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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 二幕  ~ギルド協会の緩い糸と王宮の衝突~
324/485

少年、ラグナの手紙

今回は・・?

ギルド協会では、なんだかかなり忙しいそうだ。


ギルド協会に所属している人も依頼の確認に走っているのが見えた


「なんか、えらく忙しそうやな」


「ばたばただな。」


二人共、不思議そうな顔をしている。


祭りは終わった後だから、そんなに忙しくないはずなのにね?


受付の方へと歩くと・・ルリリがとても忙しそうにしているのが

見える


そして、旬を見て


「あら、旬君。目が覚めたのね」


その作業を止めて、ニッコリと笑顔だ。


「おかげ様で・・あの、なんで、今日はなんかいつもと違うような・・?」


なんだか、いつも以上に忙しいルリリの様子に旬は問うと


ルリリは・・困った顔をして腕を組む


「ああ・・アイツのせいよ。」


「アイツ?」


アイツって誰のことだろう?


すると・・ルリリは目を伏せて・・。


「ラグナよ。アイツが抜けたからここもちょっと大変でね」


伏せた瞳は・・なんとなく寂しさが見えた


「ラグナさん・・どうしたんですか?」


「・・・ああ。ここじゃなんだし・・ちょっと、こっちに。

 イオナ、後は頼むわね」


イオナは慌てながら返事をする


「あ・・はい。」


どうやら、イオナさんが代わりに受付をするようだ。


忙しそうで申し訳なくなる。


そして、ギルドの奥に入る旬たち


ルリリ用の室内に入る旬達


すると、ルリリは、部屋を閉める


「なんやどないしたんか?急に閉めて」


「・・ちょっと、聞かれたくない話なのよね。

 外にもこれ以上動揺させたくないもの。」


「聞かれたくない話?」


「動揺?」


旬とラミアが顔を見合わせる


すると、ルリリはフゥっとなんかため息がひどく哀愁だ。


「ラグナは、3日前に既にこの国を旅立ったわ」


「た、旅立った!?」


なんていうことだ・・。


ラグナさん・・どこに向かっただろう


「・・・アイツ、国落としの後を追ったのよ。

 この手紙だけ置いてね」


一枚の手紙とギルド異動届けだ。


「それで・・内容は?」


ルリリは腕を組んだまま・・思い出すかのように言葉を出す


「旬君には特に申し訳ないって。ラグナのやつ、旬君を特に可愛がっていたからね。」


「・・・そう・・なんだ。」


旬は・・・少し寂しくなった。


「うちも話をしたかったけどな」


「あにまもー。」


そういえば・・ラミアとアニマはあんまり接触はなかったな。


むしろ、全然ないかもしれない。


「そうだったね。ラミアとアニマは、ラグナさんとは話できなかったっけ」


コクンっとうなずくラミアとアニマ


「ああ。旬が気絶した後に、あの好青年・・なんや瞳は違ったな」


「・・・。」


ラミアは・・あの時、見た瞳を思い出す


「あの瞳は・・復讐の瞳や。ちょっとどころかゾッとしたわ。

 なんで、このギルドにおるんやと疑問に思ったところや。」


すると、改めてルリリはため息を吐く


「・・・そうね。旬君たちにはわかってしまうわね・・・

 あいつには私も心配していたのよ。アイツの瞳にはね。」


「・・ルリリさんも気づいていたんだね」


すると、ルリリは苦笑して


「・・・私はアイツとは結構、長く一緒に仕事していたから。

 そうね、アイツの事情をよく知る人間はいるわ」


「いるの?」


すると、ルリリは部屋を出る


そして、ギルドの奥から奥へと歩く


「ええ。今、ここに寝ているのよ。着いてきて。」


ルリリはある部屋へと連れて行く


そこは・・。


以前、俺が見舞いをした人物がいた部屋


「もしかして・・?」


「そうよ。旬君も顔見知りのはずよ」


ルリリはコンコンっとその部屋にいる来客に知らせるために

音を鳴らす


「誰だい?」


若い男の声だ。


ルリリは・・。


「ルリリよ。いるわよね?ルクス」


「・・・。」


「入るわよ」


