないのに」
「いいえ。あなたはいつも頑張っていました。」
「どうして・・?」
「俺たち召喚士は見ていましたから。
だから、恨むことはないのです」
すると・・リシャーナは下を向いて
表情をかくす
「・・・ごめんね」
「ごめんなさい」
リシャーナは震えている
「謝らないで。あなたの立場になっていたら
俺でもそうします。だって・・これも
仕方ないことだって知っているから」
「・・・だけど、違うわ」
「・・ええ」
「あの日、戻れたらよかったですね。」
「・・・。」
「でも戻れないですよ・・時を進めてしまった」
その言葉にリシャーナは震えていた身体を抱きしめて
その言葉を戒めているようにうなずく
「・・・知っているわ。私が一番」
「・・・ですか。僕は、もう行きますよ
今までありがとうございましたリシャーナ様」
「・・・ごめんね。」
なんなのにゃ?
なんなのにゃ?
まるで今生の別れのようで
「何言っているにゃ!!
この召喚士はオイラも知っている
その召喚獣もオイラは知っている
どうして
「どうして行ってしまうにゃぁ!?」
「・・君もわかるだろう?同じ召喚獣なら」
「わかりたくないにゃぁ!」
どうして死を選ぼうとするだろう
リーフルはどうして人間は理不尽選択を選ぶだろう
とその時分からなかった
選択肢なんてたくさんあるはずなのに
どうして、一つしか選ばないだろう
一つの選択肢が死だなんて
おかしいじゃないかにゃ?
リーフルは後にそう思うのだ
その時はまだ気づかない
だけど、この時の別れもまた
リーフルの苦い思い出の一つとして残るのだ
召喚士はにこっとリーフルの頭を撫でる
「この異変をどうしても守らなければいけないんだ
召喚獣は家族だから・・・行かなければ」
「あ・・。」
家族というその言葉は普通に聞いていれば嬉しい言葉のはず
でも、今日はとても悲しかった
「リーフル・・元気で。もし、生き残れたら
また俺と一緒にあの子と遊んでくれ」
そのまま召喚士がふらふらになりながら去っていくのを
だまって見送ることしかできない
オイラはその後ろ姿を見届けるしかない
あの時と同じ
エルヴィン達が村から去る時も
オイラはまら見送ることしかできない
リーフルはその時の気持ちを忘れることはできなかった
痛みとしてまた残るのだ・・。
召喚士が去ったのを見て
「何もできなかったわ」
リシャーナはポッリっと呟く
「私では運命を変えられないのね」
リシャーナは涙目だった
そしてそこから涙があふれていた
空はリシャーナに呼応されるように雷が鳴る
「リシャーナ」
「どうして私は弱いの。どうして、私は何も言えないの
どうしてよぉぉ」
悔しい、悲しいがリシャーナに押し寄せていた
オイラは黙るしかなかった
リシャーナが何か大きなことに関わっている
「でも決めたのよ・・この時すべて」
リシャーナは涙を拭いて
立ち上がる
「リシャーナ・・?」
オイラはその決心の早さにはついていけなかった
それどころか、迷いを断ち切った
「・・でも、行かないと。あの人がするべきことは
あの人がやるべきこと」
「でも、あいつは行ってしまったにゃぁ・・。」
「命を懸けることは命を捨てることと同じ・・でも
それでも願いの方が強かったの」
それを言いかけるリシャーナは空虚だ
オイラは怖かった
リシャーナの言葉が・・。
「命を懸けることは必要なのかにゃん・・?
それは・・違うにゃんよ」
オイラはやるせない気持ちになったのだ
こんなどこに置いていけばいいかわからない感情
ぐちゃぐちゃでつらい気持ちだけだった
そのオイラの気持ちを聞いてリシャーナはハッとして
リシャーナは自分で声に出して胸に手をやる
そして瞳を閉じる
「・・わかっているわよ。わかっている。私は間違っていた」
そこには強いアクアマリンの瞳が美しく輝く
「!?」
「私は私でやらなけれならないことがある
行きましょう」
「行くってどこににゃ・・?」
「祭壇」
「えっ・・でも、あそこは通常道は開かれていないにゃぁ!!」
あそこは普段儀式に使われる特別な道
そしてもう一つあそこには・・召喚士達の・・。
「いや、今日は開いているみたいよ?」
「なんでわかるにゃぁ?」
「・・なんとなく」
どういうことにゃぁ!?
あそこは、普通の方法じゃ開かない祭壇にゃぁ
そこを開いている?
祭壇のある場所へと目を向けたリシャーナは何かを決意をしたようだ
「・・・これが、罰なのなら受けるわ。
まだ、まだ・・やらないと」
リシャーナは立ち上がって走り出す
「あ、リシャーナ!!」
それを追いかけるオイラ
別れは近づいているのを心のどこかで
オイラは感じ取っていたのかもしれない
でも、それでもオイラは足を止めることはなく
リシャーナを追いける
絶望はもうすぐ近く
リシャーナは何かを決心しました。
これが、別れの話に続きます




