表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 間章 ~飛行船ヴェリタス~
341/485

少年、国境ゲート

今回は、国境ゲート編です。

機関室からまたはしごから降りた旬たちは、今度は操縦室へと


入ることにしたのだった


「失礼しまーす」


そう声をかけて開けると・・。


そこには全開にした180度に視野を見渡せる程の大きさには


外の様子がかなり見える


操縦席だからこそ、何人もの人間が忙しく働いているのが見える


すると、アルカは旬に気付いたのか


ニコニコっと笑顔になって近づいてきて


「旬君、アニマ君来たのですか」


朗らかな天然オーラを持っているアルカ・エルレイド


ラミアに言わせればかなり曲者・・喰わせ者かもしれないと言っていた


俺も同感するよ・・その辺は。


「はい。」


「もちろんだよ」


旬とアニマの言葉にアルカは嬉しそうに笑って


「うれしいです。私も紹介したい方々がいるのですよ。

 ここにいるエルレイド社の社員を。」


「この方々が・・?」


「はい。ここの操縦をすべて任せています。

 左から、ドレンド、リド、カロンです。」


アルカがそれぞれ自己紹介すると、旬の顔を見て


ペコリっと挨拶する。


それを見た旬はペコリっと挨拶する


それぞれはまた忙しそうに働く


優しそうで勇敢そうな印象のある男の人たちばかりだ


「そして、私が社長であり運営責任をしています

 アルカ・エルレイドですね。まぁ、知っているかもしれませんが

 他にも食堂にも社員がいますよ。」


食堂・・にもか


エルレイド社は本当に徹底的だなぁ・・色んな意味で。


でも・・社長さんって本社とかにいそうなのにね。


珍しいかも。


旬は何気なくエルレイド社について聞いてみることにした


「ところで、エルレイド社って、どこにあるの?本社は?」


すると、アルカはう~むっと考え込んで


「本社は・・そうですね。南の国にあります

 しかし、私としては、本社にはあんまり帰りませんね。」


南の国・・ってえっ!?


「「はい!?」」


何?


ここ、本社に帰らない・・?


すると、アルカは朗らかに笑いながら


「いいの?帰らなくて。」


そう聞くとアルカはニコニコっと笑って


邪気なく言うのだ・・それも、悪気はなく


「なにしろ、エルレイド社は、小さい会社ですからねー

 私がいてもいなくても会社は私よりも優秀な右腕がしてくれています

 それに、本社は、製品開発ばかりを中心にしているので・・運営とかは

 ほとんどこの飛行船で決めているようなものですよ。」


運営を決めているというのは分かるけど


さすがに社長さんがいないと困ることもありそうな・・?


