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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章番外編 記憶の欠片の旅② ~希望は光を求め、絶望は闇へと誘われる~
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少女、悪意の芽

ミリカとルークの続きです。


ミリカはそのことを知らずに歩き出す


「ミリカ様?怒っています?」


「怒っているわ・・でも、自分にも怒っているの」


そう自分にも怒っている


もっと、冷静になれなかったのか?

なぜ、強く言ってしまったのか


少し後悔している部分もあったりしている


でもあの場合はああしないといけない気がしたんのだ


「・・・ですよね。」


ルークは感傷的だ


サクサクっと行き場もなく

どこに行くかもわからないまま


森の中を歩いているあたしとルーク


ミリカは立ち止まって


振り返る


「ルーク・・あんたは、嫌だった?」


「いいえ。」


首を横にふり

否定する


「あの村は、あまりにも閉鎖的ね。解放的なところなんてないわ・・・でも、村の人が悪いわけではないわ」


あの村の人達は確かにノエルに対して

酷いことだって言っている


それでもあたしは悪い人達ではないと

心の底ではそう思っている


「というと?」


「悪意の考えを持つ誰かの意思による

 委縮を与えているとあたしは思うの」


「委縮?」


「ええ。誰かが悪意の種をまいている可能性があるの」


「種・・ですか?誰が?」


「誰がって・・誰かよ」


その曖昧な何かに対してルークは


「例えばそれはドレスの母親だったりします?」


そう問うとミリカはうーんっと悩むが


「それはありえるようでありえないわ」


とミリカが即座に否定する


「なんですか・・その根拠なく言うのは」


「何よ。文句あるわけ?」


「い、いやそれは・・ですが、どうしてですか?」


「悪意の芽よ」


「えっ・・。」


ルークはミリカから出た言葉に驚いている


「あたしが今回の出来事は悪意の芽・・つまり

 まだ、悪意が潜在している可能性を考えているのよ」


その何かわからないモノにミリカは警戒している


「可能性・・まさか、ミリカ様」


ルークがハッとするのをミリカはうなずく


「・・多分、芽は少しずつでてきている

 それがドレスの母親だったり他の村人のように

 キッカケによって目覚めさせていると思うわ」


そう、悪意は小さなキッカケで目覚める


そして、種をまいたら


そこから少しずつ


芽がでて


やがて花になる


なんで花を例えるかというと


「悪意は最初は小さいものから始まるのよ」


「なるほど。それで・・?」


「花のように、少しずつ少しずつ悪意という水と肥料を与え続けるすると・・花が満開に開いた時」


「その悪意が大きな災いを引き起こすのよ」


始まりは小さな悪意からだ


それがどんどん抑制がきかないまま

肥大して


やがて収まりがきかなくなると


それは・・暴走する


そして暴走した先がどうなるかミリカは知っている


ミリカの言葉に時が止まったと感じた


静寂が訪れる


ルークが神妙な顔でミリカを見て


「ミリカ様はあの村人達を見てどのへんだと思いましたか?」


「どのへんとは?」


ミリカが聞くと


「あなたが例える・・花はどのへんまで?です」


「見た感じ・・まだ、芽がでて成長を始めている途中ね

 つぼみまでいっていないと思うわ」


「そうですか?俺はつぼみまでいきそうだなぁ・・とか思いましたけど」


「あのままだと悪意にさらされたまま暴走を続けるでしょうね惑わす人間がそこにつけこまなければ・・だけど」


「いるんですか?あの中に?」


「・・わからないわ。だけど、意匠はつくことはできたと思うわよ?」


まだ可能性の段階だ

しかし、警戒しないわけにはいかない


「はっ・・だから、ミリカ様は」


「あたしたちの声なんてキッカケにしかすぎないのよ

 ・・あとは、村の者が特にこの村を強く想う者の声が

 必要なんだと思うわ」


「王族ならばなんでもできると思いますよ?」


確かに、何でもできるとまではいかないけど

ある程度のことは可能してあげられる


それが王族だから


「あたしたちは民の声を聞くわ・・そして、必要であれば改革し、必要であればお金を与えるだけどそのキッカケをつくるのはあたしたちでも繁栄に導くのは民よ」


そう間違えてはだめよ

王族は国を良くしなければならない

国を良くするには王だけの力では無理だ


そう民だ


民による力は個では満たないかもしれない


大勢の力があれば国は変わる

そして、その先の未来だって変えられる


あたしは幼いころそれを見た記憶がある