すると・・入ると・・


そこには・・。


「やぁ」


薄い碧の髪・・緑の瞳・・・。


そして、儚げな風貌。


この人は・・ルクスさんだ。


「・・・大丈夫ですか?」


すると、クスっと笑う


「まぁね。あの時はありがとう。君が来てくれたから

 僕たちも助かったんだ。」


「いいえ・・きっと、大変だったと思うよ・・です。」


だけども、少し・・あんまり身体の調子が良くなさそうだ


「いいよ、敬語じゃなくても。僕は気にしないよ。」


謝る姿に・・なんだか、ものすごく儚さが伝わる


でも、とても優しい人だとは理解できる


ルリリはそんなルクスを見て


「あんた・・もう少しで・・死にそうだったのに・・。」


「ふふっ。ルリリが頑張ったからだよ。

 だから、僕も生きているんだ。感謝しているよ。」


すると、ルリリは・・バカっと声を呟く


「・・・本当にバカね。あんたもアイツも。」


ルリリはギュっと拳を握った


そして、笑ってから・・ルクスは、旬を見て


「フフッ。そうだ、何か聞きたいことがあるんだよね?」


「はい。そのラグナさんのことだけどね。」


すると・・ルクスは・・目を細めて


「君は気づいているみたいだけど。ラグナはこの国生まれではない。」


「それは知っています。」


ルクスはそれを聞くと・・そっかぁ・・っと呟いた


そして・・旬を見て真剣な顔になる


「ラグナと僕はね・・この国の山を超えたその先にある東の国出身さ」


東の国・・以前、ラグナさんが言っていた国のことだ。


確か・・。


「確か、ギルドの本拠地だよね?」


すると、肯定するルクス


「そうだよ。そして、東の国は錬金術がとても発達している国なんだよ。

 それだけじゃない、武道も魔法も揃った・・なんていうか、すごい所なんだよ。」


その凄さはたぶん想像以上だろうなぁ・・。


「ほぉ、面白い情報やな。」


ラミアは、どうやら興味がでたようだ。


「僕たちは、そこの国に生まれ、育った。錬金術であらゆるもの

 をつくれるからね・・国ながら自慢はできるのさ。」


「あんたには錬金術は使えるんか?」


ラミアの問いにフルフルっと首を横に振る


「 僕とラグナには錬金術を使う力は無かった。でも、ラグナの知り合いの子はね

 ・・すごい力の持ち主だったんだ」


「だった?」


既に・・それは過去形だった。


「・・・ああ。もう8年になるかな。ラグナと僕は・・・いや、それ以上は

 言う必要はないか。酷く・・恐ろしい事件だった。」


なんていうか・・・恐ろしい事件の内容を聞くことが

恐ろしく感じたのは・・俺だけじゃないだろう。


「巻き込まれたんだよね・・僕とラグナは・・・そして

 あの子も。」


ルクスが言う・・あの子とは一体誰のことだろうか・・?


「何が起こったんや?」


「・・・・それは言えないよ。」


ラミアが問いかける


「・・なんでや。」


すると・・ルクスの緑の瞳が・・真っ直ぐにラミアを射抜く


「国家秘密だから。」


「・・・!」


国家・・秘密。


それほどの事件なのか・・?


そして、ルクスは寂しそうに・・。


「ただ、言えることは・・国を巻き込んだとんでもない事件だということ。

 詳しい事は僕の口からは話せない。だけども、僕たちの人生は一変した。

 その事件によって・・。」


人生の一変。


それは・・・とても大きなことだろうと思う


ただ、ルクスさんは俺たちにヒントだけを教えてくれる


「ラグナの修羅に陥る事件程だ。とてもじゃないが話すことができない。

 でも・・その事件には、国落しがからんでいたんだ。

 正確には、国落としの仲間たちかな?」


その言葉に・・旬は反応する


「国落としには仲間がいるの!?」


これは、初めて聞いたことだ・・。


「ああ。史上最大最凶の犯罪者達さ。

 そいつらは今、この世界に酷く悪影響を与えている。

 そいつらのせいで、国は大損害。それほどの力の使い手さ。」


ルリリは・・・その仲間のことを知っているのか


「・・・私も知っているわ。今、この世界に危機感を感じているのよ。

 かなり、強い奴らだと話は聞いているわ。」


どれほど強いだろうか・・?


