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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 二幕  ~ギルド協会の緩い糸と王宮の衝突~
308/485

少年、闇魔法の代償

今回は、シアの視点で物語は進みます。では、どうぞ

幼い頃・・・私たちは、同じ存在として認識があった。


黒はいつからか・・自分を見なくなった


ずっと、一緒にいたからわかる


ずっと。


どんな時でも一緒だったんだ。


だから、初めて黒が反抗したときは・・


その瞳は・・・”怒り”だった


しかし・・私に宿った心は・・・”悔しさ”


何もできずに・・何もしなかった


公爵様の言っていた


この国の安泰を・・受け継ぐしか他にはなかった


不思議と孤独感だけが・・支配される。


そして・・ある時、奴が現れた


これが・・私のすべての切欠だった。


そう・・国の安泰のために


私は・・奴の力を借りる


これが、今の正義なのだ・・と。


           ***



シアは明確な怒りをノィンに向ける


「ノィン。私は、許せないなの。」


許せないのは・・・・ノィンのすべてだ。


私は・・聖女様にしかいない。


今の安らぎを・・。


だけども・・・悩んでいるもいる


迷っている自分もいる。


でも・・今はその時ではないかもしれない


実にいえば・・聖女様の考えていることすら


わからなくなってきている・・自分がいるから・・なの。


「・・かかってこないのですか?」


フード越しからノィンの声が聞こえた


ノィンの髪色は分らないが・・瞳の色


琥珀の瞳だけは・・・キラっと光るからわかる


「・・・。」


シアは黙る


「貴方は、私達魔導師のすべての夢を聖女なんかのために願った」


まるで、裏切り者だというように・・私を責める声


フード越しから聞こえる声は・・あの頃の声じゃない


同じ存在のように対だった頃は・・とても優しい声だった


でも・・今は違う


怒りが私の中にはある・・。


ノィンには・・


「あの時の悔しい気持ち・・貴方は、違っていたのですね?

 公爵様の願いを・・安泰を・・!!」


「・・・。」


そう・・ノィンはこの国の安泰を純粋に願っていた


公爵様は真にこの世界の安泰を望んでいた


しかし・・今は違う。


その瞳が語る


違う・・と。


ノィンの瞳には・・・安泰を願っていた


その純粋な瞳ではない


「・・・ノィンの夢は、この国の安泰・・同じ願いなど

 私にはない。」


そう・・・同じ願いはない。


「・・・!」


拒絶するシアに対して怒りが湧いているのか


「聖女がこの国で何をしたか知っているのか!?

 ズカズカ入り込んで我が物のように振舞う

 それは・・私達魔導師に耐えたがいことだった

 ・・・シア!!お前は違うのか!?」


「・・・うん、知っていたよ。」


「な・・・!?」


そう・・知っていた。


初めてこの国に聖女様に出会い


救われ・・そして、この国の現状を目を通していたから


「・・・この国が偽りの平和だと私は知っているなの。」


その言葉に・・ノィンは問う


「なら・・なぜですか?」


そう・・聖女がどんな存在なのかはっきりいって見当がつかない


それでも・・私は・・恩がある。


「・・・それでも、確かに私は・・聖女様に助けられた。

 例えそこにあるのが偽善でも・・私には救われた。」


それが偽りでもあっても


私の心に確かに・・救いがあったのは確かだ。


それだけは・・確かなんだなの・・。


「でも、それはあの聖女の思うツボ!!」


そう・・思うツボでも構わない。


偽善でもいい・・けど。


それは、あなたも・・同じなの・・ノィン。


「・・・・それはそれでいいなの。だけども、私は

 あなたのその言葉が信じられないなの。」


ビシっと突き立てる・・。


「・・!?」


「私は、あなたが安泰を願い一方で・・どこか、何か

 絶望しているなの。そこにはもう・・・本当の

 安泰を願い続けていない。」


「グッ・・。」


図星なのか・・唸っているのがわかる


「それは、シア、あなたも同じだ!!

