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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 二幕  ~ギルド協会の緩い糸と王宮の衝突~
329/485

少年、出発の日

今回は・・?

今は、もう夜だ。


しかも、現在、ウッズさんの家にいる。


もちろん、ラミアたちはぐっすりと明日の為に寝ている


俺はといえば・・実にいうとその日、シアの言葉が頭に巡った


”帰りたい所がある。”


俺は見当がつく・・。


帰りたい所・・きっと、彼がいた世界そのものだろうと考える


しかし。結局、帰ることができやしなかった。


それどころか・・。


旬は考える・・。


「・・どういうことだろう・・。」


旬は呟いた


帰る方法が無かった?


いや、違うな・・。


帰りたくても帰れない事情があった。


そもそも、あの人はどうやってこの世界にきたんだ?


俺と同じような方法で?


いや、それならもっともなこと


なにか理由があってこちらの世界にきた


それならば・・・その来た理由とそしてその目的さえ果たせば


帰ることができる


・・・でも、結果的には帰ることは無かったのは確かだ


謎だ。


この世界にきた俺と同じ日本人はどのような方法で・・・・。


そういう考えが浮かんでいた時・・。


その思考と共に・・・ある声に遮られ


そして・・・・ハッとさせられる。


「旬!」


「あ、ウッズさん」


ウッズが寝巻きのままだ。


それは俺も同じだけどね。


「ラミアさんたち先に寝たのに・・旬だけどうして

 起きているッスか?」


「ああ・・ちょっとね。」


旬はごまかす・・。


まさか、あなたのお父さんのことを考えていました

とか言えないじゃない?


むしろ、自分の父親が遠い世界にきたこと


そして、おそらく、ウッズさん自身は・・父親が何者だったのか知る

はずがない。


なぜなら・・・誰にも知られたくないことでもあっただろうから・・。


もう話を切り替えようかな・・。


「さてと・・ウッズさん、俺になんの用かな?」


すると・・ウッズさんが・・・。


ポッリ・・ポッリと


「その・・自分、旬達から逃げて・・・それからいっぱい考えた

 であります・・ラミアさんにも相談して・・」


なるほど・・思い出す旬


だから、ラミアはあんなにニヒヒっと悪戯っぽい笑いをしていたのか


「ああ、なるほどね。」


そして、ごにょごにょっとなにか言おうとして


でも・・言葉にならないウッズさん。


だけども・・旬を見て


はっきりと言ったのだ


「旬、自分は・・旬と一緒に旅がしたいっす」


勇気を振り絞り旬にそう言うと・・。


「いいよ。」


その途端・・静寂になった


「えっ・・あっさりッスね。反対しないッスか?」


その言葉に、旬は・・。


「俺は、ウッズさんが決めたならそれでいいと思う。」


俺は反対することはしない。


「どうして・・・自分はこんなにも弱いのに

 旬の力になれるかどうかすらわからない。」


その負の言葉


きっと、ウッズさん自身が負い目に感じていたことだ。


だけど・・それは、違うと言えるよ。俺


「・・俺だって弱いよ。強くても弱いんだ。」


「旬」


そう、強くても弱い。


でも、それでもあがく


どんなことがあろうと・・俺は今をあがくことを続ける


それに・・ウッズさんはきっと・・。


「ウッズさんはきっと・・俺よりか強くなれる。なんだか

 そんな気がしたんだ。」


ニッと旬がいい笑顔を浮かべると・・・。


反対に弱気のウッズが・・。


「気のせいじゃないッスか・・?自分は父とは違い

 何も誰も救えないッス・・それどころか、自分は幻想しか

 みていなかった。」


幻想・・?


それは・・・違う


「そんなの違うよ。だって、ウッズさには心の強さ・・真っ直ぐな意思・・

 きっと受け継がれていくんだ。俺はそう信じているよ。」


どこかなにかに受け継がれていくものがあることを


信じている。


「・・・信じる・・・うん・・自分は信じるッス」


「・・うん、その意気だよ。」


ウッズさん・・少し自信をもってくれて良かった


旬は、その様子に嬉しくなる


そして・・ウッズは・・。


すこしもじもじしながらも


手を差し出すのだ・・旬に


「旬、これからよろしくッス」


握手・・だよね。


「こちらこそ。よろしくね」


互いに握手した


そして・・眠気が襲ってくる旬


「そろそろ寝よう」


「そうッスね。」


なんだか・・安心したせいか・・。


その日・・俺は、夢を見なかった。



                ****



次の日、今はウッズさんの家の前だ


「もう、こことはお別れなんやなぁ」


ラミアが名残惜しい顔をしている


「ここでくらしていたからなぁ・・みじかいあいだ

 だけど。」


アニマは同意している


旬は、鍵を閉めているウッズに問いかける


「ウッズさん、もういいの?」


すると、朗らかに笑うウッズ


「はいッス。必要なモノはリュックに詰めたッス」


「そか、じゃぁ大丈夫やな」


あれから、朝・・ラミアとアニマにウッズさんが旅に加わることを話すと


ラミアとアニマは反対をしなかった

それどころか歓迎をしてくれたようだ。


旬はウッズの家の前にある鉢を持ち上げようとする


「旬、この鉢、持っていくんか?」


リンゴ?なのかよくわからないのだが、これは俺が育てるべき

だと思っている


「うん。でも、重いだよね」


そう、さすがに子供の俺には重い


やはり、底なしバックの中に入れたほうがいいかな?