「でも、なおさら、社長さんがいないといけないのでは?」


すると、アルカはクスっと笑う


「確かに変かもしれませんね。当初は反対ばかりでした。

 しかし、私はね、現場が好きなんですよ。製品をつくるにもこの飛行船で

 どこまでいけるかどこかダメなのかそれを知っておかないといけないのです。

 快適で安全旅ができるように。」


快適で安全な旅・・か。


「アルカさん・・・。」


なんだか、すごい人


「ふふっ。私は、本当に困った社長さんなのです。

 ですが、みんなもそんな私についてきてくださいます。

 それだけはありがたいものです。」


アルカさんは、安全の為や、次のためにできる人なんだ・・。


「そろそろ、国境ゲートですよ」


「えっ。もう?」


すると、視線の先には・・大きなゲートが見えた


「ほら、あれが国境ゲートですよ」


「・・あれが!?」


「でかいぞ・・!」


大きくて巨大なゲートが見える


あちらこちらにも小さいけどこことは違う飛行船がふよふよっとゲートの中に入ったり

出たりしているのが見える


「このゲートの先にあるのは・・ドライアドですか?」


すると、アルカはふるふるっと首を振って否定する


「国境ゲートの先には、小さな村々がありますが、そこはドライアドではありません。

 ここから2日ぐらいかけてなので・・もう少しかかりますね」


「かかるだなー」


どうやら、かなり遠い場所にあるのか


それにしても・・


「小さな村々があるんだ・・。」


「そうですね。この国境の先には小さい村が固まっているんですよ

 遊牧民がいますし」


「へぇ~」


それは面白い話だなぁ・・。


「あ、こっきょうげーとがとじたぞ。

 どーするんだ?」


「本当だ。どうするんですか?」


「国境ゲートは、登録された飛行船にしか開くことはありません。

 ですが、エルレイド社の紋章を飛行船の上にあるので

 ソレに反応して開きます」


「へぇ・・!」


「ほら・・。」


飛行船が国境ゲートに近づくと・・その紋章に反応して


そこには、国境のゲートが開いていく・・・!


「うわぁ・・すごい。」


「ほんとうだなー」


感嘆するよね


こんなに大きなゲートが開くことが俺にとって衝撃だった


「なぁなぁ、ひこうせんではなくとほでいくばあいは

 どうするんだー?」


アニマがそのことをアルカに聞くと


アルカはそうですねーっと声をだし


そして、アニマにも分かるように説明をする


「国境ゲートの下に、門がありますよ。その門番の人に国境ゲートを通る場合、

 一般発行券もしくは、通行証がいります」


「通行証?」


初めて聞いたな・・そんなこと


俺、知らなかった


「一般発行券は、シュネーとかでも売っていますが、通行証は年間フリーパスです。」


「フリーパス・・なんていうか、アバウトだ・・。」


どこかのテーマパークを思い出すな・・それも日本の。


「うわぁ・・すごいな。」


アニマはうわぁぁっと声をだしている


どうやらアニマも知らなかったようだ


当然、俺も知らない


なんていうか・・うん、俺、本当に何も知らないだなぁっと思った


アルカは続けて説明をする


「どちらかといえば、通行証は、身分証明書みたいなもので、どこでもいく場合に

 通行証があれば便利です。」


「へぇ・・俺もほしいな通行証」


「あにまも。」


なんだか、ほしくなるな


これさえ、あれば大体な所が簡単にいけるなんて


魅力的だよなー。


しかし、アルカは難しい顔をして


旬たちの希望を打ちのめす


「でも、近頃は偽造問題もあるのですよ。だから、なかなか、発行も難しく

 なったもので・・なので、ほとんどの人は、一般発行券ですね。」


すると・・心なしか・・旬たちはどよーんっとした顔になる


「なんていうかヘビーだね。偽造って・・。」


はっきりいうよ・・重いね。


まさか、こんなに重い話を聞くことになるとは・・。


「うん、あにまもこころおもくなるよ・・。」


アニマもどよーんっとしている


なんだか、今・・夢や希望が折れた気がするよ。


規制ができるたびに思う


こういうのってどこの世界も変わらないね・・。


旬はどこか悟ったのでした・・。


アルカはそんな旬達を見て


元気づけるように・・笑みを浮かべて


「ふふっ。まだまだ、旅が続きますので旬君やアニマ君は

 今のうちにそれぞれ休憩した方がいいかもしれませんね」


そうした方がいいかな


さすがに・・なんか疲れてきた


「あ、そうですね。それぞれの時間って大切ですよね」


「そうですよ。リフレッシュするべきです。着いたら

 連絡しますので。」


どうやら連絡してくれるようだ


2日もあるし・・まぁ、いいか


「あ、お願いします。じゃぁ、アニマ行こうか。」


「うん」


俺達は、また操縦室を後にしたのだった


その廊下でアニマは言う


「なんか、しらないことばかりだったなー」


「本当にそうだよ。本当にすごいね・・外の世界は」


外の世界は広いし


俺の知らないことがたくさんある


なんていうか・・すごいとしか言えない


「だなー。そうだ、あにまはらみあたちのところにいくけど

 ごしゅじんは?」


「俺は、休むよ。なんか、色々疲れた。」


「そうなんだ。じゃ、あにまはいくねー」


そういって階段を降りたアニマ


「・・さてと、俺も休憩所にいって・・一休みしよう。」


旬はしょぼしょぼの目をしたまま

休憩所にもどったのだった・・。

あと1、2話で、間章は終わりです。

なので、次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