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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第3章 ~人形王女~
34/485

少年、最後の術

34話目です。



闇へと姿を変えた彼は

ただ、笑うだけ

そして、問いかけても答えは返してはくれないだろう

彼の願いは一つだけ

それはけして叶わない夢の話・・。

夢幻にしかない・・儚い願い。



              *****


闇から姿を現したのはソリドゥスだ。

笑っているけど顔は違う

無表情だ。


アリアは、その光景に平然として


「闇に堕ちたみたいね・・あなたは」

そう淡々と話す

ソリドゥスは、そのアリアの姿に対して


「・・随分、印象が変わりましたね・・少ししか立っていないのに」


すると、ニヤリっと好戦的に笑い


「目が醒めただけよ・・それだけのこと」


アリアは感情の無い瞳をソリドゥスに向ける

ソリドゥスは、受け流すように


「それは、面白い。では、眠気ざましにいいのを見せようではないか」

「・・・!?」


な、何だ。この人・・?

一体何を・・する気なんだ?


「姫の代わりの操り人だ」


闇と化したソリドゥスは後ろに下がる

すると、姿を現したのは二人の男女

俺は、その二人を見て・・驚愕の瞳になる


「ラミア・・?ジン・・!?」


そこには、行方不明だった俺の仲間がいた

二人は、虚ろな瞳で武器を持っている

俺だと分かっていない・・!!


「行け・・!!」

その言葉の合図に、疾走するかのようにジンが俺に斬りかかる


「ちょ、ジン」


鋭い剣さばきが襲いかかってくる

さすが、剣士だ。

俺もなんとか避けているけど・・死ぬかも・・。


横に避けようとする先回りをしたのか

スッと音を立てる


「うぎゃぁ、な、なにか・・かすった」


髪がパサリっと落ちる

俺は、涙目になる


か・・髪がァァァ

ジンは、虚ろな瞳で剣を持って俺を倒す気満々だ。


泣いていい・・?


「・・・。」


アリアはその様子を平然としながら観察する


「くそっ・・このままじゃ俺がやられる」


俺は、一気に終わらせようと魔法を使う

でも、仲間だから傷だけは負わせたくない・・!!

そうだ・・!!


俺は、座りこんで、土に手をやる


「木よ俺の力になれ・・弦よ、ジン達を縛りあげろ」


土から大きな弦が出現する

弦が、ジンたちを縛り付けるようにくねくねと動く


「いけぇぇ」


木の弦達は真っ直ぐと二人に向っている

どんなに強くても、あれならおしまいだ・・!!

だが、それで終わりではなかったのだ

すると、ジンの前に操られたラミアが現れ


「魔法盗み・・発動。」


ラミアが呟くと、弦はからみつけようとするジンから弦が消え

旬の方へと来る


「うぎゃぁ、こっちに来る」


俺は弦を避ける

狙いは俺達に定まったようだ


「さすが、シーフ。魔法盗みを取得しているとは面白い。」

 

軽やかに避けながら感嘆している姿のアリアに俺は思わず


「面白いじゃないよ!!何なの、アレ」


「シーフの極意の一つ、魔法盗み。まぁ、成功する確率は低いけど

 成功すると、自分のモノにできる・・という技ね」


解説するアリアに、俺はもう絶望だ


「いらないよ、今、そんな情報!!」


どーすんのこれから

弦は容赦ない

さすが、俺の魔法・・と言いたいけど

ピンチだよ!!


「燃しなさい・・木なら可能でしょう?」


その指摘に俺はピンっとした


「あ、そっか、木だからね・・よし」


俺は、炎のイメージをした

紅蓮の炎だ・・

俺のイメージではね・・。


「その弦を焼き尽くせ・・プロミネンス!!」


すると、弦は大きく燃え

やがて灰になる

ラミアは舌打ちをする


「うわぁ・・。」



なんとか、消せたけどこれからどうしようか

魔法を出してもラミアが、魔法盗みをする

成功確率は低いとしても怪我や俺が危ない

どうしたものか・・。

キィンっと何かが音がした


「アリア、何しているの?」


そこには、俺の横で、アリアが術の詠唱を初めていた


「止める方法はあるわ」


「イチかバチの勝負よ」


前からは二人が、俺達の元に走り出している

ギラリっと、剣やナイフが光って怖い


ど、どうしよう

すると、アリアは、ニヤリっと笑い


「眠りの女神よ、我の力になれ・・スリープ」


すると、二人の間に、眠の術をかけられる


バタリっと音を立て

二人は倒れ込んだ


「成功して良かった」

「・・どういうこと?」


「イチかバチだった・・眠りの術が一番効果的だと思ったけど

 こんなに効き目があるのは嬉しい限り・・。」


「・・・単純だといいたいの?」


「そうではない・・つまり、操られているから意思がない

 意思があればこの術は多分無理・・。」


「そうなの?」

「・・ええ。」


バタリと倒れた二人は、死んでいるかのように眠る

どうやら、よく熟睡しているようだ


さてと・・・。

俺は、後ろに下がっている黒幕を見た


「もう、後がないよ・・?」


ソリドゥスは、不敵の笑みをして


「どうだろうか・・私が二人を倒せばいいだけのこと」


「・・ソリドゥスは、今はこの神殿には最強の存在ね」

「えっ・・・。」


じゃ、どうするんだろう・・?


「大丈夫、闇に強いモノを使えばいいだけのこと

 それに、肉体はいつまでも持ちはしない

 いずれ・・ね」


意味深の笑みと言葉


何を考えているんだ・・?


「こちらから、行くぞ・・邪悪なる力よ

 姿を現せ・・ブラック・シャドウ」


すると、黒い影が俺達を襲う


「黒い影は、魔法はある一つの属性を除いて効かないわ」

「え・・。」


「影だからね・・。」

「じゃ、どうするの・・?」


俺は、不安に思いながらアリアの様子を見ると

彼女は、もう覚悟をした瞳で


「・・もう、終わりにしましょう」

「え・・。」


すると、アリアは笑う


「あなたの力を貸して・・これから、大きな術に入るから」


「・・・分かった。それが一番いいのなら・・。」


「・・ありがとう」


杖を持つアリアは、無表情の人形ではなかった

もう、覚悟をしている一人の人間だ


「神聖なる力よ・・我に力をかせ、そのすべてに我に尽くし

 その力をさらけされたり・・汝は力を持つ者也。」


すると、大きな力が働き出す

俺は、その力に後ろに下がろうとする

だが、アリアは俺の手を握りしめ


「逃げないで・・大丈夫」

「俺は・・できるのかな?」


「・・できるわ。逃げないのならば

 それが、理解できるならば」


俺は決心した

逃げる・・わけにはいかない

ラミアやジンが・・。

俺達を苦しませた

だけど、俺は二人を守りたい


すると、本が光出す


「あ・・あなた、その本・・」

アリアは驚いているようだ

でも、俺は話す時間は無い


「・・・力を貸して」


すると、大きな光が術に呼応するかのように反応する


「光よ、俺に力を貸して」

「光よ、私に力を貸しなさい。」



「ルーチェ」


まばゆい光がソリドゥスだけじゃなく

全体を覆う

それは、美しい光

すべてを覆う優しい力


それは、俺達なりの希望の力なのだから・・!!




あと1、2話で、アリア編は終わりです。

では、次話で

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