いや、肩が凝りそうだしな・・。


「じゃ、うちが持っておくわ。なんでも入る、バックに詰め込んだ

 ほうがええかもしれんしな。」


とヒョイっと旬の手から鉢を取り上げる


「ええっ・・いや、でも・・・枯れない?というか大丈夫?」


そういう心配しているとウッズが・・。


「うちは、こういうのは慎重に扱うから安心しぃ。

 それに、水とか欲しい時は定期的に言ってくれるとええ。

 うちがもちろん水をやるからな。」


その様子に俺はニコっと笑顔になる


「・・ありがとう」


「どういたしましてや」


「よかったなごしゅじん」


「うん。」


枯れないように定期的に水やりと様子見をしようと思った

旬だった。


「ねぇ、どこに行けばいいいの?ロザさんが王宮来てくれと言っていたし」


「そうやな。うちもさっぱりや。」


すると、ウッズが思い出したかのように


「ああ、そうだったッスね。旬たちは飛行場に行くといいっす」


「飛行場?」


「そんなの見たことないで?」


どうやら、ラミアは見たことがないようだ。


俺も同じようなものだ


確か、飛行船があったのは知っていたけど


飛行場があったのは知らなかった旬


「ああ、王宮の中にあるッス。シュネーは、外部の人が来ない理由は

 国境を超えないといけないッスから。怪しい人物が入らないように

 王宮が管理しているッス。」


なるほど・・どうりで・・・。


国境を超えることが大変そうだね・・。


「なるほど。国境か。」


「でも、一般人はどうしているんや。」


そうだ・・ここも栄えているから


一般人だって行きたい国もあるだろう・・。


「ああ。実にいえば、王宮の規制が入るッスから、王宮の許可がないと

 飛行場には行けないッス」


「不便なんだね。」


なんていうか不便さが一番だね・・シュネーは


すると・・ウッズは・・。


「その代わり、転移の扉があるッス」


「転移の扉・・ってあの?」


王宮でみたあの・・陣か。


「そうッス。王宮の他に一応、外のシュネーの山に一つ、この国でも

 一つあるようッスけど・・現在、様々な所に転移の扉を作ることを

 計画中らしぃッスよ?」


そんな陣があればいずれかいいかもしれないな。


でも、計画中ってことは・・試行錯誤ってことだろうね。


すると、ラミアはなにか思ったのか


「あれ?うち見たことないで?この国にあったなんて」


「・・俺も」


「あにまも」


それぞれがそんな陣を見ていないと口を開くと


「そういえば、見せていなかったッスね。見るッスか?」


そう言ってくれるが・・もう、そこまで時間が惜しいし


「いや、いいよ。もう時間がないし」


気になるけど


仕方ないか


「そうッスか。じゃ行きましょうッス」


「そやな」


「あにまもたのしみだー。」


「あ・・うん!!」


アニマは嬉しそうにあるく


旬はふと・・ウッズの家をみた。


名残惜しいかな・・?


もっと長くいたような気がした


でも・・なんとなく短くも感じた


そう思っていると・・。


「旬、はよせい。置いていくで?」


そのラミアの声に反応した旬は・・。


「あ、待って!」


旬はラミア達の後を追ったのだった。


                 *


そして、王宮の飛行場に行くと・・そこには・・。


シュネーの王宮にあった飛行場


それは大きくもなく小さくもない飛行場


そして・・・見たことのない飛行船


「あれが、噂の雪でも嵐でも飛べる飛行船やな」


「へぇ・・すごいねそれ」


そう飛行船をみていると見慣れた人たちがいた


「あ・・!」


そして飛行船の前には・・。


「旬君、皆さん・・待っていましたよ。」


ロザさんや、シア達の魔導師軍団、レオさん

そして、ルリリさんに、イオナさん、ルクスさん

グラムさんにリゥイ。


そして・・ギルバートさん、アリエルさん、フェイが見送りにきてくれていた


それぞれの姿に・・旬はただ・・驚くばかりだ


「みんな・・。」


旬は思わず・・感嘆したのだった。

次回、申し訳ありませんがあと1話続きます。

そして番外編を・・!

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