少女、だれもいない村
冒涜はとある少年の過去のお話です
燃えたとある村の話
ドサっと音をたて
摘んだ山菜の束が落ちる音が聞こえる
それも茫然としている自分がいた
その日はいつものようでいつもではない非日常
その日はいつものように山菜を取って
そして今日は珍しく大量に魚が釣れたから
ホカホカの焼き魚を食べようと考えていると
お腹の音がグルルルっと鳴く音が響いた
楽しみだ
きっとアイツも喜んでくれるだろう
隠れ家に帰る道のりの中・・
ふと気になって
後ろを振り返ったら
炎が見えた
なんだ・・?何が起こっている
少年はもっと近くで見るために
見晴らしのよい丘まで走った
そこで見えたのは
「村が・・燃えている」
そこには、始まりと終わり
ある少年の日常が崩れ去る
運命の日だった
****
「・・俺、嫌いなんですよね」
ルークは今まで見せたことのない
感情のない瞳で村人に槍を向けている
「ひっ・・いきなりなんだ!!」
ニコっと笑うルーク
「俺、今の言葉気になるですよね・・あんたたち
本当にノエルが人を殺したのか?と聞きたいです」
ヒュッと何か音がした
「ひっ・・!!」
ミリカはいつもとは違うルークに驚いている
「る、ルーク?あ、あんたなにを・・!?」
声をかけるしかし・・ルークはミリカの静止の声を聞かぬまま
「ヒッ」
喉元に突き立て
「正直に答えろ・・お前たちが視たこと」
無の表情で問いかける
その瞳は何にもない
むしろ、恐怖を
「あ・・ああ、見たさ!!ノエルを庇って亡くなっている
リシャーナ様を!!」
「その瞬間を見たのか?」
鋭い眼でルークが問いかける
村人は委縮しながら頬をかき
「・・いや・・その・・」
「それはなぁ?」
互いの顔を見合わせながら困った顔をする
「俺たちがみたのは・・リシャーナ様に折り重なっていた二人だリシャーナ様は血を流して倒れていたノエルは意識を失っていた」
村人たちの証言はすべてが終わった後の出来事のようだ
「ただ、ほかにもいたんだよ。その場を見ていた人物たちが」
「そこには、だれがいたの?」
「リシャーナ様と、ノエル・・そして、異世人である二人と猫の王様だ」
異世界人に猫の王様・・!?
「あの異世界人?もしかして、カズラさんと千里さんですか?」
「そして、猫の王様・・ケット・シー!?」
「・・!!そうだ、あんたらなぜ二人と一匹のことを知っている!?いや、異世界人の行方だあいつらは今どこにいる!?」
「残念ながらこの世界にはもういないのよ
・・帰ってしまったから」
そう、あの二人は帰った
とある出来事により帰ることができたのだ
だから、この世界にはもはやいない
「か、帰った!?」
「そうよ。」
ミリカがうなずく
「なんてことだ・・あんたらなんであいつらを帰してしまったんだ!!」
「・・・どういうことです?」
「巨大なあいつらの力さえあればこの村はたちまちもっと・・もっと
裕福になる予定だったんだ・・!!」
ミリカはこいつら・・っとギリっと唇をかみしめる
ルークはピキっと青筋をたてている
落ち着いて
こいつらに必要な情報を喋らせる必要がある
確か、報告書でも書いてあったことだ
リシャーナの死には、謎が多い
目撃者は村人だけど
もっとも近い目撃者は、ノエル、千里さん、カズラ・・そして
ケット・シーだ。
あたしも詳しいことはわからない
当時のことをよく知る人物にはいるにはいる
だけど、千里さんとカズラさんについては二人とも元々
この世界の住民ではない
むしろ、異世界人だ
だから、あの日何があったのかわからない
ただ、分かる人物はいる・・それはノエルだ
しかし
けど今のノエルは・・・。
「ああ。 リシャーナを殺したんだ!!ノエルが!!」
「そうだ!!」
「それはあなたたちもですね・・だけど、あなたたちは
決定的な状況は見ていない・・と言っていました」
「いや・・それは」
「そうよ。それに真実を知るのはほかの人物ということね?」
「答えろ」
「ひぃ、そ、そうですぅ」
「それなら、理由になっていないのでは?」
「だが、村長は言っていた!!ノエルがリシャーナを殺したと」
「村長?・・そういえば、その村長は確か」
「ああ、半年前にすでに亡くなっていると報告されているわね」
ミリカは思い出す
報告書の追加で書かれた続き
そのリシャーナの死
とある村長の死
「村長に関してもそれもノエルのせいだ」
ミリカが溜息を吐く
いいえ・・村長が亡くなったのは
それは自業自得だった
報告書ではそう書いてあった
まぁ、その報告書を提出した人物が
実はラミアであり
ラミアもその時の状況からしての結論だったから
何もノエルのせいでもないのだ
「根拠のない理由づけだけで?」
「そ・・それは、でも」
「そ・・それは・・でも、あいつのせいで
ここにはベテランがいなくなったのは事実だ」
「ほぉ?それはどうしてですか?」
ルークが問いかけると
「リシャーナ様はこの村では絶対的な存在でありそして
われらの誇りでもあったもちろん、他の召喚士たちもだ
だから・・ノエルのせいだ誇りがいなくなった途端
召喚士たちは見限るように村を去ったんだ」
「何があったの?」
「大戦だ。俺たちは戦に協力していたんだ
ある時、ノエルは協力しなくなった
そう、ほかの召喚士たちもだ・・!!」
8年前の大戦・・あれに、ノエルは協力していたというの!?
