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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 二幕  ~ギルド協会の緩い糸と王宮の衝突~
332/485

閑話 炎の魔導師アスク 上

今回は、上と下のある物語

では、どうぞ

コツコツコツ


靴の音が響く


この魔導師の館に赤い髪と紅の瞳


炎の魔導師・・アスク・ヒューセル


最強を欲しいままに生きる男


なんや、旬たちが行ってしもて


寂しくなってしまったのぅ。


ワイは、奴らのこと嫌いになれなかったな・・結局。



むしろ、嫌いになる確率がないな・・ホンマに


あの太陽を見れば


ほんまに敵いそうもないわ。


カサっと一瞬、音がしたのをアスクは感じ取り


足を止める


さてと・・・鼠のようにそこに黙って機会をうかがい


ワイになにかしようとする・・奴らに声をかけるか。


「ワイに攻撃を仕掛けてくる気か?ワイは、こう見えても

 ・・・・魔導師の中でも最強と呼ばれているんやで?

 そんくらい知っているやろ?ソウ、ノィン。」


すると、姿を現したのは・・。


「・・・バレていたのか」


銀髪とアイスブルーの瞳


水と氷の魔導師ソウ・クライシス


無表情ながらもどこか氷のような青年


「・・・上手く隠したつもりでしたが・・無理でしたね」


琥珀の瞳を持つ・・光色の髪


ノィン・フォトン


光のような姿をした青年


二人の魔導師が姿を現したのだ


アスクは二人を見て


「ワイになんか用か?いや、用がある以前に

 ワイに敵意を持っとるようやな」


どうやら、簡単には行かせてくれへんということか。


面倒なやつらや。


「ご名答。ノィン」


すると、ノィンは、光の技で攻撃を仕掛けてくる


「フォトン!」


同じ名前を持つ・・光の魔法を使うノィン


すると、アスクは杖を使い


「プロミネンス」


一瞬にして炎で光の技を覆う


「甘い!!」


すると、ソウが、水の攻撃をする


「アクア・マグナス」


だが、アスクは怯えることもなく


ただ、笑って


「ワイも同じような技が使えるでー?」


すると・・・


「ヒート・リボルバー」


アスクは狙いを定め


一気に攻撃を終える


「うわぁ」


「ぐっ・・!!」


光と水の壁を作るが・・アスクの方が力が強く


弾かれる・・!


二人の魔導師が膝をついた。


「なんや、弱々しい奴らやな。おっと、まだ動けるんか。

 どうする?ワイの攻撃を続けるなら、ワイはやるで?」


構えるアスク・・。


それを感じ取ったソウは・・。


「いや、これ以上は攻撃しない。

 ただ、試してみただけだ」


どうやら、これ以上


攻撃することはないようだ


しかし・・まぁ、なんや


何の狙いがあるんだか・・。


「そうですね・・ですが、アスク、あなたは

 既に力を取り戻しているようですね」


力・・ああ。


あの例の国落としに貰った力か。


あの後、元の魔力に戻ったけどな


こいつらはまだ・・少し、魔力に関して戻っていないわけでもない


ただ・・力に疑いを持つようになったわけか・・。


「・・・。」


アスクは黙っている。


ノィンは、そんなアスクに厳しい尋問をするかのように


「ユラ、シア・・そして、アスク。あなたがたが、聖女側についたと

 ききました。」


「そら、早い話やな」


こいつらの耳は早いな。


まぁ・・魔導師やから簡単か。


「・・・私達は、貴方達の考えが理解できない。

 本当のことをいえば今すぐにも抹殺したいですよ」


抹殺・・えげつないことを簡単にいえるなぁ。


「そら、怖いこと言うわ。でも、ワイには適わんということで

 あんたらは心の中は苦々しいやろうな」


アスクはニヤリっと笑う


「・・・本当に悪魔だね。あなたは」


ノィンはそうアスクに言う


アスクはピキンっときたのか・・。


「・・・ほぉ、どういうことや?」


そう聞いてくると・・変わりにソウが問いかけてきた


「文字通りだ。魔導師としてプライドはないのか?

 お前は」


ソウは、そう聞かれた。


なんや、ワイにプライドの有無を問いかけにきたんか?


こいつら・・。


「そやな。プライドなんて高いも安いもないやろ?」


そう、プライドに安さも高さも本来必要とせん


だけど、なんや・・ワイに喧嘩を売りにきたんか?


買いたい気分や・・まったく


「・・・さすが、見栄をはるだけあるな」


「・・・見栄?」


なんか、イラっとするなコイツの言葉


昔から、コイツだけはワイは嫌いや!


しかし、冷静になれと言い聞かせ


「ふん、ワイのことはどうでもええやろ?

 それよりなんや、あんたらワイに攻撃をしかけてきて

 ・・聖女のことより、あんたらはまだ過去にこだわっているんか?」


すると・・


「何言っているのです?思い出など・・捨てました」


ノィンは、そう簡潔に答える。


「捨てた・・?」


何・・言っているんや?


「そうです。あんな思いでもあるから過去に囚われ

 そして、暴走する・・同じ思いをした仲間であったシアですら

 私を軽蔑する・・思い出なんて・・哀しいことばかりですよ!!」


思い出が・・・哀しいことばばかり


「あんた・・ほんまに、そんなこと思っているんか!?