 奴の力をもらった時点で・・あなたも同じだ!!」


その言葉に・・・。


「ノィンも私も似たりよったり・・・

 だから、怒りがでる。」


ノィンの言葉になんだか・・呼応されていく


闇の力が・・怒りに呼応される。


このまま・・いけば・・。


いや・・駄目なの。


使っては駄目。


奴からもらった闇の力は・・人を狂わせる


同じ闇魔法の使い手だからわかる


奴は・・危険な存在。


・・・もらった力など・・ただの力の上乗せにしかすぎないなの


同じ闇魔法の使い手だけども・・・私は奴の力を使わない


だから、私は狂う方法も知っていれば


抑える方法すら知っている


「トワ。」


すると、ヒョイっと人形が攻撃体制に入る


私と長年、傍にいた人形


トワ・・・と名付けた人形が


私共に・・戦ってくれる


「・・・本当に私と戦うつもりですね?闇は光に適わないのに」


「・・・そんなの、子供の時から知っているなの」


そう、それは子供の時から知っている


成長をしなくなった私は・・闇魔法を使う

負荷を知った


でも・・今は、人形がある分・・前よりか幾分かマシ


「ふふっ。面白い。」


すると・・ノィンの琥珀の瞳が・・凶悪の瞳になる


「・・・闇は光に弱い。でも、私は・・・戦うなの。」


そう、闇は光に弱い


そのため・・相性が本当はかなり悪い


「シャイン」


すると・・その光に当てられるが・・そんなのお構いなしに


「トワ。」


ヒョイっと人形がタタッと走り


光に向かって攻撃を繰り出す


「アンチワールド」


光と闇の攻撃が拮抗を持つ


しかし・・すぐにノィンが次の攻撃体制に入り


「シャイン・ブレイク」


すると、強力な光魔法により


闇が光によって相殺されるがそれはお構いなしだ


トワに視線を向け


さらに攻撃を繰り出す


「トワ。アビス・パンチ」


トワの右手から拳が闇色に染まるが見えた


そしてパンっと叩くと・・そこから、崩落する


穴が開いたのだ


まるで、そこにあった場所が・・・元々からなかったかのように


ノィンはその穴を見て・・ニィっと狐のように口元が釣り上がる


「さすが、闇魔法・・危険ですね。ここ一体を

 ボロボロにしただけはある。」


そう、この部屋をボロボロにしたのは私。


闇魔法の力は・・無だ。


「闇は、モノを無に変える力。それを有効に使わなければ

 ・・消滅させてしまう。」


幼い頃に気づいた


闇魔法は人を幸せにするのが難しい魔法だと。


それに気づいてからすぐ・・私の身体は・・。


「・・・だから、闇魔法は負荷が強い。その身体になったのも

 貴方の罪の証なのだから」


ノィンの言葉にズキっとくる


怒りよりも・・悲しみが近い


でも、受け入れなければならない。


私は・・闇魔法の禁忌を知った。


闇魔法は、ただの魔法ではないことを。


扱うことは・・才能がなければ・・危険な魔法


「・・・そう、罪の証。これを極めてしまった私の業。

 ・・でも、そんなの構わない。」


私には・・才能が最初からあった訳でもない


様々な苦難が・・ただ、闇の特質に変わっただけのこと


「・・・ふふっ。面白い。」


すると・・光


「スピード・スパイラル」


星型の光がシアに襲いかかる


もちろん、トワではなくシアに向かう


しかし、シアは・・手を振りかざし


「トワ。防御。」


すると、一瞬で移動したトワが・・シアと同じように

手をふりかざし


「ダーク・シールド」


闇の守りがシアを守る


キュラララっと音を立て、ダーク・シールドに当たる


ピキ


「・・・。」


ピキピキ・・パリーンっと音を立て


しかし、すぐ壊れシアに・・かする


「きゃぁ!!」


シアは幼い体が吹き飛ばされる


ツゥ~っと血だけが流れる


思ったより、前よりノィンの攻撃に”重み”が加わっている


おそらく、奴の闇の力がノィンに重みを与えている


力・・攻撃力


どれも・・前よりかかなりのエネルギーを与え


奴の光の魔法が・・強くなる。


