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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 二幕  ~ギルド協会の緩い糸と王宮の衝突~
321/485

少年、謎の博士

今回は、博士の行方

そして、ギルドの依頼です。

旬とラミア、アニマは、今、シュネーの街を歩いている


しかし、旬達の様子は・・どこか・・いつもと違っている。


「・・・。」


「・・・。」


「・・・。」


・・・旬達は、無言だった。


なにせ、頭の中が・・どこかクラクラしていたのだ


しかし・・旬は、頭の中で・・あの後のロザとの話を思い出す


王宮でのイドの木での話を思い出す旬


ラミアは・・・。


(嘘や・・・なんやねん)


ラミアは動揺しているのだ。


そして、ロザに問いかける


(なぁ、スタイン博士は他に何か・・!)


そこは必死さがあった。


すると、ロザはフルフルっと首を横に振り


(いいえ、世間話しかしなかったわ。その後、所用があったとかで

この国に滞在したのは、わずか、2日間だけでも、随分印象に

残ったから、不思議な人だとは思ったわ。)


宝玉・・オーブを渡した


これを・・俺に?


知っていた・・?


俺の頭の中がグルグルっと回る


(スタイン博士は・・本当に・・?)


ロザは考え込んで・・そして、答えた


(あなたの姿を見て確信したの。でも、私は、この宝玉は旬君こそ、

 ふさわしいと思っている。あいつには奪わせることはなく

 貴方に渡せてよかった。私は、この国を見捨てることはできない

 いや、できやしない。だから、託せるうちに託せて良かったわ)


それはロザの覚悟


例え、命をかけて旬に渡す覚悟があったのだ


その覚悟を聞けば


もう・・俺は迷うことはなくなる。


そして・・グルグルっと回っていた頭が・・


ある一つの考えへと導く


(俺の方こそ・・ありがとう。それなら、もう気にする

 必要性はないよ、奴は、俺を狙う。それだけは確かだ)


そう、奴の標的は俺になった。


もう、この国を狙う理由はない。


・・悔しがっているかもしれない。


だからこそ、俺は・・・決意がさらに固まった


(・・・旬君はこれからどうするの・・私が勝手なことを

 したことは申し訳ないわ・・。)


ロザが心配そうな顔をする


(ううん、さらに決意はついた・・・俺はこの国を去るよ。)


その発言に・・ロザは、寂しそうな顔をして


(そう旬君は、この国から去るのね・・分かった。

 私が・・いえ、私達が貴方達のために)


ギュっと拳を握って


意気込みするロザ


(そうね、私も動かないと・・)


(ロ・・ロザはん?)


すると、ニッコリと微笑むロザ


(・・出発はいつか決めた?)


そうだなぁ・・・。


今日は依頼をしないといけないといけないから


明日は準備・・で、明後日かな。


(うん、色々と準備しないといけないから。

 明後日かな。)


そう・・名残惜しいけど


俺も行かなければいけないだよね。


すると、ロザは寂しそうに笑って


(そう。じゃ、準備が終わったら、また王宮にきて

 貴方達に素晴らしい贈り物を用意しておくわね。)


(贈り物?)


(ふふっ、内緒よ~)


今、ブワァっと薔薇の花が咲いた!?


しかも、背景に薔薇が見えるだよね・・。


やはり、ロザさんは、ロザさんだと思う


でも、変わらないそこが好きだなぁっと思う旬だった


                 ****


そして、その後、大宮から出て


今、シュネーの街を歩いている


でも・・なんていうかそろそろ無言が重いだよね。


特に騒がしいラミアは無言。


アニマも同様だった。


やはり、例の仕事だからかな?