一体何のために・・?
「・・・!!」
「・・あいつが協力しないから俺たちは負けた!!
そして、たくさんの犠牲を出して召喚士村は廃れたんだ」
大戦協力していた・・?
この村は一体何に協力していたというの?
ノエルが何かに協力していたという新事実
そしてそれが原因で村民との確執であるということ
その理由をミリカが聞く前にルークはギラり
「あなた達は自分達が正しいから・・ノエルを傷つけ
たかったですか?」
ルークは問いかける
「それは・・よそ者のお前に何がわかる」
それぞれの怒りにふれルークは静かに笑う
でも・・その目は怒りだった
「ええ。どうせよそ者ですよ?それに、俺、忘れられないですわ
この状況は俺のいた村の状況によく似ている・・!」
初めて見せるルークの怒り
ミリカは息を吞む
「ひっ・・!!」
「何にもその状況すら見ていないものが勝手な憶測をつけて
勝手に憎悪して勝手に人のせいにできるそのすべての
醜態をねぇ・・」
ルークはニヤリっと笑う
今まで別の村人に突き立ていた槍を元に戻す
村人は安堵した顔をする
「ば・・化け物」
その一言を言ったのは
ドレスの母親だった
「お、お母さん!!」
しかし、ルークは何を思ったのか
今度はドレスの母親の喉元に突きつけられる
「あ・・あああ」
「その目くりむいてみせましょうか。
口も・・切り裂きましょうか?」
槍の先がギラりっと光る
「ひぃぃぃ」
ドレスの母親は恐怖で転げ落ちる
「あなたは、俺の友達をこんな風に言う人間なんざいない方がよいです大戦に協力していようがどうだろうが・・どうでもよいですよ」
「ちょ・・ルーク」「止めないでくださいミリカ様」
ミリカ
「俺、嫌いなんですよ・・誇りのある人物の死により
その死を誰かのせいで押し付けたい人間の性が
似ているですよ・・吐き気がする・・!!」
ルークは自分の髪をグシャっと崩して
どうやらルークは昔を思い出しているようだった
ドレスの母親や村人を見て
何かを思い出している
「そうだ・・いないほうがよいでしょうね」
その姿にドレスは村民の前に立ちふさがる
「やめて!!そんな人でも私のお母さんなの!!」
ドレスは涙目でルークを睨む
ルークは凍えるような視線で
「・・誰かの悪口しか言えない人をお前の母親だといえるのか?」
ビクっと震える肩
「それは・・でも・・それでもお母さんなの私の!!
お願い!!」
震える声でルークに懇願する
手は震えているそして涙目だ
勇気をふりしぼっているその姿
「・・ふぅ」
ミリカは息を整える
「そこまでにしなさい」
ミリカはルークを静止する
「ミリカ様・・ですが」
「・・・あたしの命令がきけないというの?