「・・!!」


「民は強いわよ。あたしたちが思うより遥かに」


ルークはその瞳に誰かを思い出したのか


ミリカを眩しい目で見つめる


「打ち破る何かがあれば必ず新しい風が吹くかもしれない。

 悪意だってきっと」


そう悪意は何か新しい風があれば吹き飛ばせる


あたしはそう信じている


「悪意はそう簡単に打ち破れるわけないですよ・・。」


ルークは下を向く


その顔はどんな顔をしているのかわからない


「ええ・・・わかっている。だけど、希望を持つことは必要なことなのよ」


「希望を持つことが?」


あたしの心は今は希望になるまで絶望だらけだった


色んな噂が聞こえてきたそれが切っ掛けだった


お母さまは王をたぶらかした悪女とか


お母さまはお兄様を継承権を喪失させるために

わざとあの事件を起こしたとか


色んな噂があたしの耳に聞こえた


あたしは奇異を見る目で見られたことある


何度も


何度も悲観した


まるで泥のように下へと下へとすべり落ちていく感覚


下へと下へ落ちていくと闇が深くなる


あたしが生まれた意味なんてあったんだろうかと


絶望ばかり悲観していられない日々の中で


あたしは、ルークに出会った


少しだけ覚ええているのが


ルークが雨に濡れていて


傘を差したあたしはやつの前にいた


泣いていないといいながら泣いていた


ルークがあの日があたしと出会った日ではないといった


あたしはその前のことを知らない


自分の母親は悪い人物ではない


あたしの母親はルークを守れる強さをもった人だと知った


そして、少し希望を持つことにした


希望を持っといて


旬に出会った


お母さまの真実はすべて明かされたわけではない


でも、あの事件はお母さまのせいではない


初めて知った時


心の底から安堵した


あたしは希望を持つことは悪くないとあの時知ったのだ


「あたしは、絶望のままで生きていけないと知っているわ

 そこは薄暗いくらい闇の底を這いずって生きていくより

 そのほうがよいでしょう?」


どんな絶望でも


希望を失わずに今日を生きている


今だって考えなければならないことがたくさんある


このままこの村をそのままにしてはいけない


召喚士たちがなぜ去ったのか


そして、召喚士リシャーナという女性の死


ノエルと深く関わりがあるこの女性の死について

調査が必要みたいだ


報告書では、出血死という報告書が書いてあった


経緯については不明だからその辺の調査も再度必要のようだ


そして、ノエルが協力していたという戦争のこと


何を協力していたのか?というのが一番知りたい


報告書に書いてあった


人工神計画


これがもしかしたら鍵かもしれない


それが一番気になる所だ


だからどうにしかしないと・・。


ミリカが次からの難題に頭を悩まされていると


ルークはフフッと笑って


「あなたも王に向いていますよね」


「まぁ、これでも王族よ。あたしは王位継承権も

 いらないけどあるのよあたしにも」


ふふんっと自慢気になるミリカ


「でも、王には向いていないわよ」


「どうしてですか?」


「あたしにはあの重い責にはたえられないわけではないわ

 でも、あたしには王族としてはるかに王としての適性

 なんてないもの」


「王としての適性がない・・!?」


「ええ。あたしにはね・・それなら、もっと適任者がいるわ

 クロス兄様ですら王にはならないつもりのように」


「オルフェもといジンお兄様、あの方のほうがより王になれると思っているもの」


「逃げた王族なのに?」


そう、オルフェお兄様は逃げた

王族としての責を放棄した


あの事件すら無かったら


お兄様はいたのかしら?


だけど、起こった事件は仕方ないことだった


あれは起こるべく起こった事件の一つだ


防ぐ手立てはあったかもしれない


でも、あの時のあたしたちは


もっと小さくて


力も弱くて


涙を流すことしかできない無力な子供だ


だから、お兄様はそんな無力な自分を変えるために


名を変えて国を出た


王位すら放棄して


でも、あたしはあの時見た


あの時はお兄様がわからなかったけど


本当に兄なのか疑ったけど


でも、見たのよお兄様の強い眼差しを


誰かを守るために命をかけて戦う兄を


そしてその誇りを


「・・・逃げた王族でもその強さと誇りは違うわ。

 お兄様は自分の正義から逃げないで戦い続けた

 旬や仲間を守るために強くありつづけた

 ・・・あなたもその強さを身近で見たでしょ?」


するとルークはふぅっとため息をはいて


「あの方は、俺たちに迷惑をかけないように地位は捨てられましたそして、あの戦いの最中、苦しいはずなのにけしてあの方は逃げませんでした。戦い傷ついても誰の文句を言わないで仲間のために命を懸け続けた」