まぁ・・無言は辛いし・・。


「ラミア?アニマ?」


「あ、ごめん、スタイン博士のことを考えていたわ」


ハッとしたラミアとアニマ


「あにまも・・」


へにょ~っと落ち込んだアニマ


「そんなに衝撃的だったの?」


「・・・まぁな。」


なんていうか落ち込んでいたのだ。


「・・・ラミアは、スタイン博士が・・未来を知っていたということが

 驚いているの?」


頬に手を持って・・深い・・それはため息だ


「そや。あの人は学者はんやったから・・なんの研究をしていたか

 知らんし・・それに、先を・・未来を知っていたことができる

 人間だとも知らんかった。せやから、混乱しているんや

 なぁ、アニマ」


すると、アニマも深いため息を吐いていた


「うん。あにまもびっくりした。ほうこくしょをよむかぎりは・・

 ふつうのがくしゃで・・れんきんじゅつをかじったひと・・

 ・・そう、かかれていたから」


アニマも思い出しているのだ


分厚い報告書には・・スタイン・カルディアのこと


必死に頭を叩き込んだ日々


しかし、それだけは足りていないと思い知ったのだ。


なぜなら、それ以上に、今回のことは衝撃だったのだ


「・・・錬金術・・か。」


ポッリっと旬は呟いた


謎が深い人だとは思っていたけど


確かに、色々と掴めない人であることは確かのようで・・


なんていうか・・モヤモヤするのは確かだ。


「で、どうするの?」


ラミアはお手上げ状態なのか・・。


「・・・あの人がどの国にいたのかわからん。

 おまけに、もうこの国に現れることはないと言ったんや。

 生きとるか死んどるのかすらわからん」


つまり、生死不明ということか。


スタイン・カルディア・・彼は、学者のはずなのに


様々なことを知っていた・・何者なのか


モヤモヤして分かることも・・なく、考えることをためらせる。


俺たちをまるで・・試しているかのように


「あの人が、先を読むことができる人間だったかどうかは

 わからん。けど、しゃーない。今は考えるのはやめるわ。」


「あにまも・・あたまもがんがんしてくる」


「・・そ、そうなんだ。」


なんていうか・・分かる気がする。


ラミアは区切りをつけて・・旬に次のことを聞いてきた


「さて、旬・・ここは、住宅街やな。なんていうか、旬に

 着いてきたけど、なんや?ここから、向こうはウッズの

 家やで?帰るんか?」


そう、住宅街の先がウッズさんの家だ。


しかし、今回は違う。


「ううん。実はほら・・レオさんの依頼。」


「ああ。例の依頼か。」


そう・・隊長があの事件で、ショックで家から動けない。


という話だ。


まぁ・・プライドが高い人ならありそうだ。


「うん。あの屋敷だよ」


旬が指をさしたのは、白いレンガの・・大きな屋敷だ。


「ほへー。」


あにまは大きな屋敷をみて驚いている


「・・・なぁ、ここの隊長はんの家やろな?」


ラミアが聞いてくる


「・・・なんていうか、大丈夫なんか?

 ギルド嫌いなんやろ?斬り捨てとかしそうで

 怖いわ。」


そうなのだ、ギルバート隊長は、ギルドが嫌い


というか、大嫌い


むしろ、斬り捨て御免って言われても仕方ないような人だ。


だけど、今回は大丈夫。


「あ、大丈夫だよ。隊長さんの奥さんとは依頼で仲良くなったから」


ラミアはそんな旬をみて納得する


「あ、そうなんや。なら、大丈夫やな」


ラミアの言葉で・・アリエルさんのことを振り返る


アリエル・ランダース


ギルバート隊長の奥さんだが・・なんていうかその隊長さんとは

真逆な存在なんだよな。


というか、不思議なんだよね。


なんで結婚したのか。


世の中は不明ばかりだ。


旬は、ピンポーンっとインターホンを鳴らす


すると、声からしたのは、男の声だ。


「どちら様でございましょうか?」


「あ、俺旬です。ギルド協会所属です。

 レオ副長からの依頼にきました。」


すると、旬が名乗るとピクンっと何か反応したようだ


そして、冷静な声で


「少しお待ちを」


そして、すぐ屋敷から出てきたのだ


それも、すごい速さで初老の男が出てきた


「うわっ。早っ。」


ラミアは思わず声を出す


それほど、すごいスピードだったのだ


そして、旬を見るなり


「おおっ。旬殿。お待ちしておりましたぞ!!

 あの時は、坊ちゃんを助けてくださりありがとう

 ございました。奥様もきっとお喜びになられるでしょう

 さ、遠慮なくどうぞお入りくださいませ!」


息を止めることもなく話すので

初対面のラミアはたじろぐのだ


そして、屋敷の中を案内されるのでラミアは聞いてくる


「な・・なんや、何があったんか?」


「ごしゅじん、そうだぞ・・あにまもおどろいた。」


小さな声で話しかけてくるのだ。


「ちょっと、この家の子の病気の薬を取りにいっただけなんだよね」


そう、本当にそうなんだよね。


初めての依頼人でしかも、ここからすべて始まった。


「・・ああ、なるほどな。しかし・・すごい感謝されとるな」


「・・・まぁ、幼い子だと聞いているけどね。

 顔までは見ていないだよね・・ちょっとしか。」


幼い子だとは思うけど


顔までは見ることはできなかった。


しかし、ここまで感謝されるということは・・。


すごく大事に育てられている証拠。


「なるほどな・・・・」


ラミアが納得したのか・・ジッと初老の男を見た


そして、初老の男は止まって


「この客間でお待ちください。」


どうやら、客間に通されたようだ。


「あ・・どうも?」


そして通されたのは・・素晴らしい部屋だった。


王宮の客間と劣ることのない部屋だ。


しかも・・アニマが興奮して


「きれいなはなをいけているぞー」


アニマは花の匂いを嗅ぐ


「ほぉ、このソファは柔らかいわー」


ラミアも喜んでいる


俺も遠慮なく柔らかいソファに座る


「確かに、フワフワだ」


「お茶でございます。」


そういって紅茶を持ってきて


ニコニコ顔だ。


旬たちの前に置く


「ほぉ、すごく美味しそうな紅茶やな。

 うちも好きやわ・・高いモノやから」


なるほど・・ラミアが好きなのは高いモノなのか。


俺としては・・どちらでもいいけど。


「お熱いので気をつけて」


初老の男性からお茶菓子を用意されて

ラミアは一口、二口、っとお茶を飲んで


至福そうに笑うのだ。


アニマはふー、ふーっとしながら飲んでいる。


俺も、一口飲んだ。


なんだろう?


甘いっというか、何かの葉っぱなのかわからないけど


安心する


その時・・優しい香りをした女性が現れる


「奥様のお通りです」


慌てながらお茶をテーブルに置く


立ち上がろうとすると・・。


「いいのよ。そのままで。」


それも颯爽に笑う女性


「旬君。待っていたわ。」


そこには、長い青の藍色の髪・・そして優しい瞳をした茶色の瞳


ニコリっと笑う


「あの時から来てくれないから随分、待っていたのよ。」


「アリエルさん。」


そこには、アリエル・ランダース


あの時より、優雅なのはきっとこれが彼女の持ち前だろうと思ったのだった。


アリエルさんは、どんな話をするのか?

次回をお楽しみに

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