やめなさい」
その強い命令にルークは再度聞く
「どうしてです?」
「理由なんていくらでもあるわ。私たちは非公式でここにきている問題なんか起こすべきではないわ」
ミリカは冷静になるようにルークの目を見て話す
「ルーク、あんたやりすぎよ・・気持ちわかるわ」
「ですけど」
「あたしたちはここで言い争いをしにきたのではないの
本来の目的はそうじゃないでしょ?」
「・・・ちょっと感情的になりました」
ルークは武器をなおす
村人はホッっとする
しかし、震える人物もいる
その人物はルークとミリカを畏怖しながら
「わかって・・わかっているさ・・でも・・でも
ここにはもはや誰も召喚士にはなりたがらない
わかるかい!?」
「・・・。」
ミリカはその村民を見ながら
ミリカは首を横に振る
「でも、だからって誰かに辛く当たることは違うと思うわ」
あたしはそれは違うというしかできない
「ここに何があったのかあたしはわからないわ
でも、ここには誰もいない村だとあたしは思うの」
「お姉さんはどうして・・そう思うの?
ここ誰かいるじゃないですか?」
「そうだそうだ俺たちがいるじゃないか!!?」
ミリカは静観するのだ
ここにはもう彼らの信じているモノはないことを
知っている
「いいえ。ここには、召喚士がいない。あなた達の未来にいるはずの
人々がいない。幸福を運んでくれる人達はもういないのよ」
「・・・!!」
そう、この村はもはや召喚士はいないのだ
富や名誉を与えてくれた召喚士はいない
「いいやいる!!もしかしたらもしかしたら可能ではないのか!?ドレスが召喚士になれば・・また!!」
たしかにこの後を継ぐようなドレスたちがいる
それでもここにはもはや召喚士は・・
「ベテランの不在これが召喚士になりたくてもなれない
本当の理由ね?」
「・・あ・・。」
村人達はハッっとした
気まずそうな顔をした村人を見て
ミリカは確信した
そう、ベテランがいない
この意味はあたしでもわかる。
「ベテラン召喚士がいないことがあなた達にとってどれほどの損害なのかあたしにはわかりかねる部分があるわ。でも、この村にはこのままだと未来がない」
「・・・それは・・ノエルが裏切ったから」
「いいえ・・この村になぜ召喚士たちが帰ってこないのか
考えたことすらあったはずよ?」
「そ、それは・・ノエルがいるからだ」
すべてがノエルのせいだという村人に
ルークは青筋をたてていた
ミリカはルークを制し
「・・それならば、ノエルを追い出せばここに人が帰ってくるといえるの?」
あたしは強く問いかける
「そ・・そうだ」「なら」
「それなら、ノエルがここにいなかった時間
いくらでもそれができたはず」
そう、ノエルが旅立っていった時にあったはずだ
たった半年でもそれができる時間もあったはずだ
何か方法を考える時間もあったはずだ
それなのにそれができなかった
なぜか?
それは・・誰かのせいにすることで
自分が安心する時間を得てしまったからだ
「そ・・それは」
「・・・あなたたちが、その理由を考えないかぎり
ここはずっとそれだけなのよ」
「・・・。」
黙る村人
「行きましょう。ルーク。」
「ええ。」
ミリカとルークは振り返ることもなくノエル達を追うことにしたが
どこにいるか見当がつかない
なので、森の中を探し回ることにした
その後ろ姿を眺める村人とドレス
残されたドレスはポッリっと呟く
「理由とはなんなのかな・・?
わたしわからない」
「ドレス・・・」
ドレスの母親はドレスの肩をギュっと握る
「あなたは悪くないわよ・・わるいのは
・・わるいのは」
「ねぇ、わるいのは誰なの?」
「そ、それは・・」
ドレスは純粋無垢で聞いてくる母親は視線をそらす
「あの人の言葉はとても痛いの
あたしはここにただみんな帰ってきてほしいのに」
「それは・・。」
「本当にノエルさんが悪いの?そうなの?」
どうしてなの・・?っと呟くドレス
それはどうしてなんだろう
村人の中に何かが生まれてきそうなときだった
村の人々はただ、ミリカやルークの後姿を眺めるだけだった
そして、ミリカやルークの見えない所でそのみる存在が一人
「ヤラレタ」
クスっと笑う一人の存在
木の上でどうやら二人と村人を観察する人物
揺れる瞳からは怪しげな光が見えたのだった
さて、この人物は誰なのでしょうか?
そして、リシャーナとノエルの秘密とは?
明日の更新をお楽しみに