ルークは知っている

何度も苦しがっても立ち向かい


傷を負っても仲間のために強くなろうと努力している

ジンの姿を眩しくみていたのだ


あの最終決戦でも

傷を負いながらも戦っていた


「そうよ・・お兄様にあってあたしは確信したのよ

 きっとお兄様なら今のクランティア王国を変えられる

 あたしたちはいずれ純血も混血も関係なく

 普通にしていられる日がくる」


「ですね・・不思議なものです。王が獣人であった場合

 獣人同士でも混血は産まれる。そして、獣人と人との

 交わっても純血はうまれるその不思議さが」


「あたしの国は不思議だらけだからなぜ、そんな仕組みでうまれるのか」


「ですね。あなた様が純血であるのと同じように」


その血は特殊な血


ミリカもそう教えられてきた


その血がどう特殊なのかよくわからない所だけど


「不思議よね。普通の人間と同じなのよ

 あたしも見た目はねそれでも生きづらいのよ

 あたしのお姉さまはそう言っていた」


「アリア様ですね?」


あの日、すべてが終わった後

姉様は病床についてしまわれた


ショックなことも多かっただろう


あたしもルークも様子を見に来たが


姉様はずっと苦しまれていた



「ええ。生きづらいって生きていくことに

 その混血がしがみついて離れないと

 その宿命は何かの罰なのか・・と」


ミリカは何も言えなかった

純血の自分が何を言っても


きっと、お姉さまは苦しむ


だからいうことはできなかった


「だけど、こうも話してくれたわ

 あの日、あの事件の後ジンお兄様に会ったと」


「えっ、いつですか?」


「例のニルの絵の事件の後よ」


そう、あの日ジンお兄様はクランティア王国にいたのだ


「ああ・・あの日ですか。いましたからね」


「お兄様は、お姉様にあの日会ったとそうよ

 言ってくれた言葉はまるで魔法だった・・と」


「魔法・・!」


魔法

あたしたちが使う普通の魔法ではなく


魔法の言葉


それは、幸せになるための必要な言葉


「ええ。言葉が魔法って不思議でしょ?

 それでも、姉はそれで救われた」


その次の日


姉様は少しずつ元気になってくれた


今では、公務をまた始められるようにリハビリをしている


少しずつ暴走を抑えられるようになってきて


あたしたちは安心したのを覚えている


「不思議ですねぇ・・言葉って

 やはり、あの方は我々の国にとって必要な人

 そして、”誇り”です」


「そうね。そのためにも理由が必要だわ」


怪訝な顔をするルーク


「理由?」


「ええ。お兄様が戻ってきやするする理由づくり

 必須よ」


「あなたは前向きですねあの方は戻る気はないと言っていたのに」


「ええ。」


知っている


兄は戻る気ないことを


知っているわよ


だから・・!


「でしょ?あたしもそう思うわ。本人は王族なんて戻る気なんて

 ないでしょうけど」


すると下向いて不気味にニィっと音をたて


「必ず連れ戻すわ。ふふっ・・・うふふふふ」


「こわっ。ミリカ様・・でもそれがミリカ様の良いところです

 ・・俺には・・。」


「ルーク?」


「いいえ。元気だしましょうか」


ルークはニコっと笑う


そう元気だしていこう


「さぁ、ノエルを探しましょう?」


「そうですねぇ・・あれ、ミリカ様、ところで」


「何かしら?」


ルークが当たりを見渡す


「ここどこでしょう?」


「・・・どこかしら?」


二人は道なりに歩いていたつもりだったが


気づかずここがどこかわからなくなってしまった


でも、ルークは何かに気づくと


「あ、光が見えますね」


「えっ、ちょっと!!」


走り出したルーク


ミリカは後を追う


どんどん足の速いルークにミリカははぐれないように走る


は、早い!!


あたしの足では追いつかない!!


「ひ・・光・・はぁはぁ」


ミリカはその先にある光に向かって走る


すると・・その先には


「花・・畑?」


そこは、花畑が広がっていた


そこは丘だった


かなりきれいな景色が広がっている


「ルーク?どこかしら?」


「ミリカ様ー!!」


「あ、あんたあんなところに」


ルークは、見晴らしのいい丘の上にいた


ミリカは走る


「はぁはぁ・・あ、あんたはやいわよ!!」


「すみませーん」


あいからず謝り方が雑だ


しかしまぁ


「花畑ですよ?ここ」


「そうねぇ・・ここなんなのかしら?あら?」


「どうしました?」


「丘の下・・なんか、墓があるわ」


「え・・本当ですね・・?」


ルークは下を見ると


花畑の奥に墓地が広がっているのが見えた


「ルーク、行くわよ」


「ええ」


花をかきわけ


二人は墓地へと向かう


そこには、猫が一匹


水やりをしていた


にゃんにゃんっと鳴きながら


「猫が水やりをしているわ?しかも、二足走行・・」


「・・俺、なんだか見覚えがありますよ」


「あ、私も」


二人は慎重に近づくが


「にゃっ!!」


どこからか武器を出して


「おまえら!!どっからきたにゃぁ!!

 おいらをどこのだれだと・・っておまえらわぁぁあ」


「「おひさしぶりです~」」


二人を見て驚愕する


「にゃ・・・にゃややっ、お前らは、ミリカとルクウェアじゃないかにゃ」


「久しぶりね。ケット・シー」


すると、ちっちっちっと指を振って


「オイラは、ケット・シーだけど、その名前で呼ぶのは嫌だにゃ」


「そうだったわね、久しぶりね。リーフル」


くるんっと一回転して


「にゃん」


と笑うケット・シー


リーフルの登場だった

リーフルの登場

実は、リーフルも事件の目撃者でもあります。

しかし、リーフルもまた・・。

そして、次回は明日、EX:魔法の言葉を更新します。

よろしくお願いしますね!!

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