 暴走したのは・・あれは・・ワイらの弱さや!!」


「弱・・さ」


「・・・」


ノィンは呟き


ソウは、黙る


しかし、ノィンの激しさは止まらない


「それでも、この国で生きるには・・もう、他に方法なんてない!

 辛くて生きるくらいなら・・捨てたほうがいいとおもうですよ!!」


「ワイらには、もう過去を捨てるしかほかに方法がない?

 んな、訳ないやん」


ふんっとアスクは笑った


「えっ・・。」


「あんた、ほんまに忘れられると思うんか?」


「アスク・・。」


ソウが呟く


あのな・・不可能なんや。


忘れることなんて・・できやしない


「・・ワイは、過去を捨てることなどしないんや。

 結局や、人は過去を振り返るんや。捨てることなど不可能。

 ・・だから、思い出の中で自分ができなかったことに悔いる。」


「・・・!」


わかっているのか・・ノィンは黙る


「ワイはあの時、力があれば良かったと思っとる。

 できなかったから・・死なせた。」


そうや・・公爵様が死んだのはワイが愚かだったせいや。


「・・・!」


過去をあれほど変えたいと願っても


二度とそういうことはできへん。


けどな・・過去のすべてが・・悪い訳がないはずや


「なぁ、過去はあんたにとって何になった?

 過去はあんたにとっていらへんことか?」


「それは・・・」


「・・。」


二人は考えこむ


まだまだ、魔導師として浅いな


ワイはそう思う


いくら、力があっても意思が弱ければ


アカンな。


「ワイは、過去は、ワイを強くしてくれる。

 だからな、もうあの日のように泣かなくてええように

 ワイらは・・生きることや」


そう、生きること


ワイは忘れん


あの人の言葉を・・。


「お前は・・聖女の下僕になってしまっても

 生きることを固執するのか?」


その問い・・アスクは・・。

 

「聖女・・ああ、ロザのことやな。 

 そうやと言えば正解や。」


「やはり・・!」


ノィン、ソウの二人に不穏な気配が宿る


だが・・アスクは


「けどな、ちと、違うんや」


そう・・こいつらの考えていることは


ワイとは違う


「自分らは聖女に従うとかないんや。

 今度は、平等や。ワイらは互いに歩み寄り

 理解しあう必要性があるんや。ワイらがそれができれば

 あんなバカな事件は起きんかった。もちろん、兵士たちにも

 力を合わせる必要性もある。」


そう、今回の事件は本当にバカな事件だった


そして、愚かだった。


「・・」


その言葉に二人は黙る


「閉鎖的なワイらは、確かに魔導師だけで大概なことができる

 けど、ホンマにそれだけなら孤立するだけや」


そう、閉鎖的な自分たちは・・


本当のことをいえば、なんでも大概なことはできる


魔導師やから。


それだけなら、駄目なんや。


本当に孤立してしまうから


「孤立・・」


コクンっとアスクは頷く


「そや、あんた達・・それくらい分かるはずや」


「・・・!」


その言葉に・・もはや何も言えない二人


ふん、どうやら口喧嘩はワイの勝ち。


「ソウ、ノィン。ワイたちは前に進むで?

 これからもその意思と共に」


ワイは待っていることはできへん。

そこまで優しゅうないからな。


「・・・・。」


すると、黙っていたノィンが口に出す


「・・・風の魔導師はそんなこと許しはしません。」


なんや・・懐かしいな。


風の魔導師か。


「・・ふん、やつは、既にこの国はおらん。

 例え、いたとしても奴には何もできる訳がない

 なぜなら、奴の犯した禁は、この国に戻れば

 裁かれる立場やから。」


ここには、昔、6人目の魔導師がいた。


しかし、ある事情から今ではソイツは既に除籍されている。


つまり、魔導師である証を捨てたということや。


「・・・!」


ノィンは黙る


「まだ、疑っているのか?」


ソウは問いかける。


「そやな。ワイたちは特にな。それに奴は、ワイにとっては

 鬼門や。」


奴のしでかしたことは忘れない


辺りの・・血の海の・・地獄。


5年前の例の事件には・・まだ続きがあることを。


「後悔しますよ?風の魔導師は・・貴方が思ってより厄介ですから」


ノィンの忠告に・・ワイはただ・・。


「なんや、そんなこと言われんでも後悔は毎度しとる。

 でっかい災難が振るだけの話や。話はこれでおしまいやな?

 それと、先ほどの話は考えることや」


そう言って、アスクは去ったのだった。


残された二人は・・。


ただ、顔を見合わせ


「風の魔導師は、アスクにとっては鬼門・・・無理もないことです。

 あれだけのことをしでかしたのは確かですが・・・。」


「・・・だが、限りなく奴は、この国の聖女を快く思っていない

 いや、この世界全体にな。」


「・・・ええ。きっと、厄介なことになりますね。

 ・・・でも、私は・・まだ、答えは出しません」


その言葉に・・ソウは・・。


「・・・答えを出すのは先でいいだろう。僕も、辛いからな。

 一言だけいえば・・やはり、思い出を捨てることは

 自分を捨てるようなものだと・・思うがな」


「・・・そう・・ですね。」


ノィンはそれだけを呟いて・・アスクの後ろ姿を眺めていたのだった。

この話の終わりしだい、一旦、完結し、少女、混沌~の方へと続きの話を

書きます。

では、次は、下をお楽しみに

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