正直言って、想像すらできやしない。


「・・・。」


「・・僕から言えることは以上だ。」


これ以上は、この人の口からは何も語ることはないだろう。


だけど・・俺は感謝を伝える


「ありがとう。」


すると・・・


「僕の方こそ、ありがとう。旬君。

 君のおかげで、ラグナも僕も死なずに済んだ。

 その恩は忘れないよ。ありがとう。」


「・・・はい。じゃ、俺たちはこれで。」


旬たちは部屋を出る


ルリリは、ルクスに一言を言った。


「じゃ、しっかり休みなさいよ?今度は、安静しないと

 拳がくるわよ?」


軽い脅し・・・だが、その脅しにもクスクスっとルクスは笑う


「はいはい。わかっているって」


本当かしら?っと思いながらもルリリは部屋から出て行った


そして、ルクスは酷く真剣な顔になって


「・・君がしようとしていることは、僕は止めることすらできやしなかった。

 ・・君の苦難に僕は友としてできることは・・もう・・。」


それだけ言って・・・ルクスは瞳を閉じたのだった。


部屋を出た後


ルリリは旬にあることを聞いてくる


「・・それで、旬君、貴方は、これからどうするの?」


そう聞かれると・・旬は・・。


「俺は・・・この国を出ます。野暮用として

 西にある国に行きます。」


そう・・この国を出て・・西の国に行くことだ。


「そう。やはり、こんな気がしたわ。」


ルリリさんは気づいていたようだ


俺達の別れの予感を・・。


「・・ルリリさん・・。」


ルリリは・・ニコっと笑って


「・・・ギルドはもちろん、色んな所に支部があるわ。

 だから、紹介状さえあれば、ギルドに入ることもできる。

 ・・出発は?」


その言葉に・・旬は・・はっきり言った。


「明後日です」


すると、ルリリは・・そうっと肩をすくめる。


「そう。じゃ、その時まで用意しておくわ。

 それと・・コレ。」


一枚の手紙を渡す


これは・・確か・・。


「これは・・ラグナさんの?」


そう・・ラグナさんがルリリさんに渡した手紙だ。


「そうよ。あのバカの謝罪の手紙だけど・・多分、旬君宛よ。」


その手紙を渡され、旬は受け取る


「どうして分かるのですか?」


そう問いかけたら・・・ルリリは・・旬の頭を撫でた


「・・・そんなの、あいつのことをよく知っているからよ。

 弟分のような旬君にあのバカが何も言わない訳がないわ。」


そこにはどこか慈愛がこめた瞳をしていた


ラミアは、ルリリに対して・・。


「あんた、とても優しい人やな」


「そうそう、やさしそうだよな。」


ラミアとアニマの言い分にルリリは・・。


「あら?それは、ラミアさん、あなたもそうなのでは?」


そう思わせぶりだ。


「・・・あんたの観察眼には驚くばかりや」


ハァっとため息を吐く


ルリリはクスクスっと笑うばかりだ。


「ふふっ。それと、旬君、先ほど、ギルドの方に王宮から

 連絡あったけど・・はい。これ」


ドンっと旬の手に渡す・・袋。


「これは・・?」


なんていうか・・腕が疲れる。


「レオ副長さんからの依頼料よ。多分、旬君ならその依頼の理由は

 分かるはずよ?」


なんか・・心なしか重いな。


「・・・あの人、すごいな。ほんまにいつ気づいたんやろか?

 もう、終わった後やということを」


ラミアは・・少し疑問に思っているようだ


ルリリは・・う~んっと考える


「あの人は不思議な人よね。実力も申し分はないし。

 あ、そろそろ仕事しないとね。旬君も、くれぐれも

 休みなさいね」


「あ、そうします。」


やはり、ルリリさんは体調に気をつかってくれている。

優しい人だよね・・。強い人でも言える。


「じゃ、またね。異動届けは明後日までしておくから」


それから、仕事に戻るルリリ


「やはり、忙しそうやな。でも・・・あん人が旬の上司で良かったわ」


「うん。おれもそう思う」


「あにまもー。」


なんだか、ルリリさんたちに出会って良かったと思う旬


「さてと、そろそろ、帰ろう。ウッズさんの家に」


「そうやな。」


「おなかすいたー。」


そして、それぞれがギルドからウッズの家に帰ることになったのだった。



ラグナは、旬より先に国落とし追いに出て行きました

その心は何をみる?

次回、ウッズと旬です。

そして・・・?

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