それは、私にとってはかなり都合の悪いこと


怒りに呼応されれば・・きっと、私の闇の力も強くなる


でも・・それは、私の本来の力ではない。


「・・・旬君・・。」


呟いた


あの少年は・・私の最初の友達


本当は、旬君たちがここに来ていたのを


知っていた


感知魔法で消えたのも知っていた


おそらく、私の気持ちを知っていたからこそ


旬君は私の戦いに加わることはなかった。


それは、私にとってどれほど嬉しかったことか



旬君なら私をどんな身分なのか知っても


きっと、笑ってまた一緒に遊んでくれるだろう


あの友達に恥じない・・戦いをしよう


その時・・シアに宿ったのは・・。


希望への・・道


「・・・トワ。戦闘体制に」


すると、トワがシアと同じようになる


「まだ、する気ですか?」


「・・・もちろんなの。私は、あなたに怒りを抱いている。

 それは、今のあなたに大してなの。」


ニッと笑うシア


「面白い。あなたの本気を見せてもらいます。

 奴から借りた力はより、私を強くする」


「それならば・・私はやつから借りた・・闇の力など

 いらない」


闇を制御する方法も


奴から借りた・・闇の力を消す方法も

知っている


「放出・・すればいいだけのこと」


すると・・放出を始めたのだ


「な・・・!?」


「ぐぁぁぁぁ」


奴から借りた闇が・・放出する


痛い・・・。


奴から借りた闇を・・放出する


痛い


痛い


「・・・トワ・・・。」


ピョコンっと動いて


「私に・・・アビス・パンチを」


すると・・トワがこっくりとうなずいて


人形の手が闇色に染まる


トワは私と一心同体の人形


私の思いを知っている。


私の・・・人形


「無茶だ・・!!あなたも消滅させてしまうかもしれないですよ!?」


そう、闇魔法は消滅の魔法


でも・・それは、正しく行えば


大丈夫な魔法


すると・・シアは笑って


「そんなの、正しく使えばいいだけのこと・・。

 トワ・・・!!」


すると・・トワが私に攻撃をしてきた


しかし・・・それは、私の身体ではなく


私の心の中にある・・奴から借りた闇を消す


シアは鋭い悲鳴を出す


「きゃぁぁぁぁぁぁ」


その途端、闇が・・・一気に放出される


シアは身体に激痛と脱力が襲う


ぐっ・・脱力が襲うが・・。


「トワ・・・やりなさい!!

 ノワーク・パンチ」


拳が・・・奴の闇を消す


”ギギャァァァ”っと鋭い悲鳴


それは、私の悲鳴ではない


その・・黒い霧からの悲鳴だ


「む・・無茶なことを・・なぜ!?」


「・・・こんな力を使わなくても私は・・あなたに勝てることを

 証明するの」


ハァハァっと荒い息を吐きながらシアは立ち上がる


痛み・・激痛が走り


身体は・・脱力


やはり、奴に力を借りたのは・・間違いだったかもしれない


でも・・それは、私の弱さ


聖女様に甘えていた・・私への罰


聖女様のために、自分は自分を隠していた


でも、今度は違う


自分の力で・・守りたい者を守ればいい


もし、聖女様の道が間違っていたら


私の手で・・それを修正していけばいい


それは、他人の力を借りる・・のではなく


自分の言葉・・力で


できるはず・・。


「ノィン、今度は本気でします。もう、遠慮なんか

 しないなの。」


そこには、先ほどよりも強い気迫とオーラを持った

シアがいた


「・・・面白いですね。闇は光に勝てないことを

 再度、叩き込み教えてあげましょう」


そして・・・シアはニッコリと笑う


「いくのなの」


そして・・再び激突したのだった。


シアは、闇魔法の極めた魔導師です。

だから、同じ闇魔法だからこそ

対処法は知っていて尚、奴と呼ばれる方の闇魔法を

抑えることができるのです。

そんな、シア・・とノィン。


次回、決着!

明日もお楽しみに~

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