表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第3章 ~人形王女~
32/485

少年、追放されそこなった王女の話。

さぁ、今回はアリアの話です。

彼女の話を是非見てくれたらうれしいです。




もっとも、俺は信じたくなかった

こんな形で多くのことを知るとは思わなった

それでも俺には、他には方法が無かった

本当に、どうしようもないことだったのだ・・


                         ******


「どういうことなの?」


少女は俺を見てただ、黙るだけ

そして、キッと俺に向き合い


「・・・昔、とても大きな事件に巻き込まれてしまったの・・

そう、それこそが根源であり、そして・・罪。」


「罪?」


どういうことなんだろう

根源とこの子は言った

そして、罪

俺にはさっぱりだ。

だけども、何か関係があるような気がする


「君は、その事件に巻き込まれて・・追放されそうになったの?」

「・・正しくは、追放されるはずだった。」


追放されるはずだった・・?

それが、なぜか気になった

もしかしたら・・ジンのことがわかるかもしれない。

俺はさりげなく聞くことにした


「・・誰かがかばってくれたの?」


すると・・アリアは息をのんで

そして、思い出すかのように呟いた


「そう、庇ってくれたわ・・でも、もういない。」

「いない?」


すると、アリアは遠い昔を見るように


「・・・庇う人はいないのは、なぜなら一人で

罪を背負って私を救い・・そして、消え去った

残る人間は、責められるだけ」



責められるだけ・・。

それは俺の心に重くきしんだのだ。

ズキズキと痛みを訴えた


「それだけのこと・・そして、それだけの話。」


平然と話す姿は、受け流そうとしているのだ

そう、流れに身を任せて・・。


「その人はどうなったの?」


すると、曖昧に笑みを浮かべて


「さっきも言ったように・・消えた。それだけのこと。」

「・・・。」


その人物はもしかしたら・・。

嫌、核心はないな。

もし、そうだとしても

今の俺には分かりはしないことなんだしな・・。


俺が考えごとをしているとアリアはいつの間にか俺の前にいて


「・・・あなたは、どうして私がヴェールしているか分かる?」

「え・・。」


いきなり、自分がヴェールをしている理由を聞かれる

聞かれても困るだよね

俺答えられないし・・でも、どうしてだろう・・?

なんとなく・・聞いてしまいたくなるんだ

考えてみればやっぱり、事件のせいなのかな?


「・・事件とか・・ははっ、まさか」「そのとおりよ」

「ええっ!?」


アリアは真顔だ。少しも動揺をしていない

だけど・・まさかの大当たり

でも、当たってもうれしくないね・・。

俺の視線に気づいたのか、アリアは、ヴェールに触れて


「あの日からずっと・・この醜い瞳・・これがあたしの罪・・そう、すべての」


そして、憎むかのように、手を頬に添える

その姿は、何かに対して怒りをだいているかのように見えた

そして、俺の方へと見た

俺は一瞬、ビクっと震えた

そのヴェール越しの獰猛な瞳を見た気がしたからだ。

そして、ニコっと笑って


「あなたは、こんな醜い私の話を聞いて引いた?」

「・・・。」


俺は無言だ

先ほどの瞳を見たら

誰だって無言になるものだ

アリアは悲しそうな顔をして


「応えてはくえないのね・・。当たり前か」


そんな顔をしないでほしかった

ええい、言うしかない

今、俺が思っていることを・・。


「俺にはわかるよ・・。」

口からでまかせ・・かもしれない

だけど・・それでもいいから

俺には伝えたかったことがあった。

「え・・。」


「俺は、何かに対して恨みをだくのは、仕方ないことかもしれない

だけど・・いつかその恨みが狂気に変わるかもしれない・・俺は

よく知っているから・・それが一番怖いことだと。」


そう、俺は一度だけ


恨みで、モンスターを焼け焦がすつもりでいた

それだけじゃない、人を死なせてしまう恐怖もあった

だから、分かる


「そう、それがあなたの答えなのね・・。」


何かを納得したようにアリアは呟いたのだった


「・・・。」

「・・・・。」


俺達は再び無言で階段を降りていく

アリアは何かに気づいたのか立ち止まった

そして・・。


「どうしたの?」

「・・ここで、行き止まりね」

「え・・でも、まだ階段が」


そう、階段は続いているのにどうして・・?


「この先に行ったら、もう戻れなくなる」


アリアはいつのまにか杖をもって

そのへんをコンコンと叩くと


「ガガガッ」っと、何かが動く音がした


すると、階段は、いつの間にか消えていた


「な・・あの長い階段が・・消えた・・?」


「何をしたの?」

「・・途切れた間にノックしただけ。」


そう、平然とする姿に

この少女・・一体・・?

俺の疑問を他所にガガッと音を立て

そこには・・。

何もない無の部屋だった

あるのは、白い壁だけ


「な、なんなの・・ここは・・?」


「どうやら、ここが最深部みたい。」

「最深部?」


何もない部屋

家具も何も・・。

そこは、ただの真っ白い部屋

無と象徴してもいいくらい

ただ、真っ白だったのだ


俺は、畏怖を抑えるように

その白い部屋を凝視したのだった。


少しずつ事実があきらかになろうとしています。

それは作者もうきうきしています

楽しく書きたいのでこれからもよろしくお願いしますね。

それでは、また次話で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